無線ブロードバンド通信「WiBro」が、ソウル市全域で利用できるようになった。

ソウル全域でWiBroが可能

KTは3日から、WiBroがソウル市の全域でサービスが可能になったと発表した。KTはSK Telecomとともに2006年6月末からWiBroのサービスを開始していたが、当時はソウル市とその周辺の一部地域のみにしか対応していなかった。

今回の発表では、対応エリアを拡大し、ソウル市内であれば建物の内外はもちろん、移動中の車・バス、地下鉄内でもWiBroによるインターネット接続が可能になったという。また、ソウル市と同市の南に位置する盆唐市を結ぶ地下鉄内などでもWiBroに対応するなど、既に対応エリアは周辺地域へも広がり始めている。

KTは3月末にWiBroの新しい料金制度を発表したり、対応端末を公開するなど、全域サービスに先駆けた動きを見せていた。

WiBro専用端末も登場

ソウル全域でのサービス開始に合わせて、3月末にはSamsung電子からスマートフォン「SPH-M8100」と、複合端末機「MITs」、USB対応の専用モデムが発表されていた。

SPH-M8100はWiBroとCDMA2000 1xEV-DOに対応し、音声通話やテレビ電話などさまざまなかたちでコミュニケーションをとれることが大きな特徴。

「Deluxe MITs」(SPH-P9000)はWindows XPを搭載した複合機。キーボードと5インチのディスプレイを三つ折にして、コンパクトに持ち歩けるのがもっとも大きな特徴だ。

このほかにもKTでは上半期中にさまざまな製品を追加する予定であるほか、下半期には同社の公衆無線LANサービス「Nespot」や、ブロードバンドサービス「Megapass」と組み合わせたセットサービスも展開するとしている。

SPH-M8100。2.8インチディスプレイ、200万画素カメラ、地上波DMB、Bluetoothといった機能を備えている

Deluxe MITs。CDMA2000 1xEV-DOやBluetoothに対応。Deluxe MITs間でBluetoothを利用しての通話も可能だ

USB接続タイプのモデム。WiBroの地域外に出てもHSDPAによる通信が可能なので、常にオンライン状態を保てる

高速さを活かしたWiBro専用サービス

WiBro専用のサービス面でも新たな展開が始まった。

スマートフォン用としては、オリジナルの写真や動画の作成機能、Webメール、RSS、複数の端末同士の連携機能のほか、音楽やゲームなどのエンタテインメント、金融や教育、交通などの生活情報など、さまざまなサービスが統合したポータルサービスを提供していく予定だ。

またノートPC用としては、資料を共有しながら映像会議ができる「Multi-Board」サービスや、ユーザー自身が撮影・編集した写真・動画の共有サービス「SeeU」などを展開している。

ソウル全域に対応し端末も一通り出揃ったところで、いよいよ本格的なサービスが始まったことになるが、一般の人にとってはまだWiBroと言われてもすぐにピンと来るようなサービスではないのが現状。そのためソウル市内を巡る観光バスに、WiBroに接続できるノートPCを積んで、ソウル市民だけでなく内外からの観光客にもWiBroを体感できるようにしていく予定だ。

現在WiBroはSamsung電子が契約した分だけでも、世界23カ国、35事業者が試験サービスや商用化契約をしている。WiBroを全世界に広めるためにも韓国での実績は重要であり、それだけに韓国政府も力を入れている。ソウル全域でサービス可能となったことにより、どれほど多くのユーザーを確保できるのか――これからが本当の勝負となりそうだ。