ソフトバンク孫社長「MNP善戦、価格戦略の戦いこれから」と強調

    大川淳  [2006/11/09]

    ソフトバンク孫正義社長

    ソフトバンクは、ソフトバンクモバイルのMNP(Mobile Number Portability:携帯電話番号ポータビリティー)、序盤戦実績を公表、他社への転出が転入を上回ったものの純増(10月と、11月7日までの結果)を確保したことを明らかにした。同社の孫正義社長は「携帯電話の競争時代に突入した。長い競争を戦い抜いていきたい」と話す。また、MNP開始直後のシステム障害、広告の表現には「誤解を招く面があった」としてあらためて陳謝した。

    ソフトバンクバイルの10月の加入状況は以下の通り。10月24日から開始されたMNPでは、転入が3万1,100件、転出は5万5,000件で、2万件以上のマイナスだ。MNP以外の新規は19万2,100件、同じく解約は14万4,400件で、全体を集計すると、2万3,800件の純増となる。11月の、7日までの状況は、MNPによる転入が3万6,400件、転出は4万3,500件で、約7,000件のマイナスだ。MNP以外の新規は6万2,800件、解約は2万7,700件で、全体としては2万8,000件の純増だった。

    11月7日までの状況

    ソフトバンクモバイル10月の状況

    この結果について孫社長は「2週間前には、どのメディア、専門家の予測も、我々が最もユーザーを減らすであろうとしていたが、トータルでは、純減でなく純増にすることができた。MNPでは、一歩間違えば、ソフトバンクモバイルが草刈場になるところだったが、純増となり、善戦していると感じている。見方にもよるかもしれないが」と述べた。

    同社は、10月28、29日の両日、システム障害のため、MNP、新規契約などの受付業務を停止、11月初めの3連休には、MNPと新規契約だけの受付に限るという変則対応を強いられた。これらについて同社は「連休明けの11月6日には、滞留していた6日分の機種変更やその他の変更を受付けた。処理件数は4倍くらいになったが、対応することができた。(受付態勢の混乱、システム障害の)峠は越えたのではないか」(孫社長)とみている。今後のシステム面での増強策としては「基幹システムはそのままにして、周辺のサーバーを増やし、業務を分散、基幹系の負荷を減らす。次のシステムはよりオープンなシステムを導入する。ソフトバンクはもともとコンピュータの運営は本業であり、プライドをかけて取り組む」(同)という。

    純増は確保したといえ、MNPでは転出の方が多い「赤字」だ。MNPによるユーザー争奪戦はこれまでのところ、事前の予想通り、KDDIの独走状態だ。しかも、システム障害の影響で、ソフトバンクモバイルはブランドイメージが傷ついた。孫社長は「ごたごたがあったが、料金プランに共鳴して来店される方の数が増えた。決して悪い状態ではない」と強調する。この自信の背景には、「予想外割」の破壊力がこれから効いてくるとみているからのようだ。

    ソフトバンクモバイルが、MNP開始前日の10月23日夕刻に発表した新たな価格戦略「予想外割」は、端末の割賦販売を申し込んだ、同社加入者同士であれば、一定の例外を除き、通話、SMS(翌日には、一般のメールも無料に改定)が無料になるということが主眼で、孫社長は「通話、メールともゼロ円」と強調した。ところが、この「例外」が槍玉に上がり、競合他社や一部週刊誌などから強い批判を受けた。「無料通話」には以下のような例外がある。21時~0時台の時間帯は、1請求月内の累計通話時間が最大200分を超える場合、30秒ごとに21円かかる。この時間帯は、非常に通話量が集中するため、通信トラフィックが過度に膨れ上がり、システム全体が破綻してしまうのを避けるためだ。また、NTTドコモ、KDDIの同等プランより基本使用料が210円安くなる「ブループラン」「オレンジプラン」も、実際に安くなるかどうか疑問との声が上がった。

    こうした批判に対し孫社長は「1日20時間は通話し放題ということ。もっと話したい方は、21時以前に通話してもらえばよい」と指摘、実際「21時以前に(通話量の)ピークがきている。(この料金プランを選択ユーザーの)大半は昼間の時間に、これまでの何倍も通話している」(孫社長)という。さらに「ブループラン」「オレンジプラン」については「当社の方が高くなるというのであれば、具体的実例を示して頂ければ、値下げする」「派手な広告でいかがわしいと感じられたのかもしれないが、決してそうではない」と語り、同社の価格プランには強い競争力があると主張した。

    いまや、営業利益の5割以上が「移動体通信事業」

    また、ソフトバンクは2006年度中間期の連結決算を発表した。売上高は対前年同期比2.14倍となる1兆1,201億円、営業利益は同25.5倍の1,125億円、経常利益は626億円(前年同期は134億円の赤字)、当期純利益は144億円(同41億円の赤字)で、営業、経常利益は過去最大となった。ソフトバンクモバイル(旧ボーダフォン)の業績が2006年5月1日から連結に加わり、大きく貢献している。ソフトバンクモバイルが担う「移動体通信」の売上高は5,818億円、営業利益は566億円で、それぞれ全体に占める比率は、51.9%、50.3%に上っている。

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