ファイル交換ソフトの利用者は微増、でも「よく健闘」 - ACCSら調査

    小山安博  [2006/07/25]

    ACCSの久保田専務理事

    WinnyやWinMXなど、国内のファイル交換ソフト利用者は、2006年6月の段階で約175万人だったことが、コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)らの調査で明らかになった。過去の利用経験者とあわせると600万人以上がファイル交換ソフトを使ったことになり、2005年調査に比べて利用経験者は3ポイント増加した。ACCSの久保田裕専務理事は、「利用経験者は微増で、よく健闘した」と語り、増加の割合がそれほど多くないとの認識を示した。

    今回の調査では、インターネット利用者を「インターネット白書2006」(インプレス)が示した5,060万2,100人として計算、回答率からファイル交換ソフト利用者数を推計した。有効回答数は18,596人だった。

    結果によれば、ファイル交換ソフトを現在も利用していると回答したのは3.5%、過去に利用していたと回答したのは8.6%で、それぞれ約175万5,100人、約432万6,600人と推計された。2005年の調査ではそれぞれ2.7%、6.3%となっており、いずれも増加傾向にあるが、PCやブロードバンド回線の普及がさらに進展したことが一因とみられる。ファイル交換ソフトの全体の利用経験者数は約608万1,700人と推定された。

    ただ、調査時点の利用期間が2カ月未満のユーザーが2割以上いたほか、利用のきっかけが個人情報流出事件や利用者摘発といった報道だったという回答も7%となっており、報道で初めてファイル交換ソフトに興味を持って利用を開始したという層も目立った。

    主に交換されているファイルは音楽、映像、ソフトウェアなどで、著作権を侵害しているファイルが多くを占めていた点はこれまでと変わらず、音楽ファイルの91.1%、映像ファイルの86.2%が権利を侵害したものだった。ダウンロードされたファイル数は過去1年間の平均で1人あたり194ファイルだったが、2005年調査に比べて40ファイル程度減少した。

    一方、利用されているファイル交換ソフトは、利用経験ではWinMXが52.9%で従来通りトップを維持したが、現在主に利用しているソフトだと国産のWinnyがWinMXを超えてトップの33.3%となった。新しいソフトも登場しており、これまでの調査では回答がなかったLimewire、Shareの利用者も増加している。

    Winnyに関しては政府や業界が利用を控えるよう訴えても、いまだに利用者数が一定の割合で存在している。個人情報の流出や脆弱性問題で報道されることが多いWinnyは、非利用者層でも9割以上が存在を知っており、突出している点も特徴だ。

    すでにファイル交換ソフトの利用を停止した人は、その理由として、ウイルスや情報流出などセキュリティの問題を挙げた人が最も多いが、「著作権侵害などの問題がある」という回答も4人に1人に上っており、久保田専務理事は「(著作権に関する)意識の高まりがある」との見方を示す。それに加え、デジタルコンテンツの適正な流通が進展し、著作権侵害での摘発や個人情報流出の危険を冒してまで違法なファイル交換をすることが「割に合わない」(同)という意識も働いたことで、ファイル交換ソフトを利用しなくなったという人が増加していると指摘する。

    ACCSでは、Winnyを利用した違法なファイル交換に対して、利用者のIPアドレスを特定するツールの検証作業中で、できるだけ早い段階でツールを導入して利用者に利用停止を訴えていく計画。他の著作権管理団体なども啓発や利用者摘発を実施していくことで、違法なファイル交換を減らしていきたい考えだ。「技術、法制度、教育・啓発という3つのアプローチをバランスよく実施していくことが対策として重要」(同)。

    久保田専務理事は、違法なファイル交換については利用者が微増にとどまったとの見方を示し、「(違法なファイル交換が減ると)将来を楽観視している」とコメント。同時に、セキュアなP2P技術による適正なデジタルコンテンツ流通への期待を語り、P2P技術そのものを敵対視しているわけではないことを強調した。

    なお、映像コンテンツに関しては、海外のYouTubeのような動画投稿サイトも問題視されているが、これに関しても対応を強化。YouTube自体は著作権者からの通報によるデータ削除を頻繁に行っており、「(対応を強化している)JASRAC(日本音楽著作権協会)のノウハウを学ぶ」(同)ことで、今後削除要請を本格化させていく意向だ。

    関連記事

    関連サイト

    新着記事

    特設サイトの情報

      人気記事

      一覧

        イチオシ記事

        新着記事

        特別企画

        マイナビニュースマガジン