米New York Timesの有料オンライン版、開始2ヶ月で27万ユーザー獲得

    Junya Suzuki  [2005/11/10]

    米New York Timesは11月9日(現地時間)、同社が提供するオンライン有料購読サービスの「TimesSelect」の購読者数がサービス開始2ヶ月弱で27万人を達成したことを発表した。27万人のうち、約半数が新聞本紙の宅配サービスの契約者で、その一環としてTimesSelectへのアクセス権を取得した人々だ。残りの半数がオンライン購読のみを契約する読者で、29.95ドルの年間契約または7.95ドルの月額料金でサービスを利用している。米国新聞協会が11月7日(現地時間)に、全米の新聞購読者が昨年比で2.6%減少したと報告するなか、新聞各社の生き残りをかけたオンライン化への動きに一石を投じる話題となりそうだ。

    New York Timesは無料で利用できる「NYTimes.com」というオンラインニュースサイトを運営しているが、有料サービス化への試金石として9月17日(現地時間)に「TimesSelect」をスタートさせた。TimesSelectでは、New York Timesや系列紙のInternational Herald Tribuneからのビジネスや都市情報、スポーツなどの話題を専門にするコラムニストの記事が提供されており、ニュース専門のNYTimes.comとは一線を画する内容となっている。またサービス契約者に対しては、NYTimes.comの過去記事閲覧(月あたり100件まで無料)、本紙日曜版の事前プレビュー、電子メールアラートのカスタマイズ、ニュース検索のためのツールの提供なども行われる。この有料サービスでの大きなポイントは、新聞本紙からの使いまわしではなく、Webでのみ閲覧可能な専用コンテンツが用意されている点だ。

    NYTimes.comは今年9月の時点で2130万ユニークユーザー(cookie等を使って計測した訪問ユーザー数)を達成し、前年同期比で49%増となっている。同社の分析によれば、サイトの改良のほか、メキシコ湾周辺をたびたび襲ったハリケーン情報にアクセスが殺到したことで、読者増の動きにつながったとみている。ページビューでも5億6100万件となっており、前年比で17%アップという結果だ。

    新聞本紙の新規購読者が頭打ちとなり、新たな収益源確保の必要に迫られる新聞業界は、オンラインなどの新分野に新たな可能性を見い出そうとしている。米国新聞協会(NAA)が発表した最新の調査報告によれば、2005年9月30日までの6ヶ月間における新聞(通常版)の平均発行部数は1日あたり4515万3192部で、前年同期比2.6%減となっている。発行部数トップはUSA Todayで、2位がWall Street Journal、そして3位にNew York Timesと続く。いずれの媒体も横ばい、あるいは微減という状態で、これ以上の拡大は望めないのが現状である。

    米New York Timesではこうした状況を受け、大規模な従業員のリストラを敢行したほか、フリーペーパーを発行する米Metro Bostonの株式の取得や情報サイトの米About.comの買収による業容拡大で、新たな広告ビジネスチャンス模索に乗り出すなど、ここのところ大きな動きを見せている。そして次なる目標が有料オンラインサービスの確立だ。現在NYTimes.comは、登録ユーザーに対して1週間以内の記事を無料で公開している。同社に限らず、メディア各社はどこもオンラインサービスの有料化を検討するものの、ユーザー離れを懸念して二の足を踏んでいるのが現状だ。そうした中でスタートしたのがTimesSelectであり、業界各社もその動向に注目している。

    現在ニュースコンテンツを有料で提供しているのは、大手新聞社ではWall Street Journalだけであり、もしTimesSelectが良い前例を残すことができれば、今後競合他社も有料サービス提供に向けた動きを見せることになるかもしれない。

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