米VMware、サーバ向け仮想化ソフト「VMware Server」の無償提供を開始

    Junya Suzuki  [2006/02/07]

    ストレージ製品大手の米EMCの子会社である米VMwareは2月6日(現地時間)、同社のサーバ向けバーチャライゼーション(仮想化)ソフトウェアである「VMware Server」を無償提供すると発表した。仮想化ソフトウェアは、1つのPC上で複数の仮想的なOS環境の動作を可能にする。これにより複数のサーバ上で動作しているアプリケーションを1つのハードウェア上に集約し、管理の手間を低減することができるようになる。VMware Serverは現在、ベータ版という形で登録ユーザーに対してVMwareのサイト上から無料でダウンロード提供されている。同社では主力製品の無償提供で、勢力を拡大しつつあるXENプロジェクトなどのオープンソース陣営のライバルをけん制したい考えだ。

    今回無償提供が発表されたVMware Serverは、VMware社が持つ「VMware GSX Server」「VMware ESX Server」という2種類のサーバ向け製品のうち、中小規模向け製品のVMware GSX Serverの後継製品という位置付けになる。VMwareの利用によりユーザーは、PCやサーバなどの1つのハードウェア上で複数の仮想OS環境を動作させることが可能になり、異なるOSやアプリケーションの動作するサーバを統合して、管理の手間やシステムの維持コストを削減することができるようになる。GSX ServerとESX Serverの違いは、GSXが仮想OS(ゲストOS)を動作させる際に「ホストOS」と呼ばれる親環境を必要とするのに対し、ESXでは独自の抽象化レイヤーを直接ハードウェア上に配置することでホストOSなしに仮想OSを複数配置することが可能になる点である。GSXではすでに既存OSが動作している環境に、別のOS環境をそのまま構築できる手軽さが特徴だ。一方、ESXは仮想OSの動作にホストOSが介在しないため、I/OやCPUといったハードウェアのリソースをほぼそのまま利用でき、仮想化ソフトウェア特有のパフォーマンス低下といった現象を防ぐことができる。メインフレームなどの大規模環境で実現される、いわゆる「パーティショニング」と呼ばれるハードウェアリソースの分割機能をソフトウェアで提供する製品だといえる。

    今回、VMware GSX ServerからVMware Serverへの移行にあたり、3点の大幅な機能強化が行われている。1つが「Virtual SMP」で、ゲストOSに複数のプロセッサリソースを割り当てることで、より高速な動作を可能にする。Virtual SMPは、大規模向けのESX Serverでも提供されている機能だ。2つめが64ビットシステムのサポート、そして3つめが従来まで「Vanderpool」という開発コード名で呼ばれていた「Intel Virtualization Technology」の試験サポートである。新製品では無償提供開始とともに、より大規模環境への対応が行われたことになる。現在無償提供が行われているのはVMware Serverのベータ版で、同製品のダウンロードサイトでユーザー登録後に利用可能となる。製品版の提供は2006年第2四半期を予定していると、同社では発表している。

    VirtualPCなどで一部のPCユーザーにはすでに馴染み深い技術となった仮想化ソフトウェアだが、ここ最近は特にサーバなどの大規模環境向けの製品が大きな注目を集めている。この分野で最大手となるVMwareは、この分野の広がりを予見したストレージ業界大手の米EMCによって2003年12月に買収が行われている。だが2005年に入り、オープンソースで仮想化技術を広めることを目的としたXenプロジェクトが業界大手各社からの支持を集めたことで、大規模環境向けの仮想化技術の分野にも競争の波が訪れ始めている。今回、VMwareが主力製品の1つの無償提供に踏み切った理由の1つは、こうしたオープンソースの新興勢力をけん制する狙いがあるといえるだろう。

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