「PHSは魅力的なメディアだ」DDIポケット、新ネットワークで新たな攻勢へ

DDIポケットは、Web閲覧、メール機能で最大体感1Mbps以上が得られる256kbpsの通信サービスを今年度中に開始するなど、いっそうの高速化、音声通信強化、利便性向上、といった展開を図り、PHS事業をさらに拡大していく意向を示した。5年間で売上高を現行の2~3倍、5,000億円規模にすることを目標とし、3~5年で株式公開を目指す。同社はKDDI傘下から離れ、米カーライル・グル-プの出資を受けたことに伴い、独自性を色濃くした新たな歩みを始める。社名は2005年2月から「ウィルコム(WILLCOM)」と改める。

同社は、無線とバックボーンのネットワークを今後5年で約700億円投資して再構築し、「Wireless IP Local Loop」とする。現行では1chあたり32kbps、1基地局は4chで、NTTの地域網を介して音声は他社回線交換網、データはIP網と接続しているが、今後1chあたり32/64kbps以上に増強、1基地局は14chとする。音声もIP化し、基地局とIP網との接続はNTT交換局内に設けるITX(バイパス装置)を用いる独自のネットワーク体系とし、トラフィックの8割はこの新システムで扱い、NTTへの依存度を大幅に低下させる。また、IP網とインターネットとの間にある圧縮サーバーは現状では圧縮率が一部ユーザー向けに2倍程度だが、これもずべてのユーザーに対し、4~10倍に引き上げる。

新ネットワークへの更新は、東京中心部、横浜、川崎では2005年3月までに実施、2006年3月までに政令指定都市のトラフィックの8割、2007年3月までには全国主要都市の5割を移行させる。基地局の高度化は東京都などは2006年3月、政令指定都市は2007年3月までに行う。

これらの施策により「AirH"」のサービスは大きく増速される。今年度中には「プロ向け」に、最大256kbps端末と、圧縮サーバーを活用する「高速化パック」の組み合わせで、Web閲覧とメールのやり取りについては体感的に1Mbps以上、動画などは256kbpsとなるサービスを始める。利用料金は第3世代携帯電話よりは低くなる見込みだ。将来的には、一般向けに128kbps、Web/メールは体感的に1Mbps、「プロ向け」には512kbps、Web/メールはさらに高速化するサービスを提供する見通しだ。

音声通信面では、「AirH"PHONE」などのブラウザフォンも128kbpsに強化、高速化パックと組み合わせて体感的に1Mbps化するほか、パソコンで使えるような機能を拡充する。「安心だフォン」など音声に特化した端末は、いっそうの低価格化、使い勝手のよさを追求するとともに、法人向け機能を充実化する。

今回、同社は社名をウィルコムに変更、社のブランドを「WILLCOM」とすることから、新ブランド認知度向上に向け、マーケティング活動を強化する。音声系端末では、現在110万ユーザーをもつ「安心だフォン」でPHSが低電磁波であることを訴求するとともに、コスト重視の層に照準を合わせて拡大を目指す。定額制データ通信サービスとして定着している「AirH"」のブランドは変えないものの、部分的な刷新はしていくという。

DDIポケットはこれまでKDDIが81%を出資し、同社グループのPHS部門という役割を担ってきたが、米カーライル・グループが60%の筆頭株主となり、従来13%出資していた京セラも30%に比率を引き上げ、10月から新たな体制に変わった。木下龍一DDIポケット会長は「国内ではPHSは500万くらいの少数派になったが、中国、台湾、ベトナムなどで普及が進んでいる、海外も含め、日本発の技術をさらに広めたい」と語る。

KDDIグループ時代には、同社はあくまで安いモバイルデータ通信が中心で、音声事業は縮小、撤退の方向で動いてきたが、新体制では音声事業は強化される。「これまではグループの制限があったが、今後は独自判断で事業の選択と集中に着手して、発展が見込める分野には積極投資する」(山下孟男DDIポケット社長)姿勢に転換する。さらに他社との連携もKDDIを核としていたが「より広いパートナーと組む」ことになる。

PHSの加入者数は97年度には673万あったが、2004年8月度は491万で、減少の底は打ったものの退潮傾向が続いている。こうした中で新生DDIポケットは「PHSは日本では縮小しているが、世界的にはコア技術への投資は増えている。コアとなる部品の性能が上がったり、安くなっており、この領域は活性化している。中国では6,000万~7,000万の市場規模がある」(近義起・同社執行役員プロダクト統括本部長/技術本部長)とみている。山下社長は「PHSは進化、発展できる魅力的なメディアだ。さらに高速化することは可能だし、3Gにも対抗できる。当社はもっと先を見込んで研究、開発していく」と強気だ。

新社名「WILLCOM」は、「Wireless IP Local Loop」の頭文字「WILL」をあらわすとともに、「WILL」のもつ強い意志、未来、望みの意味とCommunicationをあわせた造語で、全社員から公募した1,320件の中から選んだ。「我々の決意を表現している」(山下社長)という。PHSを押しのけた携帯電話も市場環境は飽和気味で、3Gへの移行や、端末の付加機能で需要を掘り起こしている一方、簡素な機能で低価格というサービスを求める層もある。さらに新規参入への動きも活発で、移動体通信市場は次の段階へと動き始めた。PHSの再挑戦はここでどんな風を吹かせることができるだろうか。



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