通信事業者の対策を上回ったハリケーン"カトリーナ"

Yoichi Yamashita  [2005/08/31]

米南部を直撃したハリケーン「カトリーナ」。ニューオーリンズではおよそ8割が冠水、昨年のアイバンや1992年のアンドルーを大きく超える被害が予想されている。カトリーナ通過後も被害の詳細を把握できない状態が続いているが、その一因として広範囲にわたる電気や電話の不通の影響が挙げられている。

米南部の地域通信事業者であるBellSouthは、過去10年に23のハリケーンに対処してきた。特に昨年はアイバンほか複数のハリケーンの直撃で、電話通信も被害を被ったため、アイバンを上回ると見られていたカトリーナに対しては特別チームを設けて、上陸の1週間以上前から準備を進めてきた。

GISを利用してカトリーナの動きをモニターし、BellSouthのインフラの要所と照らし合わせて被害を予測。風雨の被害を受けそうな通信施設では土嚢を積み上げて補強し、電力不通になっても一部の電話回線を機能させられるように1000機の発電機を設置した。通過中や通過後に現地の被害状況を調査するスタッフと修復作業にあたる技術者のためのキャンプを各地に設置し、復旧作業チームに情報を提供する内部的なWebサイトや専用の通信回線を準備して上陸に備えた。

ハリケーン被害において停電や電話の不通は避けられないが、これらのスタッフがキャンプ地から迅速に復旧作業にあたることで被災者のコミュニケーションが維持される。ただし、今回のカトリーナは非常に勢力が強く、復旧チームに対しても被災地への立ち入りが許可されなかったことが電気や電話の不通状態を長引かせている。復旧チームが足止めされているのは他の通信事業者も同様で、被災地では携帯電話も利用しにくく、被災地への長距離電話もつながらない状態が続いている。

BellSouthは、過去のデータと事前の準備から、復旧作業が始まれば、短期間で電話通信を回復させられる可能性は高いとしている。実際にカトリーナが最初に上陸したフロリダ州ではすでにほとんどの地域で電話が利用できるようになっている。

電話が利用できないと、避難者にとっては自分たちの街や家の様子が気になるところだ。直撃直後はローカル情報に強い地元紙も休刊状態だったが、そのような中でThe Times-Picayuneというニューオーリンズの地元紙が他州に避難した人たちが読めるように、「ハリケーン・エディション」というPDF版の発行を続けて話題となった。8月30日号は約20ページと通常版並みのボリューム。現地記者による被害の予測や復旧にむけた地元の動きのレポート、さらには保険会社の全面広告など、地元紙ならでは紙面となっている。

次第に明らかになっている被害報告の中には、ニューオーリンズ東部のMichoud Assembly Facilityとミシシッピ州南部にあるStennis Space Centerという2つのNASA施設の被害が含まれる。屋根の亀裂による雨漏りのみで深刻な被害ではないが、どちらもスペースシャトル・プロジェクトに関与しており、来年3月に予定されている次回打ち上げへの影響が懸念されている。

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