人気シリーズ特別編『攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG Individual Eleven』発売

    野口智弘  [2005/12/20]

    『攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG』の制作はProduction I.G。音楽には菅野よう子氏、ストーリーコンセプトには押井守氏が参加している

    バンダイビジュアルは2006年1月27日にDVD『攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG Individual Eleven』を発売する。価格は8,190円。

    『攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG』は、士郎正宗のSFマンガ『攻殻機動隊』を原作にしたテレビアニメの第2シリーズ。2004年にスカイパーフェクTV!(スカパー!)のPPV番組として放送され、2005年4月からは日本テレビにて地上波放送が行われた。

    電脳技術が発達した近未来社会で犯罪組織に立ち向かう、草薙素子ら「公安9課」の活躍を描いた『攻殻機動隊』。その映像化作品としては、押井守監督による劇場用アニメ『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』(1995年公開)とその続編『イノセンス』(2004年公開)があるが、神山健治監督によるテレビアニメシリーズは、連作形式を活かした社会派の刑事ドラマとして仕上げられている。『攻殻』ファンからの支持も厚く、原作マンガ、劇場用アニメとも違う、第3の『攻殻機動隊』として人気を博している。

    今回リリースとなる『Individual Eleven』は『攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG』のストーリーの主軸となる「個別の11人事件」を163分にまとめた特別編。完全新作シーン、新作カット、新規アフレコも追加されている。さらに、物語を公安9課を中心に再構成し、単なる総集編に留まらない作品としている。

    特典ディスクには「Section9 Science File EXTRA "タチコマな日々"」のほか、オリジナルの『2nd GIG』と今回の『Individual Eleven』の違いを解説する「S.A.C.アーカイブ」を収録している。DVD発売と同時にビデオ版もリリースされるが、特典ディスクの内容はふくまれない。ビデオ版の価格は10,290円。

    今回の『Individual Eleven』で描かれる「個別の11人事件」は、第1シリーズから半年後の世界が舞台となっている。あらすじは「個別の11人」を名乗るテロリストグループが中国大使館を占拠。再結集した公安9課の活躍により事件は解決したかに見えたが、それは発端にすぎず……というもの。事件の影で暗躍する「内閣情報庁」など、第1シリーズを超える脅威が公安9課の前に立ちはだかる。

    内容には本編ディスク、特典ディスクのほか16ページのブックレットが付属

    外箱ケースは「個別の11人」のロゴマークが大胆にあしらわれたデザイン

    物語の中心に東アジアの難民問題が据えられているのが大きな特徴で、このほかにも劇中には、コンピュータウイルスやプルトニウム輸送、日米安保といった、極めて現代的な要素が多数登場し、物語に深みを与えている。また『攻殻』と言えば物語のテーマ性と並んで、見ごたえあるアクションシーンも魅力のひとつとなっているが、今回の編集により、劇中のアクション濃度も増しているという。

    なお2005年9月には、同作品の第1シリーズをまとめたDVD『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX The Laughing Man』も発売されている。価格は8,190円。こちらの『The Laughing Man』は「笑い男」と呼ばれる特A級ハッカーが起こした、劇場型犯罪の真相に公安9課が迫るという内容で、薬害問題に焦点が当てられている。

    第1シリーズ、第2シリーズともにオリジナルは全26本の作品だが、『攻殻』シリーズの常として、非常に情報量の濃い作品であるため、まとめて見るのはそうそう気軽にできないという難点がある。そうした意味でも、今回の『Individual Eleven』のような特別編の発売は、作品に興味があってもなかなか手を出せないでいた、ライトな視聴者層にとっては最適の1本と言えるだろう。またすでに第1シリーズ、第2シリーズのDVDを手に入れているファンにとっても、再構成された物語は注目に値する。なお『The Laughing Man』と『Individual Eleven』は、2006年1月13日までスカパー!PPVでも放送が行われている。視聴1回あたりの料金は840円。

    「大人の鑑賞に堪えうる」というよりも、むしろ大人の社会的知識を備えて見ることで、より楽しめる『攻殻機動隊』のテレビシリーズ。アニメ、実写を問わず、国内の映像作品としては、近年屈指の完成度を誇る作品と言える。ビデオグラムは2シリーズ合わせて130万本を突破、北米でも全ケーブル局中第1位の視聴率を記録(12歳~17歳男子部門)するなど、すでに大ヒットを記録している同作品だが、スカパー!ではPPV(現在はPPV以外でも放送)、また地上波では大都市圏のみの深夜放送ということで、視聴に若干のハードルがあったことも否めない。今回のタイトルは、まだ食わず嫌いでいた層でも楽しみやすいリリースとなっている。

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