公共機関のWebサイト、アクセシビリティ基準合格はわずか3% - EU調査より

    末岡洋子  [2005/11/30]

    電子化の取り組みを進めている欧州連合(EU)が、加盟国25カ国の公共機関のホームページを対象にアクセシビリティの調査を行ったところ、十分なアクセシビリティを満たすWebサイトは3%に過ぎないことが分かった。公共機関のホームページは市民の窓口となることから、関係者は早急な対応を求めている。

    アクセシビリティとは、お年寄りや身体障害者、環境が限定的なユーザーがWebサイトにアクセスし、閲覧・利用できること。この調査は、現在EUで議長国を務める英国内閣府が11月24日に「eAccessibility of public sector services in the European Union」として発表したもので、加盟国25カ国の合計436の公共機関ホームページを対象にアクセシビリティを自動・手動で調べた。実際の調査は、英国王立盲人援護協会(RNIB)が関係する大学や機関と共に実施し、指標には、World Wide Web Consortium(W3C)のガイドライン「Web Content Accessibility Guidelines(WCAG) 1.0」を用いた。

    それによると、WCAGのレベルAに達しているとみなされたWebサイトは全体のわずか3%。「限定的に合格」の10%をあわせると、13%が「一応合格」とみなされることになる。17%は「わずかながら不合格」、「不合格」は70%となった。

    なお、WCAGでは、適合度をA、ダブルA、トリプルAの3段階に分けており、今回の基準に用いられたAは同アクセシビリティガイドラインの最低段階となる。

    レポートによると、不合格の理由で多かった(約70%)ものとして、「代替となるテキスト(alt text)を用意していないこと」を挙げている。WCAGでは、文字、画像、映像、音声などを利用できないユーザーのために、同等の役割を果たす情報を提供するよう推奨している。たとえば、テキストに代わる技術として、障害者向けにはスピーチシンセサイザーや点字ディスプレイがあり、子供のためには映像などの視聴覚効果技術も有用としている。また、画像などテキスト以外のものには、alt属性として同等の役割を果たすテキストをつけることが求められている。

    調査では、これらのアクセシビリティ充実度は国の政策と関係が深いことも分かった。法的に奨励している国のWebサイトは、合格・限定的合格に達する割合が高かったという。

    良い実践例としては、アクセシビリティページの設定、代替テキストの配備、ナビゲーションの改善、スタイルシートのカスケード処理、文字サイズの拡大・縮小が可能、キーボードによる操作、サイトマップの配備、ナビゲーションページのスキップ機能などを挙げている。なお、アクセシビリティの高いWebサイトとして、スペインの社会保険局英国保健省欧州中央銀行の3つが選ばれている。

    このような結果を踏まえ、レポートでは、優先すべきアクションプランとして、1)Webサイト内の画像・地図などに関して代替テキストを提供する、2)フレームの利用を停止し、サーバーサイドのスクリプティングとCSS(Cascading Style Sheet)を利用する、3)リンクをクリックすることで新しいブラウザを開く際にはユーザーにその旨を警告する、などを挙げている。

    EUでは今年6月に最新のデジタル化政策「i2010: European Information Society 2010」を定めており、2010年までに情報通信技術(ICT)を取り入れた社会の実現を目指している。同レポートでは、i2010の中に、「2010年までに加盟国のすべての公共機関のWebサイトがWCAGのダブルAを満たす」などの目標を取り込むことなどを推奨している。

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