Tail to Noseはインディーズの福音? Amazon、委託販売プログラムを開始

      [2006/06/12]

    amazon.co.jpを運営するアマゾン ジャパンは12日、委託販売プログラム「e託販売サービス」の開始を発表した。ISBNコード・JANコードをもつ個人・法人の出版物・CDなどのパッケージ商品を対象に受け付ける。プログラム参加にかかる費用は、「年会費9,000円のみ」(同社)。なお、8月31日まではキャンペーン期間中とし、年会費が無料となる。委託の掛け率は60%。これまで一般流通で扱われることが少なかったインディーズ作品を拡充、同社が在庫として保管することで、商品ラインナップの拡充と「通常24時間以内に発送」する商品の拡大を促進する。

    同社はe託販売サービスの開始に際して記者会見を開催。同社メディア プロダクト ヴァイスプレジデントのローレン川崎氏、同社e託販売サービス 統括マネージャーの根来香里氏、に・よん・なな・みゅーじっく(247ミュージック)代表取締役の丸山茂雄氏の3氏が出席。根来氏がe託販売サービスの概要を解説した。

    アマゾン ジャパンのメディア プロダクト ヴァイスプレジデント ローレン川崎氏

    アマゾン ジャパンのe託販売サービス 統括マネージャー 根来香里氏

    247ミュージック代表取締役 丸山茂雄氏

    e託販売サービスは、同社が依頼者に代わって商品の販売・発送・カスタマーサポートを執り行う、委託販売プログラム。日本国内の事業体および20歳以上の個人が対象のプログラムで、参加には次の条件を満たす必要がある。

    • 登録する商品の販売権を持っている
    • カタログ登録する商品について、ISBNもしくはJANコードが必須
    • ISBNもしくはJANコードが商品パッケージに印刷または貼り付けされている
    • 法人所在地が日本国内に在る
    • 銀行口座が日本国内に在る
    • E-mailアドレス持っている、またはWebアクセスが可能

    同プログラムの参加費用は年会費9,000円。

    取り扱う商品の種類は、出版物・CD・DVD・ソフトウェア・ゲームなどのパッケージ商品を対象とする。amazon.co.jpでは「エレクトロニクス」として取り扱われている電化製品は、「商品サイズなどの面で難しい」(根来氏)としながらも、「将来的には対応していきたい」と、分野の多様化に向けて前向きだ。

    e託販売サービス 参加条件

    同プログラムには、amazon.co.jpのトップ画面にある「Amazon e託販売サービス」でアカウントを作成することから始まる。アカウント情報を登録すると、同社が申請を審査。「基本的にISBNコード・JANコードが付与されているならば、承認されることになる」(根来氏)。審査を経て承認された後、参加者は委託商品を登録。商品は何点でも登録することが可能だ。

    商品の納入数は、同社が需要予測に基づいて決定する。同社の納入依頼後、参加者は同社へ商品を発送し、これが完了するとamazon.co.jpにて商品の販売が始まる。委託期間は「特にもうけていない」(根来)という。「商品のセレクションという位置付けのため」としており、商品ラインナップの拡充を図りたい考えだ。

    amazon.co.jpのユーザーが参加者の商品を購入すると、同社が商品の箱詰めや発送をする。売上は翌々月の月末までに、指定の口座に支払われることとなる。

    amazon.co.jpに表示される「Make Money」カラムの「Amazon e託販売サービス」が入り口

    e託販売サービスの流れ

    参加者は専用のWeb画面「e託セントラル」で、登録商品の在庫状況や、販売実績などを確認することが可能だ。

    e託セントラルの画面。左のタブから、「委託状況」「商品登録」「レポート」「登録情報」

    前月・今月の販売実績や在庫状況などを確認することができる

    根来氏は、「amazonでは卸を通じて商品を調達してきた」とこれまでの経緯を振り返る。その上で「e託販売サービスでは、一般の流通でなかなか見えてこない作品を取り扱い、委託販売を通じて著者・アーティストの創作活動を支援していく」と、同プログラムの意義を強調する。「インディーズ作品などを取り扱うe託販売サービスで、ロングテールのテール部分を拡げる(商品数の増加)だけでなく、押し上げていきたい(販売量の増加)」意向だ。

    テールからノーズへ――インディーズの願いをかなえる環境

    丸山茂雄氏

    「数カ月前に、e託(販売サービス)の話を聞いた」と、丸山氏は同プログラムとの出会いを振り返る。「プログラムの中身を聞いて、是非応援しようと思った」

    丸山氏は1968年にCBSソニーレコード(現ソニー・ミュージックエンタテインメント)入社後、EPICソニーレコードを設立。1993年にはソニー・コンピュータエンタテインメントを設立したほか、1998年にはソニー・ミュージックエンタテインメントの代表取締役社長に就任。2003年3月に247ミュージックを設立、代表取締役に就任している。

    このような経歴の丸山氏は、自身の営業時代を振り返りこう語る。「レーベル側にすると、委託販売は避けなければならなかった。ショップは委託であれば置きますよと言ってくれるが、倉庫に眠りっぱなしといったこともあった」。このように語った上で丸山氏は、「e託は売れている商品も委託の商品も、倉庫に置いてある点では一緒」と語る。「(委託商品を)メジャーな商品と同じように取り扱うことで、委託であることのマイナス面が消えた」

    続けて丸山氏は、「卸は、我々のようなインディーズレーベルの作品を、在庫としてもたないようにしている。卸に在庫が無いとなると、amazon.co.jpの特徴『通常24時間以内に発送』が生きない」と、インディーズ作品の流通面の問題を指摘する。「このプログラムによって、小規模レーベルの機会ロスが減るのではないか」と期待を寄せる。

    「多くの人・企業が参加することで、ロングテールのテール部分が300mから3km、5kmまで伸びるだろう」と丸山氏。「そして、テールの方にいる連中がノーズの方にどんどん上がってくる――これがインディーズの願い」と語り、「その環境が整備されて嬉しい」と、プログラム開始を祝った。

    音楽産業に関して、日本市場はメジャーレーベルのブランドが強いのではないか? この問いに川崎氏は、「どこの国でもメジャーは強い」と語る。インディーズ作品を育む土壌が日本にはあるのか――「日本は最も大きなインディーズ市場。販売量だけでなく、著者・アーティストの育成にも注目してもらえたら」。

    現在、Amazonは米英独で同様のプログラムを展開しているが、「10年前に米国で同様のプログラムを開始したところ、一般の商品と同じかそれ以上に売れているインディーズ作品がでてきた」と川崎氏。同社の4月の月間ユーザーは1,500万人に達している。

    「昨日(11日)、一足早くe託に登録しました。ここだけは、私の(レーベルの)宣伝(笑)」と丸山氏

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