高額医療費も電子化で抑える!? コストやプライバシーが課題との調査が発表

湯木進悟  [2004/07/17]

米Connecting for Healthは、病院のカルテや検査データなどの電子化を進めていくために必要とされる対策および課題を調査したレポート「Preliminary Roadmap for Achieving Electronic Connectivity in Healthcare」を発表した。患者のプライバシーを保護しつつ電子化を図ることが推奨されているものの、医療機関が負担する導入・運用コストなどが問題点に挙げられている。

同レポートは、まず米国の医療現場で発生している問題について、客観的なデータを並べながら分析している。米国では毎年、医療過誤が原因で死亡する患者が、少なく見積もっても44,000人に上るとする調査も出されており、もしこの数字が真実であるとすれば、米国内の年間交通事故死者数よりも多い人数が、防げたかもしれない人為的な医療ミスなどで命を落としていることになるという。高齢者の12人に1人は、誤った医薬品を処方される傾向にあるとするデータも明らかにされたようだ。ある調査によると、自分や家族が、これまでに病院などで何らかの医療上のミスに遭遇したと回答する米国人は、2割を超えたとされている。

また、現在の医療制度に大きな不満を抱く米国人も少なくないようだ。例えば、同レポートでは、次々と転院を余儀なくされ、その度に何度も全く同じ検査を受けて、自分の病状について、最初から説明を繰り返さなければならない状況にストレスを感じている米国人が、過半数を超えたとする調査結果も紹介されている。米Center for the Evaluative Clinical Sciences(CECS)は、医療費の3分の1が、患者にとって最良の福祉とはならない仕方で用いられており、真に良質の医療が施されるならば削減できたはずであるとの見解を出しているという。

すでに米政府も、こうした現状を把握しており、医療機関において電子化を進めることを改善につなげていきたいと考えられているようだ。今年に入って、ブッシュ大統領は「患者の医療記録を電子化することにより、深刻な医療ミスを避けることができ、医療費を削減して、医療の質も向上できる」と語り、今後10年以内に電子化の徹底を進めていきたい考えが明らかにされたという。電子処方箋(e-Prescribing)の規格標準化についても、早期の実現が目標とされているようだ。

今回の発表レポートでも、米国人の6割以上が、医療現場における電子化の推進を歓迎する態度を表明していることが示された。病院間で医療記録の管理システムに互換性をもたせ、スムーズなデータ共有がなされることを望んだり、自分のカルテや検査結果などのデータを、患者も電子的に入手できる環境の構築を求めたりする声が強まっているという。医師と電子メールでコミュニケーションが取れる制度の確立なども、リクエストとして目立っていたようだ。若い世代ほど電子化に協力的だったほか、実際に自分や家族が、定期的に病院などに通っている人ほど、早期の電子化を希望する傾向が強いとされている。

「現在の医療制度は、金銭面で無駄が多く、危険な医療過誤を引き起こしかねない状況にあるだけでなく、患者個人の権利を制限している」と同レポートは述べて、自分の医療記録でも容易にアクセスできない現状が、電子化によって大きく改善される可能性を指摘。しかしながら、電子化で個人情報の流出などの問題が生じ、医療記録が外部に漏れるといったミスが引き起こされるなら「商業上のミスは金銭で解決できる場合もあるものの、患者のプライバシーに対する損害は、決して償うことができない非常に深刻な事態にもつながりかねない。プライバシー保護と高度のセキュリティ確保を、最重要課題としなければならない」と強調している。

その対策としては、中央政府機関などによる個人の医療記録の一括管理ではなく、各医療機関が個別に患者の電子化された医療記録などを保管し、転院などでデータ共有が必要になった時のみ、他の医療機関に対しても、その患者の医療記録へのアクセスを許可するといったスタイルの利用環境が提唱されているようだ。電子化される個人データの保存形式などには、規格の統一が求められるとしており、同レポートは「官民一体となった協力態勢のもとで、着実に医療現場の変革を進めていくことが重要である」と結論する。

さらに、各医療機関においては、電子化に必要とされる導入および運用コストの負担が大きく、金銭面での問題が、普及の妨げとなっていく可能性も指摘されている。同レポートは、その対策として、電子化を進めた医療機関には一定の補助金を交付するといった制度の確立を検討することを提案している。たとえ年間US70億ドルの補助金が必要になったとしても、米Center for Information Technology Leadership(CITL)は、電子化で無駄を省き、削減可能になる1年間の医療費などはUS868億ドルに達するだろうとの予測を出しているとされ、同制度が最終的には米国社会全体に益を及ぼすことになると謳われる。

なお、Connecting for Healthは、今回のレポートが予備的な発表にとどまっており、今後もより具体的な対策案などの検討を進めて、医療現場における電子化の環境整備へと貢献していきたい考えを明らかにしている。



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