今夏、Adobe Flex 2.0 登場! - AjaxとFlash、どっち?

    後藤大地  [2006/04/17]

    アドビシステムズは14日、Adobe Flex 2.0について発表をおこなった。Adobe Flex 2.0はFlashテクノロジをベースとするリッチインターネットアプリケーションのための開発およびランタイムプラットフォーム。軽量に動作するうえに開発も容易であり、今後のインターネットアプリケーション開発において重要な地位をしめる可能性があるとみられている。

    アドビシステムズ

    インターネットを変えるのか? - Adobe Flex 2.0 今年夏登場

    「私たちアドビが、このエクスペリエンスエコノミにおいてなにを提供できるか、ということです」と、アドビシステムズ、マーケティング本部本部長 伊藤かつら氏は述べる。これに対する答えとしてアドビでは、エンゲージメントプラットフォームを展開してユーザエクスペリエンスを提供していくのだと続けた。Adobe Flexはエンゲージメントプラットフォームを構成するコンポーネントに分類されている。

    アドビシステムズ、マーケティング本部本部長 伊藤かつら氏

    ユーザエクスペリエンスの変化

    エンゲージメントプラットフォーム

    伊藤氏は、1990年前半はヘビーアプリケーションをそのままインターネットクライアントに持ってきたファット&リッチクライアントであったと説明。これからはファットの部分を軽量に変更しつつ、かつ、リッチクライアントは機能を削減することなく実現する「RIA - Rich Internet Application」が要諦になるだろうとした。そしてそれを実現するものがAdobe Flex 2.0だという。

    Adobe Flex 2.0とは

    アドビシステムズ、プロダクト&セールスエンジニアリング部、プロダクトスペシャリスト 太田禎一氏から、Adobe Flex 2.0の機能について説明があった。Adobe Flex 2.0はFlashをベースとした開発プラットフォームでありランタイムプラットフォーム。開発環境からFlashの表現力が簡単に活用できるように工夫されている。新しく開発されたAVM2(ActionScript Virtual Machine)やコンポーネントの見直しでパフォーマンスが前バージョンとくらべて約10倍高速化されているほか、生産性の向上、無償SDKと開発版サーバを提供することでより多くの開発者が利用できるようになっている。

    アドビシステムズ、プロダクト&セールスエンジニアリング部、プロダクトスペシャリスト 太田禎一氏

    要するに、Flashを使ってWebアプリケーションシステムを開発するための開発環境と実行環境がAdobe Flex 2.0ということになる。クライアント側ではFlashプラグインを通じてFlashが実行され、サーバ側ではJavaアプリケーションサーバが動作する。今注目されている技術のおいしいところをまとめたような構成になっている。

    Adobe Flex 2.0

    Adobe Flex 2.0の特徴はいくつもあるが、機能の面にしぼれば新しいメッセージングサービスとデータマネージメントサービスをあげることができる。

    Adobe Flex 2.0ではメッセージングサービスを通じて外部のシステムと連携できるようになっている。Flex Data Servicesに搭載されているMessage ServiceがJMSに対応しているため、JMSを通じて既存のJMSを使うプラットフォームを使うことが可能だ。アダプタを開発すればJMSに限らず、ほかのプロトコルによる通信もできる。

    データマネージメントサービスについてもメッセージングサービスを同様に、アダプタを経由してほかのデータを連携することができる。たとえばRDBMS、DAO、ColdFusion、Hibernateなどと連携ができる。

    Adobe Flex 2.0のもうひとつの特徴は、Flashの開発環境としては初となるEclipse IDEベースの開発環境Flex Builder 2.0にある。Flex Builder 2.0はEclipse IDE込みでもプラグインの状態でも提供されている。コーディングベースの開発とGUIの開発の両方をサポートしている。

    Adobe Flex 2.0デモンストレーション

    ユーザエクスペリエンスの面からとらえたAdobe Flex 2.0の第一の特徴は、Webアプリケーションとは思えないスムーズな操作感とエフェクトにある。PCで動作するアプリケーションよりも滑らかで効果的なエフェクトを提供するといってもいい。

    アドビシステムズ、カスタマーケア部、プロフェッショナルサービスコンサルタン ト 上条晃宏氏は、Adobe Flex 2.0で作成したコンテンツを操作しながらこう説明する。「このようなエフェクトによってユーザは自分の操作を実感することができる。従来こうしたエフェクトはデザイナであれば作成することができたが、プログラマからはわかりにくいところがあった。Adobe Flex 2.0によってプログラマからもエフェクトが扱いやすくなったということだ」

    アドビシステムズ、カスタマーケア部、プロフェッショナルサービスコンサルタント 上条晃宏氏

    同氏はいくつものデモンストレーションを実施しながら、Adobe Flex 2.0が提供する機能を紹介した。次のいくつかを抜粋して紹介する。

    携帯販売サイトデモ: 携帯の情報提供から購入までの一連の作業を実現。Webアプリケーションとは思えないほどスムーズなエフェクトと操作感

    携帯販売サイトデモ: 動画とも連携しており、選択した携帯の詳細は操作方法が動画で表示されている

    グラフの連携デモ: 折れ線グラフと円グラフが連携しており、折れ線グラフを操作すると円グラフも変化する。変化にはエフェクトが効いており、グラフがそれぞれスムーズに動作する

    CSSによる装飾デモ: GUIの装飾はCSSをベースに連動しており、CSSを変更するとGUIも自動的に変化する。操作にはエフェクトが効いておりさまざまな操作が実現されている。画面はボタンコンポーネントの四辺の値を変更して丸ボタンへ徐々に変更している様子をしめしている

    メッセージングサービスデモ: 片方のクライアントで実施した変更が、もう片方のクライアントにも反映されている。デモでは同じPC内だが、外部のシステムと連携することもできる。たとえばインターネット経由で株価情報を取得するなど

    データマネージメントデモ: 2つのクライアントデータが同期していることを示している。動作はメッセージングサービスに似ているが、データの同期にともなうコンフリクトの処理など内部ではより複雑な処理がおこなわれている。ただし、プログラマからは簡単なAPIをコールするだけですむ

    どのデモンストレーションにも共通していたことは、それがWebアプリケーションとして動作しているとは思えないほど軽快で、かつ、GUIエフェクト効果がきわめて高いことだ。

    Ajaxとの共存 - Flex-Ajax Bridge (FABridge)

    Adobe Labsは3月21日(米国時間)、Adobe Flex 2.0とAjaxとの連携を実現するライブラリ「Flex-Ajax Bridge (FABridge)」を発表している。上条氏はFABridgeについても言及。「どんな技術にも強み弱味というものがある。AjaxはHTML、CSS、JavaScriptなどWebのコア技術を使って構築されている。既存技術をそのまま拡張するものであり素晴らしいことだ。FlexはFlashをベースにした技術であり、Flashでしか実現できない操作を提供する。その両方のよいところをもって相互補完すればいい」

    大量のデータをクライアントで処理するデモ: クライアントで大量の処理を実施する方法は遅くなることが多いが、いくつかの理由でクライアント側で処理することが求められることがあるという。そのような場合もAdobe Flex 2.0を使うと処理が高速になるという

    Ajaxとの連携デモ: Yahoo!は2月14日(米国時間)、ユーザインタフェースおよびデザインパターンのライブラリを一式にまとめた「The Yahoo! User Interface Library」を公開している。本デモはAdobe Flex 2.0とThe Yahoo! User Interface Libraryを使ったWebアプリケーションであり、双方共に共同していることを示している

    Ajaxの問題は、開発が難しいということと、非同期で動作している間、何が起こっているかわからないことなどだ。その部分にFlexを組み込むと、実行速度を向上させ、かつ、エフェクトを有効にすることができる。

    Flashのエフェクトがもたらす新しいエクスペリエンス

    Adobe Flex 2.0の具体的な出荷日時はまだ明らかにされていないが、大枠の方向として今夏の出荷になるとしている。サーバプラットフォームである「Flex Data Services 2.0」とEclipse IDEベースの「Flex Builder 2.0」は有償で、「Flex 2.0 SDK」は無償で提供される見通し。

    Google Mapsが公開されたことで、Ajaxと呼ばれる扱いやすいインターネットクライアントがクローズアップされるようになった。以後、Ajaxの技術を採用したWebアプリケーションが増えており、Webアプリケーションにおいても高度な操作感が求められている。その点、Adobe Flex 2.0が提供するエクスペリエンスは一歩先をいくものだといえる。

    Flashプラグイン自身はOSSではないため、すべてのOSで動作するものではないが、同社の掲示によるとFlashの動作プラットフォームはビジネスユースにおける98%をカバーしており、必要十分に網羅しているという認識だ。

    Adobe Flex 2.0のようにFlashテクノロジをベースとしたWebアプリケーション開発および実行のためのプラットフォームには、すでにOSSで開発されているOpenLasloなどもあり、今後ますます活発になっていくとみられる。

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