10年以上の空白に新たな歴史? ファミコン最新作のゲーム大会が開催される

 

今年3月末に完成したばかりのファミコン最新作「ミスタースプラッシュ!」

1983年に発売され、テレビゲームという遊びを世の中に定着させた「ファミリーコンピュータ」(以下ファミコン)。登場以来1,200タイトル以上のソフトがリリースされたが、1994年の「高橋名人の冒険島IV」(ハドソン)を最後に、これまで新作は発売されていない。しかし28日、東京・代官山の雑貨店gg(ジジ)で、「ファミコンの新作ソフト」を使用したゲーム大会が開催されていた。

ソフトのタイトルは「ミスタースプラッシュ!」。これはCS/CATVチャンネルのMONDO21で放送されている番組「TVゲーム ジェネレーション」の企画で制作されたゲームで、手作りのカセットなので販売はされていないが、ROMカセットだけでなくパッケージ・取扱説明書までこのゲームのために一から作られており、そのできあがりは商品と見まがうほど。ファミコンソフトの供給が終了した後も、自主制作などで新たに作られた作品は若干存在するが、ここまで当時の雰囲気を再現したものはめずらしい。制作期間は2カ月、5名ほどのスタッフで完成させたという。

あまりにもファミコンらしすぎるパッケージイラストと取扱説明書。「お買い上げいただきまして」と書かれているが、残念ながら買うことはできない

ゲームの内容は、宙に浮くキャラクターを操作して岩をつかみ、それを水の中に投げ入れることで、水に浮かんでいるボールを動かしてゴールへ入れ、得点を競うというもの。スクロールなしの固定画面でシンプルなものだが、ボタンの長押しで岩を投げ入れる勢いに変化をつけたり、Bボタンでキャラクターの移動速度が速くなったり、体力が切れたときにボタンの連打で回復したりと、行えるアクションは多彩。また、岩を落とそうとしている対戦相手に体当たりする、相手の岩の上に自分の岩を落としてつぶす、といった操作で相手の攻撃をブロックすることも可能で、攻守のバランスをどう取るかという戦略性も要求される。

ロングシュートの高得点で一発逆転があったり、操作ミスでオウンゴールを入れてしまったりと、対戦が白熱する要素がつまっている。プールの形状によりステージは10種類。コンピューターキャラの行動プログラムが容量オーバーで入らず、現在は2人用専用

対戦を見守る犬飼氏(右奥)。現在はいわゆる"eスポーツ"のイベント運営などを手がけ、この日も実況解説に熱が入っていた

「ミスタースプラッシュ!」のディレクター・犬飼博士氏は、かつてゲームソフトの開発に携わっていたこともあるが、そのときのハードウェアはドリームキャストやXboxなどで、既に3Dグラフィックが当たり前になっていた。当然ファミコンソフトの開発は初めてだったが、思いついた企画をどうやってゲームの形にしていくかというプロセスについては、ハードウェアが変わっても本質は変わらないのではないか、としている。しかし、マシンの能力は現在と比べ何千分の1、何万分の1という世界。演出や装飾でごまかすことができないため、アイデアで勝負するしかない。そのアイデアも容量の制限のため、浮かんだもののうちほんの数点しか採用できなかった。

「やれることが限られているから、削らなきゃいけない。削って、また削って、そうしていくと、ゲームの本筋というか、本当に面白い何かだけがそこに残るんです」と犬飼氏は話す。制限の厳しい中でゲームを作ることは、テレビゲームの面白さの本質を探す作業でもあったようだ。「いまはそういった工程を知らない制作者が多いと思う。2カ月でオリジナルのファミコンソフトを作れという課題は、本当に勉強になると思う」(犬飼氏)

初期ファミコンのROM容量はプログラム256Kビット+キャラクタ64Kビットの計320Kビット(40KB)。あの「スーパーマリオブラザーズ」も同じく40KBで作られていた

ゲーム大会は20名ほどの参加者でひっそりと開催されたが、対戦は終始白熱。この日初めて「ミスタースプラッシュ!」をプレイするという人がほとんどだったが、試合が進むにつれて、早くもさまざまな戦法が考案されていった。優勝した都内の男性(30)に聞くと「具体的に何かはわからないけれど、昔やっていたゲームの感覚を思い出しました。こうしたらいい、これはやっちゃまずい、というところは自然にわかっていった気がする」とのこと。犬飼氏も「ファミコン世代でないと、どこが面白いのかダイレクトにはわからないと思う。ファミコン世代のお父さんがお子さんと一緒に遊んでくれたら嬉しいですね」と話す。

友達の家に集まってファミコンに明け暮れた過ぎし日を思い出させるある日の夕方。右はエキシビジョンマッチとして優勝者と対戦し、惜敗する犬飼氏。「オレの2カ月は何だったんだ……。もっとたくさんの要素を入れないと、みんな上達が早すぎる。でももう容量がない」(犬飼氏)

「ミスタースプラッシュ!」の展示はこの大会をもって終了となったが、場所を変えて東京・吉祥寺のセレクトショップMETEOR(メテオ)にて5月末まで試遊が可能。この先の展開は未定だが、仮にスポンサー、パブリッシャーを引き受けてくれる企業などが現れれば、さらに開発を続行したいと犬飼氏は考えている。「最新のハードで発売されてモードを切り替えるとファミコンのような画面に切り替わったり、Wiiのバーチャルコンソールで遊べたりすると理想的ですね」(犬飼氏)

また、今回会場となった雑貨店のggは「毎月かわるお店」をコンセプトにしており、4月のテーマは「頭」ということで、頭を使うこのゲームのほか、髪飾りなどのアクセサリーなどが展示・販売されていた。5月1日からのテーマは「こども」で、「科学と学習」(学習研究社)の20年前の教材を展示するといった企画も予定されている。

おしゃれでかわいいものからちょっと不思議なものまで、複数の作家によるテーマに沿った作品が並ぶggの店内。右下の方は店名にもなった「ジジ」さん。

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