ロボットがご案内いたします - 韓国の郵便局で試験サービス開始

佐々木朋美  [2005/11/17]

UPostMate。Samsung電子がおもにソフトウェア部分を、産業用ロボットなども製造している機械メーカ、DASA TECHがおもにハードウェア部分を担当し制作された

韓国の郵便局にアシスタントロボットが登場した。ロボットには男性型の「UPostMate」と女性型の「PGR(Post Guide Robot)」の2種類があり、16日から郵便局へ訪れる人たちへさまざまなサービスを提供している。

UPostMateとPGRがそれぞれ働くこととなったのは、ソウル市の南端にある江南郵便局とソウル市の隣の富川市にある富川郵便局だ。16日には江南郵便局で「郵便局公共アシスタントロボット試験サービス」実施にあたってのデモンストレーションが催され、ロボットを実際に動かしながらのお披露目が行われた。

郵便局の広告塔で警備役の「UPostMate」

UPostMateは、大きさ730(W)×1,480(H)×730(D)mm、重さ90Kgという比較的大型のロボットで、上半身に14.1インチのTFT LCDを搭載している。このLCDはタッチスクリーンとなっており、画面上のアイコンを見ながら簡単に操作ができるようになっている。

また画面の周囲を楕円状に取り囲んでいるグレーの帯の部分にも、人との接触を感知できるタッチセンサーが埋め込まれている。ここを軽く触れると、UPostMateは触れられた方向、つまり触れた人の正面に向き直りサービスを提供する。さらにWi-Fiも搭載しており、遠くからUPostMateを呼ぶこともできる。郵便局の各所に設置してあるコールボタンを押せば通信が行われ、ボタンの位置まで来てくれる。

音声認識機能も持つ。これを利用したのが郵便番号サービスだ。UPostMateに向かって「××町」などの住所を言えばLCDに候補を何個か表示するので、利用者はその中から正しい住所を選ぶだけだ。こうして検索した郵便番号や住所のほかに相手の名前も音声入力すれば、それをラベルに印刷もしてくれる。

普段のUPostMateは、LCDに郵便局の商品紹介やサービス告知を表示するなどの広報業務を行っている。そしてたとえば顧客がLCDで見た保険商品に興味を持った場合、LCD上にある案内サービスボタンを押せば、UPostMateが保険の詳細内容について音声で説明をしてくれる。さらに窓口で直接相談したい場合は、保険サービスの紹介画面上で窓口案内ボタンを押せば、UPostMateが窓口まで移動しながら案内をしてくれる。

ここまではUPostMateの表の顔とも言える機能だが、同時に裏方役も果たしてくれる。郵便局が閉まっている夜間、UPostMateのセンサーで侵入者が感知された場合、UPostMateは直ちに警備会社に連絡すると同時に侵入者に接近。背中に隠されている網を投げ、侵入者の動きを封じてくれる。普段広報や案内を行っているUPostMateだが、いざとなれば安全も守ってくれる頼もしいロボットなのだ。

UPosteMateの背中。非常時にはここが開き、侵入者に網が投じられる

入り口の自動ドア付近に設置されたコールボタン。これを押せばUPostMateが近くにやって来る

腕を利用して体脂肪測定もできる「PGR」

PGRは大きさ540(W)×1,300(H)×560(D)mm、重さ80Kgと、UPostMateよりもひとまわり小さなロボットで、12インチのTFT LCDのほか2本の腕がついているのが特徴となっている。

腕を利用したサービスとしては、一つ目に握手がある。正面に人が立つとそれをセンサーで感知し「何かお手伝いいたしましょうか」と声をかけながら握手をしてくれる。さらにもう一つのサービスは体脂肪測定だ。タッチパネルのLCDに、年齢、身長、体重を入力し体脂肪測定用のセンサーが装着されている手を5秒ほど握れば、LCDに測定値と「肥満」「標準」といった結果が表示されるほか、それを紙に印刷もしてくれる。

このようにPGRは、健康関連やエンターテインメント関連の機能が充実している。LCDに誕生日や性別などを入力することで、バイオリズムや運勢を表示してくれるほか、腕を動かして音楽に合わせてのダンスも披露する。

UPostMateのような案内機能もある。たとえば海外に荷物を送る際、宛て先だけでなく内容物や搬送方法、不在時の処置など、記入事項は割と多く複雑なものだ。それら記入事項の説明や、郵便局の商品案内、郵便局の紹介などをしてくれる。

頭の上にはカメラが搭載されており、ロボット自体がインターネットにつながっているので、顧客は郵便局のWebサイトを見ればどこからでも郵便局の混み具合などを確かめられる。

PGRは、産業用ロボットやその部品などを製造している機械メーカ、ROBOTECHなどにより制作された

体脂肪を測定しているところ。タッチパネルで年齢/体重/身長を入力してからロボットの手を握ると、しばらくして結果がLCDに表示される

2007年以降には量産体制に突入

郵便局にアシスタントロボットを配置した試験サービスは、韓国政府の情報通信部と郵政事業本部の「URC(Ubiquitous Robotic Companion)技術開発事業」により進められている。

これはロボットの利用により、利用者がサービスを受けられる機会を拡大し、かつ郵便局のコスト削減などを目的として推進されている事業だ。2003年に技術開発プランが作成され、2004年から現在に至るまで575億ウォン(約57億7000万円)を投資しての研究開発が続けられてきている。

これにより開発されるロボットは、本体にすべての機能を内蔵すると多くの部品などが必要となりコスト高になることから、ネットワークと連携しサーバにあるソフトウェアでサービスを提供する仕組みとなっている。ここで利用されるロボット用のネットワークサーバが「URCサーバ」だ。このURCサーバとロボットは常に通信を行っており、広報/案内/走行/印刷などといったあらゆる命令に対してロボットはソフトウェアを呼び出して対応している。

ロボット本体の制作はもちろん、それらに搭載されているセンサー、ロボットと通信するURCサーバの構築やソフトウェアの組み立てなど、すべては同事業のために開発されたもので、情報通信部によると「特許出願および登録は150件」にものぼるという。

こうした試験サービスによる成果や反省点などは、来年にかけて行われる予定の、事業化に向けたより具体的な開発に反映される。そして2007年には再度の試験サービスを行うほか、量産技術の開発も行われる予定だ。

UPostMateとPGRによる試験サービスは、16日から約1カ月間に渡り行われる予定だ。

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