KDDI、固定/移動通信統合サービスの基本戦略「ウルトラ3G」発表

 

KDDI代表取締役社長の小野寺正氏

KDDIは、固定移動統合網である「ウルトラ3G」を構築する構想を発表した。下り帯域幅が100Mbps~1Gbpsに向上する次世代のCDMA2000無線方式の標準規格を、世界の主要なCDMA事業者や通信機器メーカーとともに、2007年中に策定することを目指す。

この方式とともに、現行の第3世代(3G)携帯電話、無線LANのほか、WiMAXなどの新たな無線システムや、ADSL、FTTHなどの有線網も包括した、統合的なサービスを提供する基盤を整える取り組みを2007年頃に開始する。また、第3世代携帯電話の「CDMA2000 1x EV-DO方式」を拡張した「EV-DO Rev.A」を2006年中に導入する。データ通信速度が下り3.1Mbps、上り1.8Mbpsに高速化される。

「ウルトラ3G」は、固定通信と移動通信を融合させたサービス「FMC(Fixed-Mobile Convergence)」を提供するための核となるもので、IP技術を用いたKDDI独自のCDN(Contents Delivery Network)を進化させ、次世代CDMA2000、WiMAXなどの新たな無線方式、ADSL /FTTHのような有線網、無線LAN、CDMA2000 1x EV-DOなど現行のCDMA2000の4つの接続形態を統合する。その上にNGN(Next Generation Network: 次世代固定網)とMMD(Multimedia Domain: 次世代移動体網)を融合させたネットワーク基盤を載せ、新しいサービス提供の基幹とする。ただし、CDMA2000 1xは当面現在の回線交換網を存続させ、MG(Media Gateway)でMMDと連携する。

これにより、ユーザーは、固定通信と移動通信との差異を意識することなく、高速データ通信や高品質のマルチメディアサービスを、場所、時間にかかわらず、最適な通信環境で利用できるようになる。

同社によれば、たとえば、個人が蓄積したさまざまな電子ファイルを集中管理するデータセンターを設け、家庭のテレビで録画した番組を、データセンターに送っておくと、屋内外、自動車内などどこでも、任意でそれを呼び出して視聴できる。あるいは、テレビ電話で交信する際に受信側が公共交通機関内などにいた場合、携帯電話の画面をみながらテキストで応対し、降りた後は普通の通話をして、帰宅したら、室内の大型テレビに画面を表示して割安な固定網を通じて通話をおこなう。これらの流れが途切れなく進行する---このようなことが実現するという。

次世代のCDMA2000無線方式の標準規格では、下り100Mbps~1Gbps、上り50Mbpsを目標として、最大通信速度の向上を図り、VoIP活用を想定して、音声通信容量を拡大させるとともに、周波数利用効率を上げ、接続時間の短縮、ビット単価低減によるインフラコストの抑制を目指す。また、現行CDMAシステムとの互換性も維持される。

同社は、次世代CDMA2000規格の改良について、CDMA規格の標準化、進化を図る「3GPP2(3rd Generation Partnership Project 2)」で検討を重ね、この5月に米国で開催された会合において、アジア・北米の主要CDMA事業者と世界の大手通信機器メーカー29社の共同提案により、この標準規格の策定に合意した。3GPP2は、3G移動体通信システムの標準化プロジェクトである3GPP(3rd Generation Partnership Project)から派生した。

EV-DO Rev.Aは、現行の1xEV-DOを高度化、下り速度が最大2.4Mbpsから3.1Mbpsに、上りが154kbpsから1.8Mbpsに高速化される。さらに、もうひとつの特徴はQoSの強化で、1xEV-DOでは、すべてのパケットが同等に扱われるが、EV-DO Rev.Aでは、サービスの属性に応じて、特定のパケットを優先する制御ができる。

QoSでは、ネットワークでの通信遅延や停止を防ぐため、あらかじめ特定の通信帯域を確保して一定の通信速度を保証するが、1xEV-DOでは、データの単なるダウンロードとストリーミングが区別されているわけではなかった。このため、着うたフルのような大容量ダウンロードにもストリーミングコンテンツと同様に帯域を確保しており、効率が悪かった。

EV-DO Rev.Aでは強化されたQoSシステムの導入により、ネットワークが混雑している場合、ストリーミングの品質向上につながるという。EV-DO Rev.Aへの対応は現行の携帯電話ではできないため、新しい端末が投入されるが「従来機種より割高になることはない」(同社)とのこと。

KDDIでは、2002年4月に初めて、au携帯電話に3Gを導入、今後、高度化の流れは超高速のマルチメディア通信ができる第4世代(4G)に向かうことになるが、「ウルトラ3G」は「3Gから4Gへの直線的進化とは一線を画したもの」(同社の小野寺正社長)で「ITUが検討している『Beyond 3G』を、KDDIなりに考えたかたち」(同)だ。次世代のCDMA2000無線方式は「ウルトラ3Gの構成要素のひとつ」(同)と位置づけており、こちらは、2007年に規格が固まり、2008年に試行試験を開始、2009~2010年頃に実用化される見通しだが、同社はウルトラ3G自体は、次世代のCDMA2000確立以前に早期に起動させる意向だ。

同社はかねてから、固定、移動体両方の通信を手がける事業者の強みを活かすため、FMCサービス実現を標榜していた。高速化という点は無論重要だが、「ウルトラ3G」ではむしろ、固定、移動の包括的な利用環境の構築に力点が置かれている。携帯電話のナンバーポータビリティ制度導入、新規事業者の参入により、既存事業者は守勢を迫られる局面がある。新興勢力が利用料の低価格化、高速化を武器にしてくることは想像に難くない。しかし、同社は、追ってくるものとともに、規模やシェアで上位にある当面の競合に対する、攻撃と防御の基本的なあり方を「ウルトラ3G」で示唆しているようだ。

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