2007年、日本の民間人が"宇宙ビジネスマン"として宇宙へ飛び立つ

石川県金沢市の金沢21世紀美術館において7日、民間商業宇宙飛行士「ミッション・コマンダー」に関する共同記者発表会が行われた。これは宇宙航空研究開発機構(JAXA)のオープンラボユニット「スペースゲート」のほか、米Rocketplane Kistler、国際宇宙サービス、銀河ヒッチハイカーズ、宇宙観光企画、という民間宇宙開発に関わる企業・団体が共同で主催したもので、宇宙に飛び立つミッション・コマンダー3名の発表と、その事業内容についての説明が行われた。

ミッション・コマンダーとして2007年以降宇宙へ向かう3名。左より宇宙観光企画・箱田雅彦氏、銀河ヒッチハイカーズ・星野誠氏、国際宇宙サービス・山崎大地氏

「民間商業宇宙飛行士」と定義されるミッション・コマンダーは、Rocketplane Kistlerが2007年後半の開始を予定している宇宙飛行に搭乗し、企業などから依頼を受けて宇宙空間を利用した商業ミッションを実施するという役職。今回発表された日本人3名が、同プロジェクトで最初のミッション・コマンダーとなる。Rocketplane Kistlerのこの計画は、宇宙船および宇宙飛行士をサービスとして提供するものであり、同社によれば民間のビジネスとしては世界初の試みだという。

発表会ではミッション・コマンダーとして弾道飛行型の宇宙船「Rocketplane XP」への搭乗が決定した、国際宇宙サービスの山崎大地氏、銀河ヒッチハイカーズの星野誠氏、宇宙観光企画の箱田雅彦氏が登壇し、業務の概要説明と、宇宙ビジネスに関する提案を行った。また3氏は所属する各企業・団体の代表も務めており、ミッションの成功に向けて3者が一丸となって取り組む姿勢も示された。フライトは山崎氏、星野氏、箱田氏の順で、搭乗しないフライトではそれぞれが予備要員となる。

現在のところRocketplane XPによる宇宙飛行が連続3フライト分チャーターされており、各フライトに1名ずつミッション・コマンダーが搭乗する。このXPは4人乗りで、元NASA宇宙飛行士のパイロットとミッション・コマンダーのほかに、2名分が一般の参加枠として用意されている。Rocketplane Kistlerによればこの宇宙飛行は、まず通常のジェット機のようにスペースポートから離陸、そののちロケットエンジンで垂直に急上昇し、高度100kmの宇宙空間にまで到達するという。

Rocketplane Kistlerによる「XP」のフライトイメージ

無重力の環境下には3~5分ほどの滞在で、全体で約50分間のフライトになるとのこと。気になる代金については、1人あたり約25万ドル(1ドル112円換算で約2,800万円)と設定されている。これは最初の50人までの参加代金で、それ以降は約20万ドル(1ドル112円換算で約2,240万円)となる予定とされた。同社ではWebサイトに日本語の案内ページも用意し、資料請求などの問い合わせを受け付けている。

最初のフライトを担当する山崎氏の夫人はJAXAの宇宙飛行士である山崎直子氏。「ゆくゆくは娘と親子3人で宇宙旅行をしたい。そのための道を開拓したいですね」と夢を語った

「簡単に言うと『やればできる』ということで、子供たちが自分たちの態度を見て『(宇宙に)行きたい』と思えるものを作っていきたい」と述べた星野氏

IT業界に関わる箱田氏は「当初のインターネットの盛り上がりに近いものを宇宙ビジネスに感じています。チャンスを逃したくないというモチベーションも強い」とコメント

山崎大地氏(国際宇宙サービス取締役社長兼CEO、ミッション・コマンダー1号)
「第1便ということでまず確実に成功させたい、それも早く飛びたいです。いま3便をチャーターしていますが、何度でもサービスを提供していきたいと思っています。ミッション・コマンダーの提案をしましたが、それは私たちに限ったものではなく、仕事として宇宙に行く人は誰でもミッション・コマンダーと呼べると思いますので、こういったビジネスを広げていけば、いろいろなサービスを提供できるのではないかと思っています」

星野誠氏(銀河ヒッチハイカーズ取締役社長兼CEO、ミッション・コマンダー2号)
「(行いたい活動は)私は2番目のフライトですので、1番目のフライトと関連したシリーズもののフライトですね。そのほかにもアートなど、技術的には宇宙とまったく関係ない色々な分野から感性でビジネス案を応募して、それを実際に実現していく『身近な宇宙』というのを考えています」

箱田雅彦氏(宇宙観光企画代表、ミッション・コマンダー3号)
「私自身はモバイルサービス会社の社員で、今日は有給(休暇)を取ってこちらに来ました。新しいビジネスが立ち上がる上では私のような立場が必要と思いましてこのような立ち位置を取っています。携帯のような日常のものと宇宙をつなげる役割を今後担いたいと思います。まずはみんなが心のなかに潜在的に持っている宇宙への憧れを顕在化させて、市場を作り出すところに注力していきたいと思います」

会見にはRocketplane Kistlerの副社長、チャック・ラワ氏(右)も駆けつけた。同社は北海道宇宙科学技術創世センター(HASTIC)とも協力提携を行っている

今年5月にアメリカのRocketplane Kistlerにおいて行われたミッションコマンダー契約締結式から。左が星野氏、右が山崎氏

宇宙を活用したビジネスは、宇宙旅行だけではない

今回発表されたミッション・コマンダーはNASAやJAXAといった公的機関の宇宙飛行士とは異なっており、厳密な意味においては一般の宇宙飛行参加者と区別されていないが、観光目的ではなくあくまでも「委託を受けて宇宙で業務を行う」という点が大きな特徴と言える。業務内容は大まかにわけて、一般参加者に対する添乗員としての役割と、企業や個人の希望者から依頼を受けて宇宙空間で商業ミッションを行う代行業務的なものの2種類があり、とくに後者の業務プランについては今回の発表会において、さまざまなものがミッション・コマンダー側より提示された。

具体例としては、無重力空間を活用した実験やCM撮影、宇宙服にロゴを入れるといった広告宣伝、また商品や個人の品をフライトの際に使用あるいは携帯したり、さらにはRocketplane XPの機体そのものを企業のシンボルカラーに塗装するといったものまで、さまざまな商業ミッションのプランが挙げられている。連続して3フライトをチャーターしているため、シリーズ的なミッションも可能とのこと。具体的な企業名は明かされなかったが、すでに実現に向けて交渉を開始しているものもあり、そのほかにも宇宙実験コンテストで入賞した学生ミッションの実施が計画されている。民間宇宙飛行が産声を上げたばかりの現段階で、宇宙旅行に焦点が集まるのは当然のことだが、同時に宇宙を活用したビジネスは旅行だけではないということもアピールされた。

なおRocketplane Kistlerは、先ごろ予選通過者が発表となった宇宙旅行服デザインコンテスト「スペース・クチュール・デザインコンテスト」も主催しており、最優秀賞に選ばれたデザインの宇宙旅行服は宇宙飛行において着用することも予定している。余談ながら、Rocketplane Kistlerの宇宙飛行の離着陸がオクラホマスペースポートで行われることから、発表会には米オクラホマ州の上院議員で過去に阪神タイガースの選手として活躍したランディ・バース氏の出席が予定されていたが、残念ながら都合により欠席となった。



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