電子マネー市場拡大へ、インテル/ビットワレット/マイクロソフトが協調

小山安博  [2006/06/13]

おサイフケータイなどで普及が拡大している電子マネーを使った電子商取引市場に対し、インテル、ビットワレット、マイクロソフトの3社が共同で取り組みを行い、市場の拡大と普及の促進を図る「スマートデジタルライフ推進プロジェクト」を開始する。1年間の見込みでプロジェクトを進め、FeliCa対応端末を前年比で3倍にするなどの成果の実現を目指す。

左からマイクロソフト執行役常務OEM統括本部ゼネラルビジネス担当・眞柄泰利氏、ビットワレット執行役員宮沢和正氏、インテル取締役事業開発本部町田栄作氏

ソニーが開発した非接触IC技術のFeliCaは、プリペイド式の電子マネーカードや社員証、携帯電話にチップを搭載した「おサイフケータイ」などで利用が進んでおり、電子マネーのEdyを推進するビットワレットは、現在までに約1,860万枚のカードを発行、利用可能店舗は3万店を超え、2005年度1年間の取引は1億2,000万件を突破した。

急進するEdyユーザー。取引高も増加しており、特におサイフケータイの影響が大きいという。おサイフケータイはリーダー/ライターがなくてもインターネット経由で入金できるので、これも取引高の増加に一役買っているそうだ

Edy加盟点数は全国で3万店以上

Edyで決済できるインターネット上のサービス

Edyに代表される電子マネーは、プリペイド方式のため現金の使いすぎが防げ、クレジットカードのように取得に年齢制限などがない、入会手続きや会費が不要、個人情報がいらず、匿名での買い物も可能といったメリットがあり、おサイフケータイの普及も手伝って市場は順調に拡大している。

FeliCaカードやおサイフケータイは、PCなどでの個人認証にも使われる。社員証などがその代表だが、たとえばソニーのPCに搭載されているFeliCaポートにカードやおサイフケータイをかざすと、Windowsのログインパスワードの代わりに利用できたり、WebサイトのログインIDとパスワードを関連づけて保存したりといったことが可能だ。

こうした用途に関しては、たとえばEdyカードをPCにかざすだけでオンラインショッピングサイトが開いて自動的にログイン、商品を選び、支払いはEdyで、という一連の作業が単純化でき、ユーザーはカードをかざして商品を選ぶだけでいい。

リーダー/ライターにこのようにかざすだけで利用できる

たとえばWebサイトのURLとログインID、パスワードを関連づけておけば、自動的にサイトにつながり、商品を選ぶだけで購入まで可能になる

これが普及すれば、PCが苦手な高齢者やクレジットカードが取得できない若年層なども手軽にネットショッピングが可能になるほか、インターネット上でクレジットカードを利用することを不安視するユーザーも安全に買い物ができる。

応用例。携帯やカードをかざすだけでWebサイトにつながるので、高齢者など、PCに詳しくない人でも簡単に利用できるようになる

こちらも応用例。たとえば欧州では、無線LANとRFIDを活用、商品をショッピングカートに入れるだけで随時精算を行い、レジに並ばずに買い物ができる

コンテンツ配信にも使える。携帯電話でコンテンツを購入、携帯のFeliCaチップに権利情報を書き込み、PCのリーダー/ライターに携帯をかざすとそのコンテンツが視聴できる、といった機能が実現できる

これらの応用事例を普及させ、若年層から高齢者まで、Eコマースの利用を拡大させていきたい考えだ

こうしたメリットをユーザー側と企業側にそれぞれ訴求していくことで、(1)FeliCa対応のオンラインサービスの拡大(2)PCや情報端末でのFeliCa対応端末の普及促進(3)PCや情報端末の新しい利用モデルの創出とEコマースの活性化――という3点を目的として活動を行う。

ハードウェアベンダーやサービスプロバイダーなど、すでに35社がこのプロジェクトに賛同しており、PC内蔵・外付けを含めたFeliCa対応端末を1年後に現在の3倍となる年間出荷300万台規模に拡大することを狙う。対応するオンラインサービスも、Edy対応サービスだけで現在の2倍となる3,000サイトを目指す。FeliCaを使った決済の取引高も、現状の「数百億円規模」(ビットワレット執行役員宮沢和正氏)を2倍に引き上げることが目標だ。

1年後の目標

プロジェクトに賛同している企業

これまでもインテルがビットワレットに50億円を投資するなど、電子マネーの普及に対する施策を行ってきたが、マイクロソフトを加えた3社でプロジェクトを推し進めることで、さらなる普及の拡大を図りたい考えだ。インテルとマイクロソフトという、PCのプラットフォームベンダーの2強が組むことで、ベンダー各社の取り組みが加速することが期待されている。

仮にPCベンダーがFeliCaリーダー/ライターをPCに搭載する場合は多少コストアップにつながるが、マイクロソフトは、ソニーが公開しているFeliCaポートドライバをPCベンダーが採用する際の技術サポートを積極的に行うなどの支援を行い、普及の促進を狙う。また、3社はFeliCa対応サービスのシステム構築が今後拡大すると見ており、システム構築の支援も積極的に行う意向だ。

電子マネーではビットワレットのEdyに加え、JR東日本のSuicaも広がっており、ヤフーとの協業を行うなど事業を拡大している。今回のプロジェクトではEdy以外の電子マネーも対象とする方針で、「JR東日本とも話し合いをしている」(宮沢氏)という。

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