インターネット利用者を悩ませ、ときには金銭的・社会的な実害をもたらすスパムメールやフィッシング(詐欺)メールの数々。果たして、これら迷惑行為を撒き散らした代償とは、いかほどのものなのだろうか。
ロサンゼルス中心部にほど近い米カリフォルニア州アズサに在住のある男性が、スパムや差出人偽装メールの送信を規制する「CAN-SPAM Act」に抵触した容疑で2005年7月に逮捕された。男性の名前はJeffrey Goodinで45歳。AOLの会員ユーザーに対してヘッダーを偽装したフィッシング詐欺メールを送信し、クレジットカード番号などを含む個人情報を提示するよう差し向けた疑い。米司法省のカリフォルニア中央地方裁判所が1月16日に発表した声明によれば、同氏にはさらに10件の別の容疑もかけられており、最高で101年の懲役刑が言い渡される可能性があるという。
Goodinが使用したテクニックは、「アップデートのお知らせ」と称して「あなたの料金支払い情報と個人情報を更新しないとサービスが停止される可能性があります」という内容の文面をAOLユーザーに送信し、Goodin自身が用意したAOLとは何の関連もないページへと誘導するもの。入力フォームを通じて得られた情報を基に、Goodinまたは第三者がクレジットカード番号などを悪用することが可能になる。2005年にGoodinが逮捕された際には、このクレジットカード情報を用いてホテルに宿泊するなど、実際に悪用した形跡が報告されている。
「スパム対策法」とも呼ばれるCAN-SPAM Actは2003年末に制定された法律で、スパム業者による無差別なスパムメール送信を抑制し、所定のルールに従わない業者を法廷の場で追求することを可能にした。だが実際には、スパム業者もあの手この手でメール送信を試みており、AOLを含むサービスプロバイダ業者とのいたちごっこが続いているのが現状だ。
ネット利用の増加とともに、こうしたスパムやフィッシング行為が問題視されるようになったが、残念なことに、CAN-SPAM Act制定以降もその動きは止まらない。ネット興隆のあだ花ともいえるこれらの行為だが、CAN-SPAM Actが効力を発揮して「ネット詐欺は割に合わない」と知らしめることができれば、一種の抑止効果が期待できる。同法はその効果を疑問視されながらも、違反業者を検挙して高額の罰金刑を科すなど少しずつ実績を積み上げている段階だ。CAN-SPAM Actの効果の行方を左右するGoodin被告の裁判は、ロサンゼルスの地方裁判所で6月11日に行われる予定だ。
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