オープンソースのJavaクラスライブラリ - GNU Classpath 0.91公開

後藤大地  [2006/05/17]

GNU Classpath 0.91 公開

The GNU Classpath Projectは15日(米国時間)、GNU Classpathの最新版となるGNU Classpath 0.91 "All for One, One for All"を公開した。GNU ClasspathはJavaで作成されたJavaコアライブラリ実装。すでに多くのクラスをカバーしており、GNU Classpath 1.0のリリースが待たれる。

GNU Classpath 0.91 "All for One, One for All"はGNU GENERAL PUBLIC LICENSE Version 2のもとで公開されているオープンソースソフトウェア。ただし、ライセンスに対する釈明と特約が付随しており、Javaコアライブラリとして使いやすいようにリンクに関する事項に特例が与えられている。

GNU Classpath 0.91 "All for One, One for All"における主な変更点は次のとおり。システムとのコネクションがより強まった形だ。Java 1.5機能のマージもはじまっている。

  • RMIアクティベーションデーモンおよびパーシステントネーミングサービスツールの同梱
  • CUPSを経由したクライアントフォーマットデータのサポート、シングルドキュメント印刷、プリンとサービスディスカバリ機能の追加
  • マスタムマウスカーソル機能の追加
  • システムクリップボードおよびセレクションアクセス機能のサポート追加
  • アクセシビリティに対応するためのSwing Oceanテーマの追加
  • アノテーションなどJava 1.5に用意されている機能をサポートするために仮想マシンランタイムインターフェースに対して各種機能のマージ

前リリースに引き続き今回もJava 1.5のGenericをサポートしたclasspath-0.91-genericsも別途用意されている。

GNU Classpath 0.91 "All for One, One for All"は開発プラットフォーム向けのデベロッパスナップショットリリース。エンドユーザ向けのリリースではなく、GCC (gcj)やKaffeといったプロジェクトにおいて用いられることを想定したもの。

The GNU Classpath Projectは1月13日(米国時間)、GNU Classpath 0.20をリリース。3月6日(米国時間)にはGNU Classpath 0.90 "A La Mort Subite"を公開し、バージョン番号を一気に0.9の台に変更した。初のパブリックリリースとなるGNU Classpath 1.0を視野に入れはじめたことがうかがえる。

Sun Microsystemsは態度を軟化、どうなる今後の展開

GNU Classpathが着実に歩みを進める一方で、Sun Microsystemsから2006 JavaOne Conferenceに合わせて発表されたGNU/Linux、OpenSolarisにおけるJava SE 5再配布の許可に関する報道が注目される。Sun Microsystemsが最近注力している分野を考えれば、OpenSolaris以外にDebian、Ubuntuから最初の合意が得られたことにどのような議論があったかは想像に難しくない。同氏の意向が強く反映されているとみていいだろう。

GNU Classpathが完成度を高めつつあると同時に、Sun Microsystemsも態度を軟化させ配布の容易性を向上させようとしている。ただし、依然としてOSSにはなっておらず、最終的な決定権はSun Microsystemsが握ったままになっている。合意に至ったディストリビューションもDebian、Ubuntu、Gentooであり、Linuxとともにサーバシステムで採用されているFreeBSDは今回の合意には含まれていない。

Operating System Distributor's License (JDL)におけるライセンス内容は、DebianやUbuntuに限らずほかのOSやFreeBSDにおいても適用できるものなので、今後の交渉しだいで他のOSプロジェクトからも同様の発表があることが予想される。FreeBSDやNetBSDから正式な発表はまだないが、Sun Microsystemsから同発表があったことはすでに関係者に伝わっているようだ。今後の交渉につながっていくものと考えてよいだろう。

Sun MicrosystemsがJDK/JREの配布に関し、ここ2年で急激に態度を軟化させていることはFOSSの側面からすると特記すべき事項。しかしながら、現状ではまだ十分ではないことも事実。FOSSプロジェクトの多くは開発に重きをおいており、法律の絡む対外交渉を得意としないところも多い。このためライセンス合意や法的やりとりが介在するアプリケーションよりも、ライセンスが明らかで同梱しやすいFOSSアプリケーションが普及する一因となっている。

Sun Microsystemsにおけるライセンス軟化はFOSSの側面からすれば評価できるものであるが、すでにインフラとしての位置を獲得しつつあるJDK/JREからすれば、JDLにおいてもまだ手続きが面倒といわれてもしかたないかもしれない。

しかし、今回のSun Microsystemsからの発表は、今後につながらる一つのステップとして高く評価できるものだ。GNU Classpathや周辺のFOSSアプリケーション開発の進展も絡めつつ、今後も注目し続ける必要がある。

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