日本IBMは30日、ERPやCRMといったビジネスアプリケーションのインフラ構築/運用を支援するアウトソーシングサービス「Application on Demand(AoD)」を提供開始した。OracleやSalesforce.comが提供するSaaS型のサービスとは異なり、アプリケーションの運用/保守だけに特化した新しいアウトソーシングサービスとして注目される。第一弾としてSAPのERPソフトウェアに対応、自社導入や従来のホスティングサービスに比べ、「最大で50%」(同社)のコストダウンが見込めるとしている。

AoDは、顧客がIBMのデータセンター内に用意されたハードウェア、OS、ネットワークなどのインフラを利用し、ビジネスアプリケーション導入にかかるコストや期間を削減するためのアウトソーシングサービス。新規にビジネスアプリケーションを導入する顧客向けに開発環境を構築する「デベロップメント・サービス」と、すべての顧客向けに本番環境での運用を行う「フル・サービス」の2種類が用意されている。「フル・サービス」ではさらに、4つの標準サービスといくつかのオプションサービスが含まれる。

従来のホスティングサービスのように、顧客の環境にフルカスタマイズしたサービスではなく、IBMがこれまでのホスティング経験をもとにメニュー化したサービス(ベストプラクティス)をプリパッケージとして提供するので、大幅なコストダウンとスピードアップが期待できるという。また、ストレージやCPUなどの増強に関しても対応可能だ。

日本IBM 執行役員 アウトソーシング・セールス事業担当 平手智行氏は「たとえばERPインフラを自社で構築しようとした場合、通常は3 - 6カ月もの期間が必要になるが、AoDを活用すれば最短3週間で可能になる。また、運用/保守に関しては、日本の担当社員に加え、米国のデータセンター担当員、インドおよびオーストラリアの担当員により、24時間365日のグローバルサポートを提供できる」としている。なお、AoDではインフラ環境として米IBMのデータセンターのシステムを利用する。

価格は「デベロップメント・サービス」が月額110万円から、「フル・サービス」が月額220万円から。なお、SAPライセンスはAoDには含まれず、顧客側が用意する必要がある。同社によれば、今後、SAP ERPソフト以外のビジネスアプリケーションにも順次対応していく予定だという。