05年の世界の携帯電話市場は21%の成長、上位メーカーの独占状態が進む

Junya Suzuki  [2006/03/03]

調査会社の米Gartnerは2月28日(現地時間)、2005年の世界の携帯電話市場に関する最新の調査報告を発表した。それによれば、2005年の携帯電話市場は出荷数ベースで前年比21%アップし、トータルで8億1660万台に達した。市場は引き続き成長を続ける一方で、上位メーカーがシェアをさらに拡大するなど、市場を圧倒している様子が読み取れる。

途上国の利用者増が世界の携帯電話市場をけん引

2005年第4四半期(10-12月期)の出荷台数はトータルで2億3500万台で、前年同期比で約20%上昇している。Gartnerの報告によれば、この出荷台数は同社が2001年に四半期ベースの集計を開始して以来の記録を更新したという。英Gartnerの携帯電話調査主席アナリストのCarolina Milanesi氏は「この販売記録は、途上国などの新興系市場で続く成長に起因するものだ。同市場では携帯端末の価格や利用料金の下落が起こっており、それが結果として予想以上の市場の伸びに結びついた。一方で西欧や北米などの市場では、ユーザーはファッショナブル性の高い端末に目を向けている」と、市場の二極化と世界規模での成長の要因について分析する。

もう1つのトレンドは、大手メーカーによる市場シェアの大幅拡大だ。2005年全体でみると、シェア上位6社(Nokia、Motorola、Samsung、LG、Sony Ericsson、Siemens/BenQMobile)の合計だけで市場の79.4%を占めていることになる。2005年第1四半期に78%だった6社の合計シェアは第4四半期には84%まで進行しており、短期間で大きな伸びをみせている。

2005年世界携帯電話市場のメーカー別出荷台数
メーカー 台数 シェア
Nokia
2億6561万4800台
32.5%
Motorola
1億4492万400台
17.7%
Samsung
1億375万3600台
12.7%
LG
5492万4600台
6.7%
Sony Ericsson
5177万3800台
6.3%
Siemens
2859万600台
3.5%
その他
1億6698万5100台
20.6%
合計
8億1656万2900台
100.0%

大手メーカーの市場制圧が進行

メーカー別の動向を分析してみると、フィンランドのNokiaが32.5%のシェアを獲得し、これまでと変わらずに安定したトップの地位を確保している。2004年の同社の市場シェアは30.7%であり、さらにシェアを拡大していることがわかる。欧州やアジアでは2位のベンダーに2倍以上、東欧や中東、アフリカ地域では3倍以上もシェアを引き離しており、その強さを見せつけている。2004年はやや低迷した同社だが、6680やスタイリッシュな8800、そしてW-CDMA市場向けのN70のリリースにより勢いを取り戻し、今回の実績に結びついた。

2位のMotorolaは欧米市場に強いメーカーで、特に2005年は薄型携帯電話RAZRの世界規模での大ヒットが大きく、全携帯電話メーカーで最大の成長率となった。一方で、2004年末にMotorolaを抜いて一時的にシェア2位の座に君臨した韓国のSamsungの成長率は横ばいとなり、好調だったMotorolaに大きくシェアを引き離される結果となった。4位のLGと5位のSony Ericssonは微増にとどまり順位の変動はなし。6位にはドイツのSiemensが君臨していたが、しだいにシェアを減らして2005年後半にはBenQMobileにその座を取って代わられている。

またガートナージャパンが出した調査報告によれば、日本の国内ベンダーであるパナソニック、NEC、三洋電機が8~10位に顔を出しているが、それぞれ1%前半のシェアであり、前年の2%台に比べてシェアが減少しているという。世界市場が成長するなかで日本市場が占めるシェアが相対的に下落しており、メーカー別のシェアの分散化が進んだことが原因だと同社では分析する。大手がシェアを大幅に拡大するなか、市場の流れについていけなかった中小ベンダーが続々とシェアを失っており、開発投資やマーケティングに大きな予算を割けない中小ベンダーにとっては冬の時代が到来しつつある。

二極化の進む市場

前出のMilanesi氏によれば、新興系市場などでは端末価格引き下げに関するプレッシャーが引き続きメーカーにのしかかる一方で、欧米などの成熟した市場ではデザイン性やテクノロジなどを凝縮したハイエンド端末に対する需要が増加し、技術開発競争が活発化しているという。「規模の経済やニッチ市場向けの適切なビジネス展開を行わない限り、この業界で生き残るのは難しい」と同氏が指摘するように、端末の大量出荷による価格の引き下げと、高機能端末の適切なリリースを組み合わせ、二極化した市場にうまく適合していくことがメーカーに求められつつある。

欧米市場ではファッショナブルな端末やカメラ付き携帯電話などの高機能端末への買い替え需要が、市場をけん引する原動力になっている。例えば欧州ではMotorola RAZR V3のピンクモデルやSiemensのCL75 Poppyの人気が高く、英国などではピンクRAZR V3購入のために、わざわざ既存の契約とは別に新規契約を結ぶユーザーが出現したという。北米でもRAZR V3などのファッショナブルな端末に人気が出ており、プリペイド式携帯電話も堅調に伸びているという。こうした傾向は中東やアフリカなどの地域でも平均所得の高い都市でみられ、「ファッショナブル」「高機能」が売れ筋製品のキーワードとなっている。一方日本では、「音楽再生機能」が買い替え需要のキーワードになっているという。

中南米地域では前年比で40%増を達成しているが、Gartnerではこの地域の成長は今後鈍化するものとみている。一方でアジア太平洋地域、特に中国とインドでの伸びが市場を支えることになると分析している。中国ではGSM端末の伸びが市場をけん引しているほか、インドでは11月と12月に携帯電話の新規契約数が過去最高を記録したという。

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