キーボードの入力音で情報流出の可能性! 周囲に雑音でも解析可

    湯木進悟  [2005/09/15]

    米国カリフォルニア大学バークレー校(UC Berkeley)は、キーボードのタイプ入力音を録音して、入力されたメッセージなどの解析を試みた調査論文「Keyboard Acoustic Emanations Revisited」の発表を行った。ACM(Association for Computing Machinery)が今年11月に、米国バージニア州アレクサンドリアで開催する第12回目の年次カンファレンス「CCS '05(ACM Conference on Computer and Communications Security 2005)」において、正式な研究プレゼンテーションが実施される。

    同研究プロジェクトは、全米科学財団(NSF: National Science Foundation)より資金面での援助を受けて、UC BerkeleyのTRUST(Team for Research in Ubiquitous Secure Technology)チームが進めているという。10USドルほどで市販されているマイクを用い、キーボードをタイプする時に発っせられる音声を録音。その後、録音したデータをコンピュータに取り込み、入力されたメッセージなどのアルゴニズム解析が試みられたようだ。

    すでに、同種の研究プロジェクトは、IBM研究者のDmitri Asonov氏およびRakesh Agrawal氏によって、過去にも実施されており、同一人物が使用する1種類のキーボードのタイプ入力音を録音した音声データから、約8割の入力データを割り出すことに成功したとされている。今回のプロジェクトは、購入したばかりのワイヤレスキーボードから、5年以上使用している静音キーボードに至るまで、様々な異なる環境でテストが繰り返されたほか、周囲で雑音がしている状況下での解析も試みられたという。

    録音データの解析には、英文スペルチェックおよび文法チェックなどを利用して、できるだけオリジナルの入力データに近い情報を再現するように努めたとされており、認識精度を高めるために、何度もチューニングを繰り返すことも行われたようだ。調査論文では、約50ワードのニュース原稿の入力時などに、最高96%もの高い認識率で、録音データの解析から入力データを割り出すことに成功したと紹介されている。

    また、スペル/文法チェック機能を使用できない、ランダムな文字列のパスワードであっても、環境に応じたチューニングなどを繰り返せば、5桁のパスワードで最高90%、8桁のパスワードで最高77%、10桁のパスワードでも最高69%の認識率を記録したという。さらに、周囲で音楽や携帯電話の着信音が鳴ったりする状況下でも、やや認識精度は落ちるものの、十分なデータ解析に成功したほか、静音キーボードでも入力データの割り出しが行えたとされている。

    同プロジェクトチームを率いたDoug Tygar教授は「コンピュータのセキュリティおよびプライバシーの分野で、いわゆるアコースティック・スパイが実現する危険性を示す、非常に高い警告レベルの状況が存在することが示された。研究プロジェクトの一環で実現したならば、もっと悪意ある人が同様の解析を試みることも可能であり、パラボラマイクを用いて、本人に気づかれることなくキー入力音を録音して情報が盗み出される危険もある」と警告した。

    なお、今回の研究では、キーボードの「Shift」「Control」「Backspace」「Caps Lock」キーは対象となっていないものの、こうしたキーを組み合わせた操作であっても、技術的には解析可能になるとの見方も示されている。

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