セキュリティ関連の新製品と今後の戦略を発表 - Phoenix Technologies

    佐藤晃洋  [2004/11/15]

    PC用のBIOSメーカーとして有名な米Phoenix Technologiesは、報道関係者向けの説明会を開催した。説明会には同社日本法人の社長(兼本社副社長)を務める松島努氏以下同社の幹部が出席し、同社が最近力を入れているセキュリティ関連の新製品の紹介、並びに今後の戦略について語った。

    松島努社長(中)を始めとする同社首脳陣

    BIOSから直接リカバリが可能なバックアップソフト

    まず前半では、米国で今年9月に発表されたシステムリカバリソフト「FirstWave Recovery Pro 2004」についての紹介が行われた。

    cME環境の概要

    同ソフトが現在市販されている多くのリカバリソフトと異なるのは、大きく分けると「バックアップしたデータを同社アプリだけが利用できるHDD内の専用パーティション(同社はこれを「cME(シーミー)環境」と呼ぶ)に保存することで、ネットワーク環境やCD/DVDドライブがない環境でも容易にバックアップからシステムを復元することが可能な点」、そして「cME環境にはBIOSから直接呼び出すことが可能なリカバリソフトが含まれるために、Windowsが起動しなくなってしまった場合でもリカバリソフトを呼び出すことで以前の状態に簡単に復元することができる点」の2つだという。

    FirstWave Recovery Proの画面

    さらにPhoenix BIOSを搭載しているマシンにおいては、cME環境上で動作するソフトウェアが改ざんされていないかどうかをPKIを使って認証する機構なども利用できるため、悪意を持ったユーザがcME環境上でソフトウェアを動作させることはできず、さらにバックアップの安全性が高まるといったメリットがあるという。Windows上からのcME環境上のデータへのアクセスについても専用API(非公開)の利用や、cME上で動作するアプリ同様のPKI認証が必要になるとのことで、質疑応答においても「基本的に悪用は不可能だと考えている」と説明した。

    このようにcME環境専用のパーティションが設定される

    ただ一方でUSBなどで外付けされたHDDのバックアップやフォルダ単位でのバックアップ等は行えず、「バックアップの指定は必ずドライブ単位になる」ほか、完全バックアップ時にデータ量がcME環境の容量を超えてしまった場合は「エラーになりバックアップは行えない」などの制限が付くという。このあたりは「今回はSOHOと中小企業をターゲットとしたため、操作性のわかりやすさを重視した」とのことだが、将来のバージョンではこれらの要望にも対応したいとしている。また「手動での完全バックアップであれば、外付けHDDやCD/DVD(別途ライティングソフトが必要)への書き出しにも対応している」として、当面はそれらの方法を活用して欲しいとの意向も示した。

    BIOSから起動できるcME環境のコンソール

    なお価格等は今のところ未定だが「5000円以下での販売を考えている」(松島氏)とのこと。また日本での発売時期については「現在ディストリビューターやシステムインテグレーターとの最終交渉段階に来ており、年内には契約を終え来年早々には発売したい」と松島氏は語った。

    EFI・WinPEについては当面静観、cMEのPC以外への展開に力を入れる

    後半はフリーディスカッションに移り、同社の主力商品であるBIOS関連についても活発な質問が飛んだ。

    特に気になるのが、Intelが提唱するEFI(Extensible Firmware Interface)やMicrosoftが推進するWinPE(Windows Preinstallation Environment)などに対する同社の対応だが、松島氏はこの点について「EFIを否定するつもりはなく共存を考えている」と述べた。同氏はcME環境で動作する同社のソフト(今回紹介したFirstWave Recovery Proも含む)とEFIの関係について「共にコンセプトは同じだが実装が異なるもの」との見解を示した上で、「今後EFIやWinPE上で動くようなPre-Boot Shellを開発する計画もあるが、実際に市場に投入するかどうかは今後の普及状況次第だ」としばらく市場の動向を静観する構えを見せた。

    一方でcME環境の今後については、自社製品での対応を進めて行くことはもちろんのこと、「SDKを外部に提供し、他のISV(独立系ソフトウェアベンダー)へアプローチして行くことも検討している」と松島氏は述べた。特に今後はPC以外の環境への導入を積極的に展開して行く構えで、既に一部の測定器メーカーからFirstWave Recovery Proを自社製品に組み込みたいとの引き合いが来ているという。また家電向けにも「既にMP3プレーヤやDVDプレーヤ等のコンセプトモデルは発表しており、今後働きかけを行って行く」との意向を語った。

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