米Appleは2月6日(現地時間)、iTunes Storeで採用している著作権保護(DRM)技術がユーザーをしばり付けているという批判に対するSteve Jobs氏のコメントを公開した。「Thoughts on Music」というオープンレターの中で同氏は、現在AppleがDRMを採用している理由を説明し、さらに今後の3つの可能性について意見を述べている。
AppleのオンラインストアiTunes Storeで販売されている楽曲には、違法コピーを防止するために「FairPlay」というDRM技術が施されており、現状ではiPod以外のプレーヤーでは再生できない。そのため特に欧州において、Appleの閉鎖性が批判されている。
Jobs氏のオープンレターは、iPodやiTunesがMP3やDRMフリーのAACなどオープンなオーディオファイル形式をサポートしているという指摘から始まる。その上でiTunes Storeの音楽販売にDRMが採用されているのは、レコード会社との契約の条件であるとしている。またDRM付きの音楽でも、最大5台のコンピュータでの再生およびiPodへの無制限転送など、可能な限りユーザーに自由度を与えようとしている点を強調している。
今後の可能性については、まず「独自のDRMによる保護の継続」を取り上げている。DRMが特定のプレーヤーとオンラインショップにユーザーをしばり付ける可能性を認めながらも、一方でiPodの販売台数とiTunes Storeでの楽曲販売数から計算すると、iPod1台に収められているDRM付きの楽曲の割合は3%未満という予測を紹介している。97%はDRMフリーの楽曲であり、「わずか3%の楽曲が、今後もiPodだけを購入させる要因になるとは考えられない」と現状を分析する。
2つめの可能性は、「FairPlayのライセンス供与」だ。実現すれば、iTunes以外のメディアプレーヤーソフトやiPod以外の音楽プレーヤーでも、iTunes Storeから購入した楽曲を再生できるようになる。ただしライセンスすれば、DRM技術に関する情報を広く伝えることになり、漏洩の可能性が高まる。また問題が発生した場合、ライセンスを受けた製品を含めて対策を講じるのにより長い時間を要する。違法コピー防止という目的に対する脅威になりかねないため、DRM技術を採用する限り実現性は低い。
最後の可能性は「DRMシステムの廃止」だ。すでにYahoo! Musicでは一部のミュージシャンが実験的にDRMフリーのMP3ファイルで楽曲を販売している。Jobs氏も「消費者にとって最善の選択肢であり、Appleもすぐにでも取り入れたいと考えている」と述べる。ただし、実現にはレコード会社の承認が必要だ。Jobs氏は、2006年に販売されたDRM付き音楽が20億曲だったのに対して、同時期に200億曲ものDRMで保護されていない楽曲がCDなどを通じて販売された矛盾を指摘。90%以上の楽曲がDRMフリーで販売されている中で、一部の楽曲にDRMを施して販売する効果に疑問符を付けている。さらにDRM技術のような負担をなくすことで、「革新的なストアやプレーヤーに投資しようとする新しい企業が音楽産業に流入してくるだろう」と指摘している。
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