中国通信機器最大手の華為がこのほど、米Symantecと合弁会社を設立すると発表した。合弁事業を通じ、両社はネットセキュリティやストレージ分野において、開発、販売、サービスを共同で行うとしている。

多くの通信キャリアや企業が、日増しに増大する接続ニーズに応えるべく、世界規模でのIPネットワークおよび、それに関連するシステムの構築に乗り出している。当然のことながら、これらのシステムは機能性などを満たす上でセキュリティやデータの完全性を保証しなければならない。新たに設立する合弁会社は、ユーザー企業にネットセキュリティと優れたストレージ製品を提供することにより、こうした市場のニーズを応えていくという。

IDCの調査レポートによると、世界のネットセキュリティおよびストレージ製品市場規模はすでに230億ドルに達し、そのうち中国市場だけでも11億米ドルに達する見込みである。

華為としては、当該分野のリーディングカンパニーであるSymantecと手を組むことにより、「華為のALL IP、ならびにFMCの戦略実施に寄与できると期待している」(華為CEO任正非氏)

電信ネットワークのALL IP化にともない、ネットセキュリティはALL IPネットワークがベースとなる。華為とSymantecの提携は顧客にハイレベルのネットセキュリティソリューションを提供するだけでなく、同時にストレージソリューションも提供することで、顧客のネットワークをより安全、効率的なものにできると、今回の合弁に華為は期待感を寄せる。

一方のSymantecも、華為の開発力や生産力を自身のセキュリティやストレージ分野の強みと合わせ、一気にシナジー効果を高めたい思惑がある。

合弁会社は四川省成都に本社を置き、華為とSymantecがそれぞれ51%と49%の株を持つことになっている。華為は電信分野のセキュリティやストレージの経営リソースを提供、そのなかに特許の使用許可や開発技術、生産技術および750人以上の開発陣を含める。Symantecはセキュリティおよびストレージのソフトウェアや特許使用許可を合弁会社に投入した上で、資本運営や経営管理を支援する。さらに、1.5億ドルの資金も投入するという。

合弁会社は年内の設立を目指しているが、スケジュールとおりに進められるかどうかは、政府の承認進捗にかかっているという。