「地球シミュレータ超え」を目指す東工大の次世代スーパーコンピュータ

大塚実  [2005/12/01]

東京工業大学は、大岡山キャンパスの学術国際情報センターにおいてプレスセミナーを開催し、11月16日に導入を発表した「スーパーコンピューティング・グリッド」について説明した。デュアルコアOpteronを5,000プロセッサ以上使用する大規模なシステムで、運用開始は来年4月を予定。会見には、日本AMDのDavid Uze社長、サン・マイクロシステムズのDan Miller社長も出席、祝意を表すとともに、採用された自社の技術をアピールした。

東京工業大学・学術国際情報センター長 酒井善則教授(左)と、同センターの松岡聡教授(右)

右から、NEC執行役員常務・山本正彦氏、日本AMD社長・David Uze氏、サン・マイクロシステムズ社長・Dan Miller氏

今回のシステムは、入札によってNECが落札した。同社はシステム構築や技術サポートなどを担当し、ノード計算機にはサンの「Sun Fire」サーバを採用。そのほかClearSpeed TechnologyのSIMDアクセラレータ「CSX600」、VoltaireのInfinibandネットワークなどが組み合わされている。同社の「SX-8」も追加される計画で、スカラー型、ベクトル型、アクセラレータという複合型のシステムとなる。

システム構成。SX-8は従来のアプリケーションとの互換性維持が主な目的で、規模はそれほど大きくならない

パートナー各社の技術。CPUは639ノードが2.4GHz、16ノードが2.6GHz。この16ノードではメモリも増強されている

使用されるSun Fireは既存のモデルではなく(仮に"Sun Fire XXXX"とされていた)、1ノードにはデュアルコアOpteronを8プロセッサ搭載。合計655ノードで5,240プロセッサ、10,480コアとなり、ピーク性能はおよそ50TFlopsになる。アクセラレータのCSX600は360ノード分の導入がすでに決まっているが、運用開始時には全ノード655台に拡大する意向だ。アクセラレータのピーク性能は、360ノード分で約35TFlops、655ノード分になると約60TFlopsとなる。

新システムは学術国際情報センターに設置され、2006年4月より運用を開始する予定。その後、同年6月に更新される「TOP500」リストにも申請する予定で、同大は「トップ5位以内にランクイン」することを期待している。CSX600が全ノードに導入された場合、システムの総ピーク性能は100TFlopsを超えるが、Linpackベンチマークのスコアは「65~70TFlopsくらいになるのではないか」(東工大・松岡聡教授)とのことで、地球シミュレータに代わり、日本最速の計算機となる見込みだ。

理化学研究所の「スーパー・コンバインド・クラスタ」や計画中の「京速計算機」など、アクセラレータを組み合わせることが主流となってきつつある。「PCにはCPUのほかに、グラフィックスのアクセラレータが付いている。科学技術分野でも同じように、このようなアクセラレータが今後重要になる」とは同センターの松岡聡教授。CSX600は比較的汎用性が高く、C言語に近い形でプログラミングが可能なのだそうだ。

酒井善則センター長は、「社会のニーズにどう応えていくかを中心に開発を進めていく」とした上で、「研究室に置いてあるクラスタと連続性があるソフトで、"誰でも使えるようなHPC"を開発していきたい。そのためにグリッド技術で仮想化し、すべての研究室から誰でも使えるコンピュータという形で考えている」とコメント。ちなみに2010年頃には次世代スパコンを導入し、ここで1PFlopsというピーク性能を実現する予定だという。

世界のスパコンと、東工大のロードマップ。2008年にはアップグレードも計画されている

アプリケーションの分野。バイオインフォマティクス、流体などが考えられている

出席したベンダー各氏のコメントは以下の通り。

「NECのHPCビジネスは、SXシリーズを中核とすることは変わらない。しかしその一方で、顧客の用途にあわせたスカラーサーバ、クラスタサーバなど、HPCの全領域をカバーする製品を提供する。必要に応じて、サンを始めとするパートナー各社とアライアンスを組んで、ニーズに応えていきたい」(山本正彦・NEC執行役員常務)。

「現在使われているのはデュアルコアのOpteronだが、2007年に向けて、我々はクワッドコアを提供していく。(HPC分野では)2010年には、より大きな要求が出てくる。AMDのOpteronテクノロジによって、東工大やほかの大学のニーズを満たしていけると考えている」(David Uze・日本AMD社長)。

「サンは大学のコミュニティから生まれた企業。サン(Sun)の名前は"Stanford University Network"から来ており、東工大のスパコン・グリッドはまさにサンの発足当時を思い出させる。革新はオープンでなければならない。そしてコミュニティに貢献する必要もある。今回の東工大の施策は、まさにこれを代弁しているものだ」(Dan Miller・サン社長)。



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