NTTドコモは、2006年度第1四半期(4~6月)の連結決算を発表した。売上高は対前年同期比2.7%増の1兆2,186億円、営業利益は同5.2%減の2,727億円、税引前利益は同22.4%減の2,744億円、当期純利益は同21.3%減の1,635億円で、増収減益となっているが、売上高には「2カ月くりこし」が失効になった分が収益として計上されており、実質的にはほぼ横ばいだ。また同社は、iモードでのキーワード検索機能強化のため連携サイトにGoogleを追加した。
売上高の内訳をみると、携帯電話収入が同3.5%増の1兆654億円だった。FOMAの契約数は6月末で2,622万(対前年同期比91.2%増)に達し、全体に占める比率は6月18日に半数を超え、50.7%となっており、FOMAへの移行は順調に進んでいる。これにともない、FOMAは音声収入が同78.9%増の4,092億円、パケット収入は同83.9%増の2,150億円だった。この四半期の純増数シェアは49.1%で首位を獲得している。
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NTTドコモ代表取締役社長 中村維夫氏 |
営業利益は減少しているが、この四半期はFOMAが大きく拡大しており、営業費用が9,458億円と前年同期に比べ464億円増加していることが響いた。端末販売数が伸びてFOMAの比重が大きくなったため、端末機器原価、販売代理店手数料などが拡大した。今四半期、税引前利益、純利益の減少幅が大きいのは、前の期には、Hutchison 3G UK Holgingsの株式売却益620億円が計上されていたため額が大きかったことによる。中村維夫社長は販売費増について「ほぼ想定内」と指摘、「営業利益は通期で8,100億円を目標にしているが、(当初の目論み通りの)線上にあるとみている。心配はしていない」と述べた。
ARPU(Average Revenue Per User: 1端末あたりの月間平均収入)は同10円減の6,900円、音声ARPUは同100円減の4,930円、パケットARPUは同90円増の1,970円だった。パケットARPUが上昇しているのも、データサービス利用が多い傾向にあるFOMAユーザーが増加したことの影響だ。パケット定額サービスの「パケホーダイ」の契約数は6月末で691万となった。この3月にFOMAのすべての新料金プランで利用可能になったこともあり、増勢が加速、FOMAユーザーの26%は「パケホーダイ」の契約者だ。
定額制サービスを強化したことなどにより、同社は「新たな収入源の創出」を目指し、さまざまな施策を打ち出している。決済やクレジットカードビジネスでは、6月末に「おサイフケータイ」の契約数が1,380万に上っているとともに、クレジットサービス「DCMX」「DCMX mini」の契約数は30万を超え、決済端末台数は約3万台となっている。
今年度もまず、堅調な滑り出し、といえるだろう。同社の解約率は非常に低くなっている。2003年度が1.21%、2004年度が1.01%、2005年度は1%を割り0.77%だった。同社の陣地は安定している。だが、この四半期にはさらに0.16ポイント下落して0.64%にまでなった。やはりここまでくると尋常ではなさそうだ。秋に始まる、事業者を変えても番号はそのままにできる「番号ポータビリティー制度(MNP)」を控え、いまはあえて解約しない向きが増えている可能性がある。中村社長は「解約率はいささか低すぎる。どのくらいの比率かはわからないが、MNPを待っている層がある」と話す。
MNP開始が近づき、携帯電話事業者各社は多様な方策を考え、自社ユーザーの「防御」に腐心している。着うたフルなど音楽配信サービスの充実化もその一つだが、そうした大容量データを円滑に利用できるようになるブロードバンド化を実現するHSDPA(High Speed Downlink Packet Access)のサービスが8月下旬から開始される。下りのデータ転送速度は最大3.6Mbpsで、現行のFOMAのおよそ10倍となる。対応端末は当初2機種だが、同社は来春をめどに2機種を追加、将来、90Xシリーズに標準搭載する意向で、利用可能人口は2006年度末で70%、2007年度末には90%以上にするという。
また、地上波デジタルテレビ放送が視聴できるワンセグ対応機は「すでに10万台を突破しており、想定を上回っている。かなり多くのユーザーに受け入れられつつある」(中村社長)ことを受け、同社では、さらに4、5機種のワンセグ対応機を投入する方針を明らかにした。
MNP導入により、ユーザーはどう動くのか。その動向を占う「世論調査」は複数実施されているが結果はさまざまで、依然ふたを開けてみなければわからない部分が大きいようだ。同社では例年、解約数が200万程度になるが、MNPの影響でこれが3、4割増えるのではないかと見込んでいる。王者ドコモを追って、KDDIは端末強化、検索サービス拡充などに余念がなく、ボーダフォンもソフトバンクモバイルにブランドが変わる頃には隠し球が明らかになろう。MNPは業界地図を変えるのか、あるいは変えないのか、予断を許さない。
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