The R Projectは24日(オーストリア時間)、Rの最新版となる「R 2.5.0」を公開した。Rは統計学の計算やグラフィック作成に使われるプログラミング言語/プラットフォーム。Rで提供されるグラフィックプロットは、数学記号や公式を含めることができる高機能なもので、統計学における有用なアプリケーションとして活用されている。

Rは、もともとAT&Tベル研究所(現Lucent Technologies)で開発されていた「S」およびそのプラットフォームを模倣して開発されたもの。GNU GENERAL PUBLIC LICENSE Version 2のもとでオープンソースソフトウェアとして公開されている。RはSと異なった実装になるように考慮されており、実際に多くの相違点があるが、S向けに開発されたコードの多くはR上でも実行できる。

2.5.0は、機能の拡張が実施されたメジャーバージョンリリースと位置付けられる。「rcompletion」パッケージが統合されたことでオブジェクト名の補完機能が有効になったほか、新しく推奨パッケージとして「codetools」が追加され、シェルのようにRスクリプトを実行することができる新しいRscriptフロントエンドが使えるようになっている。

さまざまな機能追加やバグ修正が実施されているが、ユーザが直接関係する主な変更は次のとおり。

  • apropos(x)およびfind(x)をx文字に対して動作するように変更。この変更にともなってすべての非標準な評価をすべてドロップ
  • データフレームにおいてas.matrix()によってカバーできない列名が自動的に列名を持つように変更
  • アトミックベクトルにおいて$を使う場合に警告が出力されるように変更
  • UNIXコマンドラインインタフェースのコマンド補完のようなRオブジェクト補完機能が有効になった。無効にしたい場合は環境変数R_COMPLETION=FALSEを設定すればよい

Rで提供している統計機能は線形モデル、非線形モデル、古典統計テスト、時系列分析、分類、クラスタリングやグラフィックテクニックなど多岐に渡り、高い拡張性も実現している。