10Gbps・3万kmのインターネット最速記録、DVD1本を5秒で地球の裏側に

      [2005/05/06]

    次世代インターネットを研究する学術ネットワーク組織「Internet2」が実施するインターネットのデータ転送速度記録において、東京大学、WIDEプロジェクトらの研究チームが世界最高記録を達成、「Internet2 Land Speed Record」に認定された。データ転送速度は7.21Gbps、転送距離は33,979kmにも及んだ。今回の記録は、日本から地球の反対側まで、CD1枚のデータなら0.7秒、DVD1枚なら5秒、100GBのデータであれば約110秒で送れるという。

    今回の記録は、IPv4/TCPを用いた単一ストリーム、複数ストリームの2種目での世界記録として認定されており、従来の記録に比べて単一ストリームでは45%、複数ストリームでは17%の記録更新となった。

    実験は昨年12月末に実施。標準のイーサネットパケット長(1,500バイト)と標準のTCP通信方式を用い、東京から米国、オランダ・アムステルダムを経由して再び東京までの10Gbpsのネットワークを構築、7.21Gbpsの速度での通信を成功させた。ネットワークの全長は33,979kmで、全区間を10Gbpsネットワークとしたのも世界で初めてだという。昨年11月の挑戦でも3万km強のネットワークを構築したが、ネットワーク構成にミスがあり、記録としては2万km強にとどまっていた。今回はこの構成を変更、3万kmの記録として認定された。

    実験で用いたネットワーク経路図

    Land Speed Recordでは、転送速度と距離の積で記録を認定しているが、ルールではネットワークの最長距離が3万kmとされているため、7.21Gbps×3万kmの積である2億1,630万ギガビット・メートル/秒(21万6,300テラビット・メートル/秒)が記録となった。これは、昨年11月9日に記録した単一ストリームの記録14万8,850テラビット・メートル/秒を45%、同8日のカリフォルニア工科大学らのグループによる複数ストリームの記録18万4,877テラビット・メートル/秒を17%上回った。実験は単一ストリームだったが、複数ストリームの記録をも上回ったため、単一・複数いずれでも記録として認定された。

    実験で、スタートとゴール地点にあたる東大のサーバは、一般的な標準的部品を組み合わせた30万円程度のPCで、今回の7.21Gbpsというデータ転送速度自体は、サーバのI/Oバス(PCI-Xバス)の限界速度だった。東大が開発した「レイヤ間協調最適化技術」による通信の最適化で、通信レイヤでのロスではなく、I/Oバスの限界まで速度が向上できたこと、ルールで最長距離が3万kmと定められていることから、今回の記録は「I/Oバスが変わらない限り最高記録」(研究グループの東大・平木敬教授)だという。

    Land Speed Recordのルールでは米国で一般的に入手できる機材を使うことが定められており、現状ではPCI-X 133が限界だったが、平木教授は今後PCI-X 266やPCI-Express x8が一般化すると見ており、それが利用可能になった段階でそれらを用いた実験を行い、記録の更新を狙う考えだ。これにより10~20%程度は速度が向上する見込みだという。また10Gbpsのネットワークについても、今後2~3年で40Gbpsのネットワークが構築できるとのことで、それに伴いさらなる記録の更新も可能になりそうだ。

    単一ストリームTCPインターネット速度記録の推移

    今回の研究グループは、3万kmのネットワーク構築を、16の学術機関などに協力を要請することで実現、他のグループに先んじて記録を達成した。特別な機器などを用いることなく実現した記録であり、平木教授は「(今回の記録の速度を)一般のユーザーが利用できる時代はもう目の前に来ている」としている。

    なお、同研究グループでは今後、カリフォルニア工科大学らのグループが達成したIPv6での記録(5.11Gbps・72,225テラビット・メートル/秒)更新を狙うという。

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