情報格差が学校の宿題に!? 多く宿題を出しても学力は上がらないとの分析発表

米ペンシルバニア州立大学(Pennsylvania State University)は、同大学の研究チームによって、学校が出す宿題の量と子どもたちの学力向上との関連性などを分析調査した最新レポートの発表を行った。画一的に多くの宿題を出すだけで、子どもたちの学力を向上させられるわけではないことが示されている。

同レポートは、過去に実施された国際数学理科教育動向調査(TIMSS: Trends in International Mathematics and Science Study)の結果データなどの詳細な分析を基にしてまとめられたとされ、世界各国の小中高生の学力と、学校から出される平均的な宿題の量との関係に着目した分析が進められたようだ。興味深いことに、TIMSSの成績がハイレベルの日本、チェコ共和国、デンマークなどでは、一般的に教師はあまり多くの宿題を出さない傾向があり、TIMSSの成績がローレベルのタイ、ギリシャ、イランでは、教師が非常に多くの宿題を出す傾向が強かったとされている。

研究チームのGerald K. LeTendre助教授は、今回の調査対象となったTIMSSが実施された頃に、米国の中学校の数学教師は、平均して1週間に2時間以上の宿題を出していたのに対し、日本の中学校の数学教師が、平均して1週間に約1時間の宿題を出していた点に着目しながら「こうしたデータは、米国のティーンエイジャーが日本の学生ほど熱心に勉強していないという概念と対立するものとなっている」とコメントした。同助教授は、1980年代に米国の学校が、メディアなどから日本の学生との比較論で批判を受けて、宿題の量を増やす傾向へと転じたのに対し、日本の学校は、ゆとりを重視して宿題の量を減らす傾向に転じたものの、こうした宿題の量の変化が、その後のTIMSSの成績に直接的な影響を及ぼしたとは考えられないとの見解を明らかにしている。

また、David P. Baker教授は「各家庭における子どもの宿題への取り組み方が平等でないならば、子どもたちが受ける教育の質に格差が生じ得ることを、学校側は忘れてはならない。むやみに宿題を増やせば増やすほど、学校教育の格差が広がる事態を招きかねない」と語っている。親に金銭的な余裕などがあり、子どもの通う学校の先生と、よいコミュニケーションを図れているならば、出される宿題の学習効果は高まっていくものの、親が金銭的・時間的に余裕がなく、言語面でも学校の先生と十分にコミュニケーションを取ることが困難な状況にある場合には、宿題を学力向上に結び付けられないケースが少なくないと報告されている。

Baker教授は、宿題そのものに価値があることは確かであるものの、情報格差などの問題を考慮し、子どもの家庭環境などに配慮しながら、より効果的な宿題の出し方について、教師が研究を重ねていく必要性などを訴えている。



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