ネットジャパンは、同社が販売するデフラグツール「PerfectDisk」およびシステム障害復旧ツール「Standby Rescue」シリーズの開発元企業を日本に招き、製品説明会を開催した。

数千のマシンのディスクを1コンソールから最適化

RAXCO SoftwareのCEO・Robert E. Nolan氏

PerfectDiskは、企業向けに「NetJapan PerfectDisk 8.0」、個人/SOHO向けに「PowerX PerfectDisk 8 Pro」として販売されている製品で、それぞれ25日から販売が開始された。発表会では開発元である米RAXCO SoftwareのCEO・Robert E. Nolan氏が、Windows付属のデフラグツールではなくPerfectDiskを使うメリットについて解説した。

同社製品の優位性は大きく分けて2点あり、ひとつは企業での導入に欠かせない管理機能、もうひとつは最適化性能の高さである。まず管理機能としては、ネットワーク上の他のPC/サーバーに対しての導入、設定、最適化実行、監視、レポート作成などが可能な管理コンソール「Command Center」が、最新版のバージョン8.0から新たに追加された。管理グループまたは個別のコンピューターごとに詳細な最適化設定やスケジューリングなどが可能で、レポートはSQLベースのデータベースで集積することができる。また、コマンドラインでほぼすべての機能を利用することも可能といい、リモート利用や他のマネージメントツールとの連携といった使い方も考えられる。

グループ単位あるいはマシン単位で管理可能で、リモートでの最適化実行も可能

断片化が進行しているマシンについて警告・注意が表示される。表示のしきい値は任意に設定可能。レポートはデータベースに集積される

事例としては、全米証券業協会における4,000台のPCに対しての自動最適化や、ラスベガス地区に水を供給するLas Vegas Valley Water Districtでの、分散した拠点に設置された200のサーバー・2,200のワークステーションを1カ所から集中管理するシステムの実現などが紹介された。

最適化性能については、付属ツールが行わない空き領域の最適化まで行うことや、空き領域がわずかしか残っていなくても最適化が可能な点、テラバイト単位の大ボリュームに対しても最適化が行えることなどが挙げられた。Nolan氏は、VistaではXP以前の最適化ツールにあった、断片化の状態をグラフィカルに表示する機能がなくなってしまったので、ユーザーは自分のディスクがどれだけ断片化しているかを見ることもできないと指摘する。

示された例では、4,000個あまりの断片ファイルがある総容量約300MB/空き容量50MB以上のNTFSボリュームに対してWindows Vista標準の最適化ツールを実行したところ、断片ファイルは約300子に減ったものの、連続した空き領域は最大で395KBと、全空き容量に対し極めて小さいものだったという。それに対し、PerfectDiskで最適化を行った場合、断片ファイルは1個を除きすべて解消、連続した空き領域は50.2MBを確保することができたしている。また、同社のテストでは毎日30GB以上の変更が加えられる4TBのデータベースに対しても最適化を実行することができたという。

左より断片化されたドライブの状態、それをVista付属の最適化ツールを実行したところ、さらにPerfectDiskで最適化したところ

付属の最適化ツールでは連続した空き領域はほとんど広がらない

Nolan氏は、93GBの空き領域があるにもかかわらず連続した空き領域は最大117.7MBしかなく、459.5MBの1ファイルが31,996もの断片に分断されていたファイルサーバーもあったと述べ、「いくら高速なプロセッサとディスクドライブがあっても、これではパフォーマンスを発揮できない」と指摘。今年第4四半期にはExchange Server 2007に対応したServer版次期バージョンを投入するほか、個人向け製品でも、PCの最適化を行う複数のツールを組み合わせて自動化した「PerfectDisk RX Suite」を近い将来発表する予定ということを明らかにした。

バックアップイメージからの直接起動により、リストア時間ゼロで障害復旧

Leapfrog SoftwareのCEO・Bob Altieri氏

Standby Rescueシリーズは、企業向けに「スタンバイ レスキュー Lite 3.0」および「Standby Rescue Multi 3.0」、個人/SOHO向けに「PowerX StandbyDisk 4」として提供開始されており、開発元である米Leapfrog SoftwareのCEO・Bob Altieri氏が、製品に用いられている技術について解説した。

同製品は、システムが正常に動作している状態のバックアップを「スタンバイエリア」として保存しておき、異常が発生した際にはスタンバイエリアからの起動に切り替えることで、リストア時間ゼロで障害復旧を行うツール。1台のディスク内にバックアップを取るバージョンと、別のディスクにバックアップを取るバージョンが用意されており、ネットジャパン製品では前者が「スタンバイ レスキュー Lite 3.0」、後者が「Standby Rescue Multi 3.0」に相当する。

シングルディスク構成の「スタンバイ レスキュー Lite 3.0」と、2台のディスクを使用しハードウェアトラブルにも対応する「Standby Rescue Multi 3.0」

「スタンバイ レスキュー Lite 3.0」では、ディスクドライブ自体の故障には対応できないが、システムファイルの誤削除、アップデートの失敗、ウイルス感染などソフトウェア上の障害にはほぼすべて対応可能で、コストを抑えながらシステム障害対策が行える。また、システムが正常に起動しなかった場合自動的にスタンバイエリアからの起動に切り替える機能を持っているので、例えばアーケードゲーム機や店頭用写真プリント機に組み込まれているPCなどで障害が発生したとき、まず再起動してみて復帰すればソフトウェア上の問題、それでも起動しなければハードウェアの問題と、トラブル原因を簡単に切り分けることもできる。

「Standby Rescue Multi 3.0」は、2台のディスクドライブを使用するためコストは大きくなるが、ディスクの物理的な故障にも対応可能で、故障したディスクを無効にするか取り外すだけでスタンバイディスクからの起動に切り替えられる。

「スタンバイ レスキュー Lite 3.0」では、起動時のホットキー操作や設定による自動切替でスタンバイエリアからの起動となる

「Standby Rescue Multi 3.0」でスタンバイディスクから起動したところ。どのファイルがアクティブ/スタンバイディスク間で同期されているかを確認できる

また、この日は将来の搭載を検討している技術として、バックアップしたスナップショットの「Freeze」機能が紹介された。これは、正常動作時のスナップショットを保存しておくという点では現在のスタンバイ レスキュー Liteと同様だが、Windows動作中にシステムへ加えられた変更は仮の領域に一時保存されるだけで、再起動すればその変更は削除されるので、常にシステムをバックアップ時の状態に保つことができるというもの。Altieri氏は既にこの機能を社内のPCで利用しているといい、毎日クリーンで安全な環境で仕事を始められる、と紹介していた。

スナップショットを作成した時点のシステム環境を保持し続けることができる「Freeze」機能。将来のバージョンでの採用を検討中