日本BEAシステムズは「BEA WebLogic Server 10.0J」と「BEA Workshop for WebLogic 10.0J」、「BEA WebLogic Portal 10.0J」を発表した。5月9日の出荷予定で、価格は以下の通り。

  • BEA WebLogic Server:
    • シングルコアおよびデュアルコアの場合: 198万円/CPU
    • クアッドコアの場合: 297万円/CPU
  • BEA WebLogic Portal: 885万円
  • BEA Workshop for WebLogic: 無料(上記2製品に同梱)

BEA WebLogic Server 10.0J(WLS 10)は開発生産性とSOAの2点が主な強化ポイントとなっており、パフォーマンス・信頼性が引き続き改善されたものとなっている。

開発生産性

開発者の生産性を向上させるものとしてはEJB 3.0に代表されるJava EE 5の"Ease of Development"とWorkshopの強化が織り込まれている。

EJB 3.0/JPA

WLS 10では、Java EE 5およびJava SE 6が新たにサポートされている。Java EE 5の目玉規格であるEJB 3.0(JPA)の実装は米BEA Systemsが買収したKodoが使用されている。

同社はKodo 4.0のコードをApache Software Foundationに寄贈しており、OpenJPAというプロジェクトでオープンソースの成果物となっている。このOpenJPAの成果はKodo 4.1に取り込まれた。WLS 10で使われているのはこのKodo 4.1だ。Kodo 4.1によって、JDO 2.0とJPAをサポート、O/Rマッピングの機能が大幅に強化されている。

オープンソース - Blended Aproach

WLS 10ではOpenJPA以外でもオープンソース成果物の活用および相互運用が進んでいる。

バージョン9.xでもサポートされてきたDIフレームワークSpring Frameworkはバージョン2をサポート、HibernateやApache Beehiveなども引き続きサポートが継続される。

Java SE 6のサポートによってスクリプト言語のサポートも進むことになる。今後Groovy・Grails・JRubyといった技術も取り込まれていく予定だ。

BEAでは"Blended Aproach"という戦略のもとにこうしたオープンソース活用を進めている。BEA Systems Senior Director, Product MarketingのMike Piech氏は「KodoはBEAのオープンソースへのコミットを表す良い例の一つだ」とする。同社ではKodoのほかにもXMLBeansやBeehiveのコードをApache Software Foundationに寄贈している。また、AspectJやEclipse/Web Tools Platformへのコミットも行なっている。

Workshop

WorkshopはEclipse 3.2/Web Tools Platform 1.5ベースとなった。Eclipseプラグインなので既存のEclipseプラットフォームに追加、また、ほかのEclipseプラグインとの組み合わせることもできる。もちろん、9.2プロジェクトのインポートもサポートしている。

SOA

WLSはBEAのSOA戦略において、SOAのための強固なインフラを実現するものと位置づけられている。WLS 10では、JAX-WS 2.0やJAXB 2.0といった規格をサポート、ウェブサービス関連機能が強化された。

また、ウェブサービスセキュリティの強化され、WS-SecurityPolicy 1.2とWS-Security 1.1が新しくサポートされている。

このほか.NETとの相互運用を確保するIndigoサポートも盛り込まれる。

パフォーマンス・信頼性、運用

パフォーマンスや信頼性の面では、サーバ間のJMS移動やJTAのトランザクションを自動的にリカバーすることも可能となった。

クラスタリングの機能が向上、ノード間の通信でMulticastに加えてポイント・ツー・ポイント方式のUnicastも可能となっている。これにより設定が簡素化され、ネットワークエラー軽減による信頼性向上を実現している。

また、運用面ではAdmin Cosoleでの設定をWLSTスクリプトとして保存するAuto-Record機能が加わった。アプリケーションの再配備を行う際のホット・スワップも可能となっている。