韓国で歌手ロボット「Muse」がデビュー

佐々木朋美  [2006/10/18]

韓国でロボットの歌手がデビューした。

歌手ロボットは10月18日から5日間に渡って、ソウル市で行われている「2006 国際ロボット産業大全」で初めて披露されたものだ。この展示会は産業資源部が主催する、ロボットの総合展示会だ。

歌手ロボット「EveR-2 Muse」

この日、最大の目玉となった歌手ロボットの名前は「EveR-2 Muse」(以下、Muse)という。産業資源部が支援し、韓国生産技術研究院が開発にあたった。

産業資源部は自宅でもロボットが利用でき、またロボット開発が産業となるような社会を目指し、知能型ロボットの開発を支援している。その成果物の1つが今回のMuseだといえる。

EveRは最初の人間と言われる「アダムとイヴ」の「Eve」と、「Robot」の合成語、そして「Muse」はギリシャ神話に出てくる歌などの神様の意味だという。

また名前に「2」がつくのは「1」がいるからに他ならない。産業資源部では今年5月、女性の姿をしたロボット「EveR-1」を開発している。

EveR-1は英語と韓国語、合わせて400個の単語を認識できるため人との簡単な会話が可能であるほか、全身に関節を計35個搭載しており、手を挙げる、頭を下げるなどのジェスチャーが可能となっている。下半身は動かないので、いつも座っている格好だ。

開幕式の司会をつとめた「EveR-1」

Museはそれをさらにアップグレードさせた後継モデルで、EveR-1の「妹」という位置づけ。

EveR-1が20代前半の女性の身体および顔の特徴を持っているということで、妹であるMuseも20代前半に見える。皮膚はEver-1もMuseも、シリコン製の人工皮膚でできている。

身長は160cm、体重は50Kg。顔に23個、首に3個、両腕に6個ずつ計12個、両手に4個ずつ計8個、下半身に12個、計58個の関節があり、滑らかなジェスチャーや表情を表現することが可能となっている。

ちなみに姉のEveR-1は顔の可動部が計15個のみで、感情も喜怒哀楽のみを表現する。これに対しMuseは喜怒哀楽に加えて、「恐れ」「不快感」「興味津々」「退屈」といった8種類の感情を表現することが可能となっている。

歌はいわゆる「くちぱく」方式で、流される音楽に合わせて口を動かす方法となるのだが、歌手ロボットとあってその口の動きにはこだわりがある。13個の母音および子音の口の模様を表現できるようになっているほか、人に近い口の動きをすることができるのだ。

音声認識のほか視覚認識も行うので、物質や色の識別が可能となっている。このようにより人間に近い状態にすることで、人と感性を分かち合えるようなロボット(歌手)にするというのが狙いだ。

デビュー曲は「目を閉じてあげる」というタイトルで、韓国の有名歌手のヒット曲を生み出した作曲家および作詞家が手がけたものだ。

不本意な結果となった初舞台

EveR-1を超えるロボットが初登場するということで、お披露目会場には収まりきらないほどの報道陣で溢れかえった。しかし予想を超える多さに新人のMuseは緊張したのか、結局はほとんど力を発揮できずにお披露目会を終えた。

本来は歌にあわせた柔軟な動きと、本当に歌っているかのようなリアルな口の動きによる歌を披露する予定ではあったものの、実際には直立不動の姿勢で両腕がかろうじて前に上がる程度だった。また口は開けっ放しとなることで、得意の「くちぱく」も披露されないまま終わり、無念の初舞台を踏むこととなってしまった。

初舞台で、残念ながら力を発揮できずに終わったEver-2 Muse

開発担当者は後のインタビューで「首の部分に故障があった」と、Museの故障を認めている。これは歌が始まってから急に故障したのではなく、それ以前からMuseの調子があまり良くなかったのではないかと予想される。15時から開始する予定だったお披露目会が、「Muse不調」との理由により1時間程度遅れるというハプニングがあったことからも、それが伺える。

その1時間の間、技術者などが集まってMuseの全身チェックが行われていたが、どの技術者の表情も芳しくないまま、お披露目を始めなければならなかったのだ。

ロボット開発の難しさが露呈

この日のMuseの様子は、ロボット開発の難しさを改めて認識させられた一件だったといえる。首部分の故障1つでも、Museの全身の動きから精彩が欠けてしまったように見えた。

Museの開発期間は約5カ月。公開が若干早急だったのではないかとの指摘もある。Museが歌う際、KAIST(韓国科学技術院)で開発された「HUBO」がバックダンサーとして応援にかけつけていたが、彼の腕の動きの方が滑らかで安定性があった。

人のように動くHUBOが大きな話題となったのは2004年のこと。人型のロボットを作るには多くの技術の積み重ねが必要だと見られる。

HUBOも参加した開幕式のテープカット

結果的には不本意な結果となってしまったわけだが、先の開発担当者も「2~3日以内に故障を直し、完全な姿を披露したい」と述べ、Museの復活を誓った。次は華麗な舞台を披露して、ぜひとも韓国を代表するスターの仲間入りを果たして欲しい。

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