富士通、中期計画の営業益目標達成は困難との見通し、価格下落が直撃

    大川淳  [2005/05/26]

    富士通は、2004年5月に掲げた経営方針で、2006年度に営業利益を3,000億円とすることを目標としていたが、達成は困難であるとの見通しを示した。黒川博昭社長は「コスト削減を進めているが、価格下落が厳しく、売上原価率を年1%改善させることは容易でないと認識している」と語った。同社は、2006年度まで、各年1%売上原価率低減を目標達成の要件としていた。同社の営業利益として過去最高だった2,400-2,500億円の水準になるのは2008年3月期と見込んでいる。

    富士通の黒川博昭社長

    同社は2001年度に744億円の営業赤字に陥り、構造改革に着手、SIの生産性、品質向上、コストダウンなどを進め、2002年度には1,004億円の黒字に転換、2003年度は1,503億円の黒字で、2004年度の目標を売上高4兆9,500億円、営業利益2,000億円、純利益700億円としていたが、実績は売上高4兆7,627億円、営業利益1,601億円、純利益319億円で、予想値を下回る結果となった。

    業績見通しに狂いが生じた原因としてはすでに、ソリューション/SI分野での、過去に獲得したプロジェクトで、損失となるものが多かったことが挙げられているが、このような不採算案件(損失額が1億円を超えるもの)は、2001、2002年度、2003年度上期に集中している。同社が「苦しかった時期に必死で取ってきた商談が不採算になった」(黒川社長)という。

    特定のプロジェクトが全体の足を引っ張る構図があり、135件の不採算案件のうち、6件で損失額の50%、22件で80%を占めている。これらの案件の「(損失額の)75%は2004年度で片付いた」(同)が、残りが完了するのは2005、2006年度までかかる見通しだ。黒川社長は見通しが甘かったことを認めたうえで「富士通は損得よりも約束を守る。そういう経営はこれからも継続する」としている。

    2005年度の事業別の見通しでは、プロダクト部門では営業利益650億円を目標とするが、これは2004年度実績を100億円下回る。同社では、ソフトは好調と捉えているが、サーバー、ネットワーク、携帯電話はやや苦戦、パソコン、HDDをまずまず、としているものの、パソコン、携帯電話、HDDが含まれる「ユビキタスプロダクト」では、価格低下幅が相当大きいとみている。

    サービス事業では、営業利益は2004年度より330億円多い1,400億円と見込んでいる。システムサポートが2003、2004年度に引き続き好調との見通しで、苦戦だった業務別SI、やや苦戦の国内地域SIは、「今年は薄日が差してくる」(同)状況であるとともに、SI事業の原価率が改善するなど、リスク管理体制整備の効果が現れ、「2004年度のようなことは絶対にない」(同)とした。

    電子デバイス事業は、2004年度の営業利益300億円に対し、200億円としている。2004年度は、ロジックLSIなどが好調だったほかは、メディアデバイス、PDP、LCDが苦戦であるなど、厳しい状況だった。この結果、PDP事業は、日立製作所との折半出資で設立していた富士通日立プラズマディスプレイの株30%を日立に譲渡、液晶デバイス事業は、シャープに事業譲渡、双方の事業から撤退した。

    これらの施策を受け、富士通はデバイス事業では、ロジックLSI事業に経営資源を集中、2005年度には3,000億円以上の売上を目指し、90-65nmの製品は「成長の基軸」(同)と位置づけ重点を置き、130nmまでの製品は従来の収益基盤として「ミニマム投資」(同)していく方針で、2007年度には売上は4,000億円超規模、90nmで30%を占める構想を描いている。

    黒川社長は「営業利益3,000億円はあきらめたわけではない」として、価格低下とコスト削減の均衡を保つ経営、売上の3割に留まる海外事業の拡大、3年で2兆5,000億円の市場になるといわれる、医療、健康などヘルスケア事業のような新たな領域の開拓といった施策により、攻勢に向かう姿勢を打ち出している。

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