宇宙ステーション補給機(HTV)の試験機が公開、実証機は2009年2月打上げへ

 

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は23日、筑波宇宙センターにて「宇宙ステーション補給機(HTV)」の開発モデルを報道関係者に公開した。熱環境や振動に対する試験を行ってきたもので、今後、実際に飛行する技術実証機の開発を本格化させる。技術実証機の打上げは2009年2月を予定しており、基幹ロケット「H-IIA」をベースに打上げ能力を増強した「H-IIB」が使用される。

HTVプロジェクトチーム・虎野吉彦プロジェクトマネージャ

これはHTVの1/20模型。メインエンジンは4基搭載している

無人機でも有人機並みの信頼性

宇宙ステーション補給機「HTV(H-II Transfer Vehicle)」は、JAXAが開発中の無人宇宙機で、国際宇宙ステーション(ISS)への補給物資の輸送を目的としている。全長約10m(エンジンノズル含む)、直径約4.4mという巨大な円筒形をしており、与圧部(船内用)と非与圧部(船外用)あわせて約6トンの物資をISSに運ぶことが可能。ISSには自動で接近(ランデブー)し、約10mの距離で静止したあと、ISS側のロボットアームで捕捉、そしてドッキングを行う。

HTVの概要。与圧部には、ISS側から出入りが可能となる

HTVの運用。ISS離脱後は、大気圏に再突入させて燃やす

技術的な課題の1つは、この自動ランデブーだ。HTVでは、打上げロケットから分離後、GPSを利用するなどしてISSに接近するが、ISSは秒速8km程度の超高速で飛行しており、「cmオーダーの精度で近づかなければならない」(虎野プロマネ)という。ただJAXAは旧NASDA時代に、技術試験衛星VII型「おりひめ・ひこぼし」にてランデブー・ドッキングの経験があり、HTVでもそこで開発されたアルゴリズムが活用されている。

もう1つの課題は、HTVは無人機ではあるものの、有人施設のISSとドッキングし、宇宙飛行士が与圧部を利用するため、有人機なみの信頼性が要求されることだ。しかも無人でISSに接近する必要があり、様々なトラブルに対する高い耐久性が求められるので、HTVは完全冗長系システムとなっている。

ロケットの2段目と分離(提供:JAXA)

近づいてから、ロボットアームでキャッチ(同)

HTVは"ノード2"と呼ばれる場所にドッキングする(同)

非与圧部から曝露パレットを取り出す(同)

クリーンルームで熱構造モデルを見る

今回公開されたのは、HTVの「熱構造モデル(STM)」と呼ばれる試験機。宇宙空間の熱環境(極低温&高温)や打上げ時の振動などに、機体が耐えられるかどうか確認するために開発されたもので、実際に打上げられるのは次の「技術実証機(PFM)」からとなる。技術実証機の開発はすでに一部着手されており、今秋あたりから本格的に開始する予定。

HTVの熱構造モデル。実機と異なり与圧部はなく、上から非与圧部、電気モジュール、推進モジュールとなる。試験はほぼ完了している

非与圧部は宇宙空間にそのまま出ている。ここには、新しい実験装置やISS用の交換バッテリなどが搭載される

斜め後ろから。実機ではこの金色の部分に太陽電池が付く。そのため今は「上半分がキンキラキンで下半分がギンギラギン」(虎野プロマネ)

もう一方の斜め後ろ。中央のアンテナのような部分を、ISSのロボットアームが掴むのだそうだ。掴む場所はこの1カ所しかない

スラスタも"飾り"だが付いている。ここも冗長構成になっており、左右に2基ずつ付いているのが分かる。下方向は1基のみだが、スラスタは周囲の4カ所にあるので、結果として冗長になっている

その90°隣の位置にはこのスラスタ。ちなみに、HTVのスラスタはすでに実績のあるスペースシャトル用のものが使われるということで、信頼性は高い。HTVでの試験もすでに完了したそうだ

ちなみにHTVの国産度だが、「輸入品率は30%程度」(虎野プロマネ)とのこと。"純国産"とはならないが、これは「国産にするか輸入にするかは(コストなどとの)トレードオフで決めている」(同)のだそうだ。1機あたりのコストについては「まだ精査中」(同)のため明言は避けたが、「少なくともATV(後述)よりはずっと安くなる」とした。

HTVの今後の役割

ISSでは運用期間中、水や食料、新しい実験装置、交換が必要な機器などを継続的に運んでやる必要がある。現在、米国のスペースシャトルやロシアのソユーズ宇宙船・プログレス補給船などが人員・物資の輸送を担っているが、新たな補給機として、JAXAのHTVのほか、ESAも「ATV(Automated Transfer Vehicle)」を開発中。

それぞれ特徴があるが、「(定期的に交換する)バッテリを運べるのはシャトルとHTVしかない」(虎野プロマネ)ということで、2010年のシャトル退役後には、重要な役割を果たすことになりそうだ。HTVは年間で、1~2機を打ち上げる予定。

HTVは補給品も含めると質量は最大16.5トンと、これまでの衛星のおよそ4倍にもなってしまうので、打上げ能力を高めるために第1段エンジンをクラスタ化したH-IIBロケットが現在開発中だ。今回はHTVに関する会見ということで、H-IIBについての説明は特になかったが、静止トランスファー軌道(GTO)への打上げ能力は、H-IIA(標準型)の6トンから8トンに強化される見込み。宇宙機(HTV)と打上げロケット(H-IIB)がともに新規開発というリスクもあるが、すでに実績のある第1段エンジン(LE-7A)を使うことで、JAXAは信頼性を確保する考えだ。

開発中のH-IIBロケット。H-IIAより少し太い(イメージ、提供:JAXA)

フェアリングを分離したところ。LE-7Aが2基ある点に注目(同)



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