東京地裁、「一太郎」などの製造、販売中止を命じる、松下の特許を侵害と判断

    大川淳  [2005/02/01]

    松下電器産業が、同社の特許が侵害されているとして、ジャストシステムに対し提起していた訴訟で、東京地方裁判所民事第47部(高部眞規子裁判長)は、ジャストシステムに、ワープロソフト「一太郎」、グラフィックソフト「花子」の製造、販売差し止め、廃棄を命じた。松下電器の特許は、89年に出願、98年に登録されたもので、アイコンの機能説明を表示させるヘルプ機能についての技術だ。ジャストシステムは、今回の判決を不服として控訴する方針で、一太郎の最新版「一太郎2005」も予定通り、2月10日に発売する意向だ。同地裁は仮執行は認めなかったため、判決が確定するまでは、販売は継続できる。

    ジャストシステムが侵害したとされる松下の特許は、ヘルプ機能を担うアイコンをクリックした後、他のアイコンをクリックすると、そのアイコンの機能説明を表示する、との技術で、特許番号第2803236号、「情報処理装置及び情報処理方法」との名称で登録されている。一太郎などが搭載している「ヘルプモード」では、「ヘルプモード」ボタンをクリックすると、カーソルが「?」マークを伴った矢印に変化し、「?」マークの付いたカーソルが移動する。この「?」マークの付いたカーソルで「印刷」ボタンをクリックすると、「印刷」ボタンについての説明が表示される。松下側は、この「ヘルプモード」ボタン、「印刷」ボタンは「アイコン」に該当しており、同社の特許に相当する、と主張していた。

    これに対し、ジャスト側は、アイコンとは、「ドラッグ」あるいは「移動」ができるもので、「ヘルプモード」ボタンはドラッグや移動が不可能であり、デスクトップに表示された別のウィンドウ内にあることから、アイコンではなく、特許侵害にはならない、としていた。

    今回の判決では、同地裁は「『ヘルプモード』ボタンは、それ自体は移動しなくても、他のアイコンに重ねることのできる『アイコン』であり、松下の特許における『アイコン』に該当することには疑義の生じる余地がない。さらに、この『ヘルプモード』ボタン、『印刷』ボタンも、ひとまとまりになった『アイコン群』としてであれば、マウスでドラッグして上下に移動することができる。したがって、被告の主張する移動可能性の点を加味して『アイコン』該当性を判断したとしても、これらの『ヘルプモード』ボタン及び『印刷』ボタンが「アイコン」に該当することには疑いがない」との見解を示した。

    松下電器では、この判決について「当社の主張が認められたものと考え、今後の展開を見守っていく」としている。同社は「ジャストホーム2家計簿パック」がこの特許を侵害しているとして2002年11月7日、ソーテックに、このソフトを搭載しているパソコンの販売差し止めを求める仮処分を申請、2003年6月18日には、これを取り下げたが、2004年8月7日には、今回の差止請求訴訟を提起していた。

    一方、ジャストシステムは、「ジャストホーム2家計簿パック」は松下電器の特許を侵害しないと主張して、特許権に基づく差止請求権を松下側は有しないことの確認を請求する訴訟を起こしていたが、これについては、2004年8月31日、東京地裁は、ジャストは特許権を侵害していないとの判決を下していた。

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