富士写真フイルムは、手ブレや被写体ブレなど、暗所での撮影での問題を解消するため、超高感度でも美しい写真が撮影できる「Real Photo Technology」を投入したデジタルカメラ「FinePix F10」「FinePix Z1」を発表した。ノイズの少ない高感度撮影を可能にしたことで、より速いシャッタースピードでの撮影が行えるため、手ブレ、被写体ブレなどの問題が解消できる、としている。同時に、エントリー向けの「FinePix A345」「FinePix A350」、記録メディアとして容量1GBを実現した「xD-Picture Card M1GB」も発売する。
FinePix F10は、コンパクトデジタルカメラとしては珍しいISO1600という高感度撮影に対応。第5世代となる「スーパーCCDハニカム V HR」と画像処理エンジン「リアルフォトエンジン」、そして「フジノンレンズ」を組み合わせた「Real Photo Technology」を導入したことで、ノイズが少なく高解像度、高画質の写真を撮影できる、という。
同社の調べによれば、ユーザーが撮る写真は、被写体までの距離がおおよそ1~4m、明るさ(LV値)は5~8あたりである場合が多く、おおむねパーティやレストランなど、室内での撮影だった。この被写体までの距離と明るさの場合、ピンぼけ・被写体ブレ・手ブレが多くなり、ユーザーは「暗い場所での撮影画質」「手ブレ」に不満を感じ、ブレやぼけ、暗い写真を削除することが多かったそうだ。
こうした不満を解消するために開発したのが今回のReal Photo Technologyだ。ISO感度は最大でISO1600まで対応。高感度での撮影により手ブレしないシャッタースピードを確保、リアルフォトエンジンには、大きさのさまざまなノイズを低減する「ダブルノイズリダクション」方式を採用するなどして、高感度でも低ノイズを実現した。ISO1600時でも、従来モデルのISO400程度になることを目指して開発したという。「(従来の感度で)撮りたいものは、撮れていたか」と同社は指摘。暗い場所でも、背景を含めて明るく、自然に、しかも被写体ブレも手ブレもない写真の撮影は、従来のデジタルカメラでは難しく、今回のシステムにより「撮りたいものが撮れるようになる」とその優位性を強調する。
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リアルフォトエンジンのノイズ低減処理。細かなノイズからまだらで大きなノイズまで低減させる。従来は細かなノイズは低減していたが、大きなノイズはそのままで解像感が失われていたところを、どちらもバランスよく低減させているそうだ |
シャッタースピードが確保できることで手ブレと被写体ブレを防ぎ、さらにフラッシュを使わなくても明るい写真が撮れるほか、背景も明るく撮影できる。高感度撮影の場合フラッシュの届く範囲も拡大するため、ワイド端で6.5mまでフラッシュの光が届く、というメリットも備えている。
F10に搭載されたスーパーCCDハニカム V HRは、有効画素数630万画素の1/1.7型で、高感度撮影を可能にしたほかは、基本的には従来モデルの「FinePix F810」にも搭載されている第4世代のスーパーCCDハニカム HRと同等の構造をもつ。ただし、同社のユーザー調査から、500万画素の写真でも好ましいと感じることが多かったため、有効画素数のほぼ倍の記録画素数を実現する倍画素記録は省かれた。
リアルフォトエンジンは、シャッタータイムラグ最短0.01秒、起動時間約1.3秒、撮影間隔最短約1.1秒の高速処理を実現。最適な輪郭補正処理を行うことで、なめらかな階調と自然な色再現を可能にした。低消費電力化も図られており、大容量の充電式リチウムイオンバッテリ「NP-120」の場合で約500枚(CIPA準拠)という長時間撮影が行える。
レンズは、非球面レンズ2枚を含む5群6枚のフジノン光学3倍ズームレンズで、焦点距離は36~108mm(35mm判換算時、以下同)、F値はF2.8~F5、撮影可能範囲は標準で約60cm~∞、マクロで約7.5(広角)/30(望遠)~80cm。
新たに「ナチュラルフォトモード」が追加され、このモードを選択するとフラッシュが発光禁止になり、被写体の明るさなどを判断して、ISO感度を最高でISO1600まで変更、それによってフラッシュを使わない、自然で見たままの写真を撮影できる。
AF関連機能としては、被写体に素早くピントを合わせる「クイックショットモード」、被写体にピントを合わせ続ける「コンティニュアスAF」、画像中央付近のコントラストが高い被写体にピントを合わせる「オートエリアAF」を搭載。AF補助光が広角側で約4mまで届くので、暗所で離れた被写体を撮影する場合でもピントが合わせやすい。
そのほか、シャッタースピードは15秒~1/2000秒、ISO感度はAUTO / ISO80 / 100 / 200 / 400 / 800 / 1600、ホワイトバランスがシーン自動認識オート / プリセット(晴天、日陰、昼光色蛍光灯、昼白色蛍光灯、白色蛍光灯、電球、カスタム)、連写が通常で最短約0.45秒間隔・3コマまで、サイクル連写で最短0.45秒間隔・シャッターを離した直前の連続3コマまで、シーンポジションはナチュラルフォト / 人物 / 風景 / スポーツ / 夜景、などの機能を搭載する。
本体サイズは92(W)×58.2(H)×27.3(D)mm、約155g。液晶モニタは2.5型・約11.5万画素の大画面液晶を採用しており、3コマ前までに撮影した画像を表示させ、比較しながら撮影できる「アシストウィンドウ」機能も搭載した。
発売は3月で、価格はオープンプライスながら、実売想定価格は5万円前後だ。
昨年の写真機器の展示会「photokina 2004」の同社ブースでは、ISO1600フィルム、F1.9の明るいレンズ、新しい露出コントロールを組み合わせたフィルムカメラ向けの「Natural Photo System」が紹介されており、今回はそれをデジタルカメラに適用したものとなる。
photokinaの時点では、光学手ブレ補正機能の導入も検討されていたようだが、シャッタースピードが遅いと被写体ブレが防げない点から、高感度・低ノイズでシャッタースピードを確保する方向性になったようだ。
ちなみにNatural Photo Systemでは、ISO1600フィルムを利用したとき屋外で+1.5EV、屋内では+2EVに露出を自動で変更するなどの仕組みが採り入れられていたが、デジタルカメラではダイナミックレンジが狭いため、その仕組みは導入されなかったそうだ。
カメラ映像機器工業会(CIPA)のまとめでは、昨年のデジタルカメラ出荷台数は6,000万台近くで、特に国内での成長鈍化が指摘されている。今年も、世界規模では20.8%増が予測されているものの、国内は1.8%増にとどまる、とされている。
同社では、成熟した国内のデジタルカメラ市場においては、買い換え、買い増し需要が拡大している、と指摘。「特徴のある富士写真フイルムらしいカメラを投入して需要を喚起したい」(代表取締役専務執行役員 林伸幸・電子映像事業部長)として、今回の製品を開発。「デジタルカメラユーザーの不満に対して、どんな場面でも美しい写真が撮れるように最新技術を投入した自信作」(同)としている。
FinePix Z1は、F10と同様にReal Photo Technologyを採用。スーパーCCDハニカム V HR、リアルフォトエンジン、フジノンレンズによる高感度・低ノイズ・高画質撮影の実現を狙った。
自動車レースのF1マシンでも使われている「モノコック(1枚貝)フォルム」を採用したフルフラットの薄型ボディが大きな特徴で、「シルバー」「ブラック」「ブルー」「レッド」の4色を用意する。
薄型を実現するために、同社としては初めて屈曲光学式のフジノン3倍ズームレンズを搭載。レンズは非球面レンズ2枚を含む8群10枚構成で、焦点距離は36~108mm、F値はF3.5~F4.2、撮影可能範囲は標準約60cm~∞、マクロは約8(広角)/45(望遠)~80cm。
搭載されるスーパーCCDハニカム V HRは、有効画素数512万画素の1/2.5型で、従来よりも小型サイズのため、撮像素子の高さを抑えるなどの工夫をして、光を十分に取り込めるようにしているそうだ。ISO感度もF10とは異なり最高でISO800までの対応で、従来モデル比ではISO400相当のノイズ量になるように目指したという。
リアルフォトエンジンの搭載により、シャッタータイムラグ最短0.01秒、起動約0.6秒、撮影間隔最短約1.1秒の高速処理、ダブルノイズリダクションによる低ノイズなどを実現。ナチュラルフォトモードにより、シャッタースピードを確保した低ノイズの高感度撮影が可能だ。クイックショットモードも搭載する。
背面には2.5型の液晶モニタを搭載。強化ガラスを採用しており、従来のアクリル製のものに比べて35倍も傷が付きにくいということで、薄さを生かしてジーンズのポケットにつっこんで持ち歩いても、液晶がこすれて傷つく、といったことが起こりにくい。
そのほかの撮影機能は、ISO感度がAUTO / ISO64 / 100 / 200 / 400 / 800、ホワイトバランスがシーン自動認識オート / プリセット(晴天、日陰、昼光色蛍光灯、昼白色蛍光灯、白色蛍光灯、電球)、シーンポジションはナチュラルフォト / 人物 / 風景 / スポーツ / 夜景、などの機能を搭載する。最大640×480ドット・30fpsの音声付き動画撮影も可能だ。
本体サイズは90(W)×55(H)×18.6(D)mm、約130g。電源は充電式リチウムイオンバッテリNP-40。発売は5月の予定で、価格はオープンプライスだが、実売価格は4万5,000円前後の見込みだ。
FinePix A345/A350は、Real Photo Technologyは搭載しないものの、簡単な操作で撮影が行えるエントリー向けのデジタルカメラ。それぞれ有効画素数410万画素、同520万画素の1/2.5型原色CCD、フジノン光学式3倍ズームレンズを搭載する。
使いやすさに配慮したインタフェースが特徴で、撮影・再生時のボタンやレバーを、カメラを持つ手の親指で操作できる位置に配置。背面には1.7型・約11.5万画素の液晶モニタを備える。単3形アルカリ乾電池での駆動にも対応する。
レンズの焦点距離は35~105mm、F値はF2.8~F4.7、撮影可能範囲は標準約60cm~∞、マクロ約6~80cm、シャッタースピードは2秒~1/2000秒、ISO感度はAUTO、ホワイトバランスはシーン自動認識オート / プリセット(晴天、日陰、昼光色蛍光灯、昼白色蛍光灯、白色蛍光灯、電球)、シーンポジションは人物 / 風景 / スポーツ / 夜景、などの機能を搭載する。
本体サイズは90(W)×60(H)×30.3(D)mm、約132g。電源は単3形アルカリ/ニッケル水素電池×2で、電池寿命はアルカリの場合約100枚、ニッケル水素の場合約290枚(いずれもCIPA準拠)。発売はいずれも3月の予定で、価格はオープンプライス。実売想定価格はA345が2万円前後、A350が3万円前後だ。
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