Microsoftの新サービス「Windows Live」「Office Live」は何を目指すのか?

Junya Suzuki  [2005/11/02]

米Microsoftは11月1日(現地時間)、同社の2大ヒット製品の名前を冠したオンラインサービス「Windows Live」「Office Live」の2つを提供していく計画を発表した。新サービスは中小企業などのユーザーを対象に、業務に役立つ一連のツール群をオンライン経由で提供するもので、当初は広告をベースに無料展開を行い、その後オプションとして契約型(サブスクリプション)または利用量に応じた従量課金の2種類の有料サービスも用意する。具体的なサービス時期についての言及は行われていないが、Windows Liveはすでに一部コンポーネントのベータ版が提供開始されており、Office Liveも2006年初旬のベータテスト開始が予定されている。

今回の発表は、同日に米カリフォルニア州サンフランシスコで開催された報道関係者向けのカンファレンスで行われたものだ。発表会には米Microsoft会長兼チーフソフトウェアアーキテクト(CSA)のBill Gates氏、同社の米Groove Network買収で役員に就任、先日の組織改編でソフトウェア&サービス部門のCTO(最高技術責任者)に任命されたRay Ozzie氏の2名が出席、同社のソフトウェアやサービスに関する将来のビジョンを語った。

"Live"にかける熱い意気込みを語る米Microsoft会長兼CSAのBill Gates氏

ソフトウェア&サービス部門のCTOに正式就任したばかりのRay Ozzie氏。知る人ぞ知る「ノーツの父」その人だ


その中でGates氏が「われわれのゴールは、WindowsやOffice、そしてXboxを企業や個人ユーザーにとって面白いものとすることだ」と述べると、Ozzie氏は「われわれの夢は、シームレスな"experience(経験)"を提供することだ。それは、個人の生活やビジネスシーンにおいてすべての技術が1つの方法で結合し、"自分のためだけ"のものとして提供されることにある。それにより、ユーザーは人々や機器、最も重要な情報へとアクセスすることが容易になる」と、今回の新サービスの目標が個人向け専用ポータルの提供と、その上でユーザー同士の連携を円滑に進めるツールや情報アプリケーションが用意されることにあることを説明した。

Google対抗を強く意識した「Windows Live」

これだけでは内容がピンとこない方も多いと思うが、簡単に説明すれば、GoogleやYahooで提供されているような便利なツール群を組み合わせて、自分だけの専用ポータルを作れるのが「Windows Live」だ。現在のWindowsを置き換えるようなものではなく、Webブラウザを介して利用するツール集だと思えばいいだろう。現在、一部の機能がWindows Liveのベータ版サイト上で提供されており、.Net Passportのアカウントを持っているユーザーならすぐにでも利用可能になっている。ここではHotmailサービスやMSN Messengerをポータル上で利用できるほか、さらにその上位版にあたる「Windows Live Mail」「Windows Live Messenger」も用意されている。現在提供が予定されているコンポーネント群は下記の通り。

・Windows Live Mail
Webメールの新サービス。Hotmailの発展系にあたり、スピードや安全性、操作性を重視。

・Windows Live Messenger
新型IMサービス。ファイルや写真送信、インターネット電話などの機能が提供される。

・Windows Live Safety Center
PC本体のウイルススキャンを実行するオンラインサービス。

・Windows OneCare Live
アンチウイルス、ファイアウォール、PCメンテナンス、データバックアップ/リストアなどの機能を包含したPC保護を目的としたパッケージ。サブスクリプション契約形式で提供される。

・Windows Live Favorites
ユーザーがInternet Explorer上に保存している「お気に入り」を共有する機能。これにより、いかなるPCからでも自身の「お気に入り」にアクセスできるようになる。

こうしたWindows Liveのコンポーネント群は、RSSやAjax(Asynchronous JavaScript and XML)などの技術を組み合わせて実現されている。またWindows Liveの活用事例として、不動産会社のRE3Wが地図サービスの「Virtual Earth」を組み合わせたアプリケーションサービスを提供していることが紹介された。Microsoftでは現在、各種無料サービスのアプリケーションを利用するためのAPI群を公開しており、開発者らがこれらを活用して自由にアプリケーションを構築する環境を用意しようとしている。これはちょうど、Googleが自身のGoogle MapsのAPIを公開して、その利用を促進している例に通ずるものがある。Googleの例でいえば、Google Mapsとサンフランシスコ周辺の売買情報を記載したCraigslistを組み合わせたサービスが登場するなど、さまざまな活用例が登場しつつある。

Windows Liveのベータ版が体験できる「Windows Live Ideas」のサイト

Windows Live Ideasに.Net Passportのアカウントを利用してログインしたところ

このようにドラッグ&ドロップでポータル画面を自由にカスタマイズ可能だ

不動産会社の米RE3WのWindows Live活用事例。Virtual Earthの地図機能を組み合わせている


Microsoftでは、Windows Liveが今後、MSNの各種サービスの一環として提供されていくことを示唆している。前述のような経緯からみて、GoogleやYahoo!といったライバルを強く意識して、その対抗策の1つとして用意したのがWindows Liveだと考えられる。オンライン上に新たなプログラミング環境が提供されたという意味で、「Windows」という名称がつけられたのは、あながち大きく外れているわけでもなさそうだ。

「Office Live」は中小企業向けのコラボレーションツール

Windows Liveがユーザーや開発者のための新しいアプリケーション実行環境だとすれば、Office Liveは企業ユーザーがチーム間でより業務を円滑に進めるためのツールを提供するサービスである。米Microsoftによれば、現在世界には10人未満の従業員の企業が約2800万社存在しており、Office Liveの主たるターゲットはここにあるという。

Office Liveというと、その名前から「Microsoft Office」の製品群であるWordやExcelなどのアプリケーションを連想するが、実際に提供されるのはどちらかといえばSharePointやOutlook、Exchange Serverに代表されるグループウェアの機能だ。「Office Liveの主目的は、現在大企業が享受しているようなビジネス管理手法を、より手ごろな価格と容易な方法で小規模企業に展開することにある」と、米Microsoftの情報ワーカーサービス部門のゼネラルマネージャであるRajesh Jha氏は述べている。

Office Liveではいくつかのサービスオプションが用意されている。例えば「Office Live Basics」では、ドメイン名、30MBのインターネット・ディスクスペース、5つのメールアカウントが提供され、小規模企業がインターネット上に存在(プレゼンス)を出すための足がかりを得ることができる。これらは広告ベースにより無料で提供される。また財務、プロジェクト管理、顧客管理といった20以上のアプリケーションが提供されるサブスクリプション契約のオプションも用意されている。これはいわゆる、「オンデマンド」と呼ばれる形態のアプリケーション・サービスだ。月々の契約金さえ払えば、後は必要なアプリケーションをインターネット経由でいくらでも利用できる。初期投資やシステム開発にかかる期間が必要ないため、すぐにでも利用を開始できるほか、センター側でソフトウェアのアップグレードが行われるため、いつでも最新のアプリケーションを利用できる点が特徴である。この分野で現在急成長しているのが米Salesforce.comで、CRM(Customer Relationship Management)と呼ばれるアプリケーションをオンデマンドで提供している。Windows LiveがGoogle対抗ならば、こちらのOffice LiveはSalesforce.com対抗だといえるだろう。

3つの"Live"サービスが示すもの

米Microsoftでは今回の発表をもって、「Windows Live」「Office Live」「Xbox Live」の3つの"Live"サービスを抱えたことになる。Windows Liveが全ユーザーを対象とした新しいアプリケーション・プラットフォームだとすれば、Office Liveは企業ユーザー、Xbox Liveはホビーユーザーやホームユーザーを対象としたものである。Windows Liveの項で紹介したコンポーネント名のように、同社では今後、オンライン・サービスに対して「Live」というブランド名を付けていく方針のようだ。

その背景から、Googleなどのライバル対抗の部分がどうしても目立ってしまう今回の新サービス発表だが、実際にはかなり現実に即したものだという見方もできる。MicrosoftはWindows 98発表当時にも、ActiveDesktopというActive Xベースのデスクトップ技術を推進していたことがあるが、実際にはあまりユーザーに活用されることはなかった。理由の1つには、Webベースのアプリケーションが使いにくかったという問題もあるだろう。だが時代は過ぎ、Ajaxなどの技術の登場により、Webアプリケーションでも普通のバイナリベースのアプリケーションに匹敵する操作性のアプリケーション、つまり「リッチクライアント」と呼ばれる環境が実現できるようになってきた。

またSalesforce.comの興隆にみられるように、企業の重要なデータをホスティングサービスに依存することに抵抗が少なくなってきたという地盤もある。特に中小企業、中でも情報化に乗り遅れた小規模企業の市場をいかに開拓していくかは、多くのアプリケーションベンダーにとって至急の命題となりつつある。「低コストでシンプルな方法を、より多くのユーザーに提供する」――それがこの市場攻略の鍵だ。

Windows Liveはまだまだ洗練されていない印象で、Office Liveはベータテストも開始されていない状況だが、その方向性は最新トレンドをうまくキャッチし、ツボを押さえたものだといえるだろう。



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