米Pew Internet & American Life Projectは、米Elon Universityとの共同プロジェクトとして進めていた、インターネットが未来の世界に及ぼす影響などを各専門家に調査した最新レポート「The Future of the Internet II」の発表を行った。
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The Future of the Internet IIは、2004年秋に実施された、今後10年間のインターネット技術を取り巻く環境の発展などを各専門家にアンケート調査したレポート「The Future of the Internet」の続編に位置づけられている。今回は、より未来に目を向けて、15年後の2020年に、最新のインターネット技術などの影響を受けて世界がどのように変化しているかに関する意見が求められたという。
昨年11月~今年4月にかけて、米Princeton Survey Research Associates Internationalが実施した最新調査の対象となったのは、W3C(World Wide Web Consortium)、ICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)、WGIG(Working Group on Internet Governance)、ISOC(Internet Society)、AoIR(Association of Internet Researchers)、Internet2などに所属している742名の専門家。早くは1992年以前からインターネットを利用し続けている人が大半を占めるとされ、1982年より以前からインターネットユーザーである人も少なくないという。
今回の調査プロジェクトを率いたElon University教授のJanna Quitney Anderson氏は「次世代インターネットの構築を中心的に進める人々は、技術革新の方向性を把握してはいたとしても、その変化によって生じる政治的および社会的影響について、十分に議論が進められることは少ない。次世代のインターネット・アーキテクチャを、だれが実際にコントロールしていくのかという問題点を、非常に多くの専門家が懸念している」とコメントした。
2020年までに、世界中でネットワーク整備が進み、地球上のほとんどすべての人々が、現在とは比べものにならない低価格にて、モバイル環境でワイヤレス通信を利用できるようになるとの見方が、今回の調査対象者の56%によって支持されたとされている。また、こうしてインターネットが普及して自由に情報が流れることにより、国境のような垣根が取り除かれ、より都市や文化的グループレベルの交流が進むとの見方も、52%の専門家による支持を得たようだ。
さらに、インターネット上のグローバルなコミュニケーションは主に英語で行われるため、世界のコミュニケーションに占める英語の重要性はより増大するとの見方を、42%の専門家が唱えている。一方で、中国語の影響力を重要視する意見も強く、1970年からインターネット利用を開始し、3Comを創設したBob Metcalfe氏は「中国語訛りの英語を話す人々が、2020年にはかなりの割合を占めるようになる」と語っている。
「このままインターネット技術などの革新が進むならば、プライバシーは犠牲にされるものの、より良い世界が築かれていくことになるだろう。センサ、ストレージ、通信技術の改良によって、個人のプライベートな生活が世界中に一層オープンにさらされることになる」との意見が、46%の専門家によって示されている。
GoogleおよびUC Berkeleyに所属するHal Varian氏は、「プライバシーという概念そのものが、もはや過去のものとなってしまうだろう。技術的な見地からすれば、すでにプライバシーは時代遅れな考え方である。しかしながら、法的かつ社会的な、様々な制限が歯止めとなって、(プライバシーの喪失で)極端に最悪の結果がもたらされることはない」との見解を明らかにした。
バーチャル・リアリティ(仮想現実)の世界が急速に発展して、現実の社会で働くよりも、仮想現実の世界で富を得るIT系のコミュニティが育っていくとの予想や、その影響で仮想現実の世界にのめりこみ、深刻な問題を抱える人が増えていくとの懸念が、56%の専門家によって示されている。
また、ついに自動化技術が人間の制御不能な域にまで発達してしまい、追跡・監視技術やセキュリティシステムなどが、取り返しのつかない危険を生み出すようになるとの悲観的な見方が、42%の専門家に支持されているという。こうして急速に進化する情報通信技術に取り残されるため、一切の最新技術の利用を拒む人々のグループが形成されて、技術革新を阻もうと過激な行動に出る恐れがあるとの見方も、実に58%の専門家によって示されたようだ。
1978年からインターネットを利用している、米未来研究所(IFTF: Institute for the Future)のPaul Saffo氏は、「人類が自ら造り出した物に支配されてしまうことへの恐怖は、昔から繰り返し語られてきた。しかし私は、2020年以降に、急速に進化した機械が人類をペットのように支配する時代は、本当に現実となってしまうことを恐れている」と語った。
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