ソフトバンクは、2005年度4~12月期通算の連結決算を発表した。売上高は対前年同期比44.2%増の8102億5800万円、営業利益は279億1200万円(前年同期は143億2600万円の損失)、当期純利益は178億1900万円(同326億500万円の損失)となり、営業損益、当期損益で黒字化を達成した。ヤフーなどのインターネットカルチャー事業が引き続き好調だったのに加え、ADSL事業を含むブロードバンドインフラ分野が第3四半期(10~12月期)に93億円の営業利益を稼ぎ出すなど、貢献した。同社は通信事業に参入して以来、先行投資による大幅な赤字に苦しんできたが、今年度は通期での黒字転換が視野に入ってきた。
今年度の同社連結営業損益を四半期ごとにみると、第1四半期(4~6月期)は31億円の赤字、第2四半期には4年半ぶりに黒字転換、75億円の利益となっているが、第3四半期にはこれが大きく伸長、235億円の黒字だった。ただし、これには、モデムレンタル事業の売却益74億円が含まれていることから、この分を除いた「161億円が、永続的な実力ベースの利益といえるが、それでも前四半期の2倍」(孫正義社長)
同社の稼ぎ頭は「インターネットカルチャー事業」だ。ヤフーの広告収入や、「Yahoo!オークション」の取扱高、求人情報などの法人向け事業も順調で、この事業分野の売上高は同61%増の429億6100万円、営業利益は同51%増の528億9300万円だった。
「Yahoo!BB ADSL」などの「ブロードバンドインフラ事業」は、売上高が同33%増の487億4300万円、営業利益は83億5000万円(前年同期は471億5200万円の赤字)となった。第1四半期は44億円の赤字で、第2四半期には34億円の黒字に転換したものの、中間期までの累計では10億円の赤字だったが、第3四半期の12月末には、「Yahoo!BB ADSL」の回線数が500万に達し、第3四半期は黒字が93億円に拡大、この領域も通期黒字化がみえてきた。孫社長は「ブロードバンド事業は5年前に始め、四半期ごとに大きな赤字を計上してきたが、大幅な利益を出せるまでに改善した」と述べた。
しかし、FTTH事業は現状、積極的な顧客獲得活動を控えている状況にある。これまでは、設備を整えるのに際して、NTTとの手続きが煩雑で、コストに見合った利益が出ない、との理由で「無理はしない」(孫社長)との姿勢を示していたが、今回、孫社長は「新しい技術革新が続々と始まっており、真剣に検討しており、実験をしているものもある。その成果次第で、うまくいけば本格展開の可能性もある」と語り、FTTHでの新たな取り組みに着手することを示唆した。同社が実験をしているのは、光ファイバーとDSLを組み合わせた方式とされる「FTTR(Fiber To The Room)」ではないかとみられるが、孫社長は明言を避けた。
一方、固定通信事業(日本テレコム)は、売上高が2621億6100万円(04年度中間期に新設したため、前期比の数字はなし)、営業損益は280億8700万円の損失だった。この分野は、「おとくライン」への先行投資が影響して、赤字が続いており、2004年度第3四半期には赤字額は217億円にまで膨らんだが、これを底に、徐々に改善、今年度第2四半期には121億円、第3四半期には17億円と、赤字幅は相当縮小している。おとくラインの回線数は2005年12月末で76万。
これまで、おとくラインの代理店管理業務は、日本テレコムが担当したしてきたが、ソフトバンクはインボイスと合弁で、日本テレコムの営業活動を請け負う、日本テレコムインボイスを設立、同業務は、この新会社に移管されたため、今回、営業体制変更損失約188億円を特別損失として計上した。孫社長はおとくラインについては「商店向けなどは営業コストの割りにあわないが、3~5回線くらいの規模から上は利益が出ている。中小から大手向けは、むしろこれから強化する。利益は十分出せる」と、強気の見通しを示す。
新規参入する携帯電話事業については、最近、一部報道で、いくつかの施策を検討していると報じられている。ひとつは、携帯電話向けの放送事業への取り組みだ。これは、放送がデジタル化されることにともない、既存のUHFの周波数帯の一部の空きが出る見込みであることから、総務省が、この周波数帯を新たなサービスのため開放することを検討しているものだ。孫社長は「強い関心をもっている。是非免許をもらって、積極的に取り組んでいきたい。MediaFLO(米クアルコムによる、携帯電話向け放送技術)やWiMAXなど、新しい切り口の技術を組み合わせていく」と述べた。
他方、ボーダフォンの回線を借り受ける、とされたことについては「常にあらゆる選択肢、可能性は否定しない。自前ですべて設備を整えるのか、(回線を借りる)MVNOを混ぜるのか、その他も含め、あらゆる方向で、どの選択肢が最適か検討している」と語るに留まった。
また、動画配信事業の「TV Bank」は4月に本格開始することが発表された。キーワードを入力すると、そのキーワードのチャンネルが自動的に生成される「キーワードチャンネル」の機能が追加される。「トリノ」で検索すると、トリノ冬季五輪の動画を集めたチャンネルが表示される。
孫社長は、今四半期の決算発表にあたり「営業、経常、最終の損益の3点セットで黒字化を達成できる。長いトンネルを抜け、春が来そうな感じになってきた」と語った。ようやく、ブロードバンド事業で利益が出るようになったが、次は、携帯電話という大仕事が控えている。これには「ブロードバンド事業では、一か八かの賭けに出たが、携帯電話は先行3社が20年近く前からやっている。そこに力づくで、大赤字を出してまで、ひっくり返るような大技を出すことは考えていない。携帯電話は腰をすえて、着実に、一歩一歩積み上げる。5~10年に1回ある技術の展開を見据え、徐々にアクセルを踏む」(孫社長)との方針で、慎重な姿勢だ。孫社長はかねてから、携帯電話事業については機器メーカーがリースや財政的支援をする「ベンダーファイナンス」の活用を考えている。メーカーから「積極的な提案をもらっている。いま鋭意、精査している」(同)という。
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