ISID、Seasar2の商用サポートサービス - Seasarのビジネスモデルとは?

    後藤大地  [2005/11/08]

    ISID 事業推進本部 R&Dセンター ビジネス開発グループ統括マネージャー 飯田哲夫氏

    電通国際情報サービスは7日、本社にて記者会見を開催、オープンソース"Seasar2"の商用サポートサービスを開始することを発表した。電通国際情報サービス(以降、ISID)は、J2EEが稼働するプラットフォームにおけるオープンソースソフトウェア Seasar2(S2Container、S2Dao、S2Flex、S2JSF、S2Struts、S2Hibernate)を対象とした有償のサポートサービスを提供するという。

    サービス内容はヘルプデスクと不具合の修正など。Seasar2に関する技術的な取い合わせへの回答や、不具合の調査・修正・修正版ソフトウェアの提供などを行う。サービス価格は年間5インシデントで300,000円(税別)と、20インシデントで600,000円(同)。トレーニング、コンサルティング、ソフトウェアベンダサポートなど相談に応じて別途対応とのこと。

    今回ISIDがSeasar2の有償サポートを開始した背景には、同社の中心となる業務システムの分野においてオープンソースソフトウェアの普及が台頭してきたことと、同社にSeasar2の主要開発者である比嘉康雄氏が在籍する点をあげることができる。

    Seasar2

    グルージェント代表取締役社長 栗原傑享氏

    WebアプリケーションフレームワークはStrutsの次に来るデファクトスタンダードを狙って群雄割拠の状況にある。Seasar2もそうしたアプリケーションのひとつ。日本発のオープンソースソフトウェアで、Seasar2プロダクトのひとつが独立行政法人情報処理推進機構の2005年度上期未踏ソフトウェア創造事業に採択されたこともあり、あらためて注目を浴びていた。

    Seasar2は特定層の技術だけではなく、バックエンドからフロントエンドまで、幅広いプロダクトを提供しているという特徴がある。なかでもSeasar2プロダクトであるORマッパーS2Daoの人気が高く、S2Daoを採用するためにSeasar2関連プロダクツが導入されることもあるという。

    Seasar2はすでに稼働実績があり、キャリアの大規模システムに用いられていたり、50~100人月クラスのシステム開発でも採用事例があるという。ISIDでもパッケージ開発に使っているということだ。グルージェント代表取締役社長栗原傑享氏によると、Seasar2が採用される用途には金融系システムが多いという。

    Seasar2はもともとJavaで開発されたシステムだが、現在では.NETへの移植も進められている。すでにC#やVBを使ったシステムも動作しはじめているという。なお、Seasarはシーサーと読む。Seasarは沖縄の狛犬のこと。開発者のひとりが沖縄出身ということもあって、Seasar2プロダクトには沖縄の言葉に由来するものが多い。

    NPO法人 Seasarファウンデーション

    Seasarというと、未踏プロジェクトで注目されて以来、代表理事でもある栗原傑享氏が矢面に立つことも多かったため、グルージェントが主体企業にように思われがちだが、そうではない。また、オープンソースソフトウェアであるため個人ユーザ向けのプロダクトだと思われがちだが、それとも違う。

    Seasarはもともと業務システム開発の現場において、実用上の必要性から生まれたもので、決して趣味や研究の世界のものではないという。また、関係者もグルージェントやISIDをはじめ、それぞれ別々の企業に所属している方が多く、単一企業によるものではない。

    Seasarファウンデーション 組織図

    すでにSeasar2は業務システムで採用されており、今後も開発の継続やサポートの提供、バグの対応などが必要になってくるという。こうした要望に対応するために、母体となる主体としてNPO法人「Seasarファウンデーション」の設立作業に取り組んでいるという。2カ月の縦覧期間と、そのあと2カ月の設立審査を経て設立が行われる。順調にいけば12月7日ごろには法人登記が行われる予定。

    Seasarファウンデーションの2005年度理事には代表理事として栗原傑享氏が、理事として比嘉康雄氏および羽生章洋氏が、監事として宮原徹氏など、それぞれ新進気鋭の若手壮士であり、日本におけるオープンソースソフトウェアコミュニティでは有名な面々が就任する。四方ともニフティサーブ時代からの旧知の間柄だという。

    ISID Seasar2商用サポートサービス

    こうしたSeasarにおける積極的な体制準備などもあり、ISIDではSeasar2の商用サポートサービスに踏み切ったと、ISID 事業推進本部 R&Dセンター ビジネス開発グループ統括マネージャーの飯田哲夫氏はいう。ISIDにはSeasar2の主要開発者である比嘉康雄氏が在籍するため、サポートサービスの開発の連帯もきわめて高いという。

    ISIDはこれまで業務システムを中心に事業を展開。これまでは事業戦略のひとつとしてライセンス販売に重きをおいてきたが、業務システムにおいてもオープンソースソフトウェアの台頭があり、戦略の転換を図りつつあるという。今後はニッチな業務システムの開発やライセンス販売とオープンソースソフトウェアのサポートを要望に応じて使い分けていきたい意向がある。

    飯田氏は、オープンソースとはソフトウェアユーザにおける協調開発であり、顧客志向の究極の形態であるとする。ISIDとしてはこのオープンソースの特性を活かし、積極的に業務に取り入れていきたいという。エンタープライズにおいてOSとしてのLinuxや、データベースとしてのMySQL・PostgreSQLの普及はすでに当たり前になりつつあり、今後はさらに上位のレイヤーであるアプリケーションサーバや開発フレームワーク、アプリケーションにもオープンソースソフトウェアの台頭が進むとみる。

    オープンソースソフトウェアを事業で活用していく場合の課題として、サポートサービスの提供やホットフィックスが難しい点があり、ISIDが提供するサポートサービスはこうした課題に対するサービスを提供するものだという。

    Seasarはオープンソースプロジェクトであるため、むろん、メーリングリストなどにおけるやり取りがされている。そういった場を通じてのバグフィックスも行われている。ISIDが提供するサポートサービスは、迅速な対応や主力開発者による直接対応という点に注力したもので、サポート品質を期待できる点が法人顧客に対して魅力的な特徴だという。ベンダによっては秘匿裏に修正を進めたい場合もあり、こういった場合にもサポートサービスが有用だという。

    サポートサービスは当初はSeasarのコア技術者2名を担当者としてあて、ほかにも2名がつき、計4名で開始される。これは最小限を見立てたもので、状況に応じて順次増やしていくという。

    オープンソースソフトウェアの有償サポートサービスは、オープンソースソフトウェアに関する事業として徐々に普及する兆しを見せている。IBMをはじめ大手企業もこうした取り組みを強化しており、今後さらに増えていくと考えられる。

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