宇宙での遠隔手術実験 - 海中で宇宙任務をテストする"NEEMO"最新情報

    湯木進悟  [2006/03/30]

    水中に設置される前のアクエリアス海底研究室

    米航空宇宙局(NASA)は、「NASA Extreme Environment Mission Operations」(NEEMO)の最新ミッション「NEEMO 9」を、4月3~20日にかけて実施するとの正式発表を行った。このプロジェクトは、海底で宇宙計画などをテストすることを目的として、NASAが米海洋大気局(NOAA: National Oceanic and Atmospheric Administration)、ノースカロライナ大学と共同で進めているもの。今回のミッションでは遠隔手術などが実験の対象となる。

    2001年10月よりスタートしたNEEMOプロジェクトは、米国フロリダ州キーラーゴ沖の海底62フィート(約19メートル)に設置された「アクエリアス海底研究室」(Aquarius Underwater Laboratory)で実施。海底に常設されている研究所としては、同研究所が世界唯一のものだ。全長45フィート(約13.7メートル)、直径13フィート(約4メートル)の円筒状のアクエリアス海底研究室では、国際宇宙ステーション(ISS)の居住空間に似せた設計に仕上がっており、地上と隔絶された海底の環境において、将来的に宇宙空間での利用を目指す最新技術などのテストが進められるという。

    過去のNEEMOでは、アクエリアス海底研究室の周囲を多くの水中生物が訪れた!

    NEEMO 9は、当初の予定では昨年10月に実施されることになっていたようだが、米国各地に大きな被害をもたらした「リタ」ハリケーンの影響を受けてプロジェクトは延期。今回、再び4月に実施される予定が正式に明らかにされた。NEEMOプロジェクトマネージャーのBill Todd氏によれば、計18日間に及ぶミッションは、NEEMOにおける過去最長記録となるようだ。

    今回のプロジェクトでは、カナダ人宇宙飛行士のDave Williams氏がリーダーとなり、NASA宇宙飛行士のNicole Stott氏、Ron Garan氏に加えて、米シンシナティ大学のTim Broderick博士の、4人チームで同研究所に滞在する。NEEMO 9で行われる実験の大きな特徴は、遠隔コントロール方式のロボティック機器を用いた最新遠隔手術のテスト。

    アクエリアス海底研究室におけるプロジェクトは、米国テキサス州ヒューストンのジョンソン宇宙センター(JSC: Johnson Space Center)で統制される。同センターに設置されたコントロールセンター「Exploration Planning Operations Center」(ExPOC)からの交信は、宇宙空間での実施を想定して、月と地球間の2秒の通信遅延を再現している。これらの通信を受けて、何千マイルも離れた場所の医療チームの指令で遠隔手術に成功するならば、ISS(International Space Station: 国際宇宙ステーション)での緊急事態、さらには将来的に月面や火星探査時に生じる医療上の問題にも、スムーズに対応できる環境が整うとされている。

    アクエリアス海底研究室と交信するExPOC

    NEEMO 7で宇宙飛行士のRobert B. Thirsk氏によって行われた医療実験プロジェクト

    このほか、NEEMO 9では、アクエリアス海底研究室外の水中で建造プロジェクトを実施して、月面歩行などのシミュレーションも行われるという。

    NEEMOでは、アクエリアス海底研究室外の水中において、これまでも様々な建造プロジェクトが実施された

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