電通総研は、2007年から2011年までのインターネット広告費の試算結果を発表した。固定ネット広告費、モバイル広告費、検索連動広告費を併せたインターネット広告費が2011年には全体で7,558億円となり、5年間で2006年の2倍以上の規模に拡大すると予測している。

インターネット広告費予測結果(2007年~2011年)

固定ネット広告費

固定ネット広告には、バナー広告、テキスト広告、リッチメディア(簡易動画)広告、ストリーミング広告(インターネットCM)、企画広告、Eメール広告が含まれ、2011年には広告費が4,009億円に達し、2006年比の1.7倍規模に拡大するという。

総務省の発表によると、昨年12月末に集計した国内のインターネット接続契約数は、光ファイバー(FTTH)、DSL、ケーブルテレビの主要3種を併せると約2,574万契約で、前年比38%増だという。ブロードバンド回線を通じた動画映像コンテンツの視聴が一般化しつつあり、固定ネット広告費の伸びを下支えていくと考えられるという。

また、3月にYahoo、MSN、gooを運営する各社とビデオリサーチ・インタラクティブによって、ネット広告分野で共通の視認効果指標の作成が開始された。同時にインターネット利用者の個人情報やサイト上での行動履歴をに基づき広告を配信する「ターゲティング広告」も徐々に浸透しており、今後の伸びに期待がかかる 。

固定ネット広告費推移予想 単位=億円

モバイル広告費

モバイル広告には、純広告(固定ネットと同じ表示形式のモバイル広告)と、モバイル検索連動広告が含まれる。2011年には純広告費789億円、モバイル検索連動広告費494億円、両社あわせて1,284億円、2006年比で3.3倍程度に達すると見込んでいる。また、2011年まで平均年間成長率は26.9%と高い水準を維持しながら拡大すると予想している。

電気通信事業者協会が、早ければ2008年には携帯電話の契約数が1億台を超えると予想していること、そしてパケット定額制契約が一般化しつつあることから、モバイル広告の閲覧機会や検索頻度が増加するとしている。

また、キャンペーンやブランドに興味をもった視聴者を、インターネット上の広告主に誘導することを目的として、検索欄とキーワードの表示で検索を促す手法が盛んになってきている。今後これが一般化することで、広告主側ではパソコン向けサイトだけでなく、モバイル向けサイトの両者を充実させる必要性が高まるという。

モバイル広告費推移予想 単位=億円

検索連動広告

検索連動広告は、検索ワードに応じて広告を掲出する仕組みの広告。本試算ではこれに加えコンテンツ連動広告も含めて予測、検索連動広告は2011年に2,265億円に達するとしている。

検索連動広告は、広告主のサイトへの誘導が実際に成立した場合のみ広告主側に課金される仕組みであり、投入する費用に対する効果を見通しやすいという利点がある。今後も従来の利点を活かし、大手広告主の拠点状況などさらに細かい単位での広告予算の獲得を目指す動きが活発化すると予想した。

また2007年には複数の企業によるサービスおよび効果的なビジネスモデルの本格導入の機運が強まると共に、コンテンツ連動広告の活発化も期待されている。

検索連動広告推移予想(モバイル連動検索広告を含む 単位=億円)