韓国の交通カードは一歩先行く便利さ

    佐々木朋美  [2007/03/25]

    ソウル市でバスや地下鉄に乗る際、大いに重宝するのが「交通カード」だ。これは公共交通機関の運賃を支払えるカード。その都度現金を取り出したり切符を買う手間がなくなると同時に、運賃が100ウォンほど割引されるなどの特典もある便利なものだ。

    ちなみに交通カードにはあらかじめ金額を入れた分だけ利用できるプリペイド式のものと、クレジットカード社と提携した後払い式のものがあり、利用者は好きな方を選ぶことができる。

    最近では公共交通機関だけでなく、コンビニでの支払いや募金、レジャー施設への入場料など、幅広い分野で利用できるようになった。

    そして今回、交通カードがさらに活躍の場を広げようとしている。それがタクシーへの対応だ。

    ソウル市はタクシー料金のカード決済サービスを開始すると発表した。これによりプリペイドおよび後払いの交通カードでタクシー料金の決済が可能となる。

    ソウル市では2006年8月からこれまで、41台の個人タクシーを対象にこのサービスを試験運用してきた。同市はソウルに約72,500台あるというタクシーに、上半期中にはこれを5,000台にまで増やし、2009年頃までには50,000台以上に普及させたい考えだ。

    今回のサービスにより、タクシー運賃全額を交通カードで支払うことも可能になり、また現金と交通カードの組み合わせで運賃を支払うこともできるようになる。

    ソウル市の狙い

    韓国のタクシーでは運賃を現金払いすることが多い。基本料金は、ソウル市の場合は1,900ウォンだ。しかし長距離を乗ると、当然ながらそれだけ運賃も加算される。そのため現金が不足している場合にはタクシー利用をひかえるしかない。

    クレジットカード払いに対応したタクシーもあるのだが、クレジットカードを持っていない人はやはり現金払いするしかないのが現状だ。

    その点、プリペイド式などの交通カードでタクシーが利用できるようになると、学生から老人までさまざまな人にとってタクシーが身近になり、利用の増加が見込まれ、タクシーの収益増大にもつながる。ソウル市の狙いの1つはそこにある。

    またカード払いにすると、現金と異なりお金の流れが透明になる効果も見込まれる。さらにタクシーをより多くの人が利用するようになると自家用車の利用もひかえられるため、「渋滞や、(自動車による)ソウルの大気汚染を減らすのにも一役かう」とソウル市では説明している。

    逆に仕事が多くなるのはタクシーだが、今回新しく開発された車載用決済機器は、交通カードでの決済はもちろんのこと、領収書の発行、携帯電話のハンズフリーセットなどが一体型となっているため、車内や業務が煩雑になるということも避けられる。

    こうして見ると交通カードがタクシーに対応することのメリットはさまざまあるが、実際に運用すると問題点が出てくる可能性もある。ソウル市では今後モニタリングを実施してサービスの充実に努めていく予定だ。

    また、今後はバスや地下鉄のように、タクシーでも交通カード利用による割引を適用するなど、関連制度を改正していきたい考えだ。

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