韓国Samsung電子は、情報セキュリティの国際評価基準規格であるCC(Common Criteria)のEAL 4+(Evaluation Assurance Level)を取得したICカード用の小型マイコンを2品種発表した。接触型と非接触型のどちらのICカードにも対応している。同社ではICカードのほか、IC(小型マイコン)を埋め込んだパスポート(IC旅券)での利用も見込んでいる。

EALは、等級(数値)が大きいほどセキュリティ機能が優れていることを示すもので、1から7まで設定されている。IC旅券の場合は、少なくともEAL 4+以上でなければならないことが国際民間航空機関(ICAO)によって定められており、今回発表になった製品はこれを満たしている。

本マイコンは、同社が開発した16ビットマイコンコア「CalmRISC」と72kバイトまたは144kバイトのEEPROMをワンチップ化したもの。同社によると、このEEPROMの容量は業界最大容量レベルだという。そのほか、RSA(Rivest Shamir Adleman)、3-DES(3-Data Encryption Standard)、AES(Advanced Encryption Standard)といった規格に対応した暗号化機能を搭載している。さらに、ハッキングなどから個人情報を守るためのアタック防止設計機能も備えている。

IC旅券は、パスポート偽造による不法入国を防ぐために開発された新しいタイプのパスポートで、現在、欧米をはじめとした世界35カ国以上で導入されている。日本でも昨年(2006年)3月より導入を開始している。IC旅券に埋め込まれているIC(小型マイコン)内には、個人を特定できる顔写真や旅券情報、生体認証データなどが記録されており(ただし国によって異なる)、偽造防止のために高度なセキュリティ機能が要求されている。ちなみに韓国では現在、IC旅券の導入について政府内で話し合いが行われている状態で、導入は始まっていない。