「Jリーグは拡大、なぜプロ野球は縮小するのか」ライブドア堀江社長

    大川淳  [2004/06/30]

    ライブドアは、プロ野球球団・大阪近鉄バファローズを買収する意向で現在交渉中であると発表、6月30日午後、都内で堀江貴文・社長兼最高経営責任者が記者会見を行った。堀江社長は「ベンチャー企業で培った経営ノウハウを活かし、日本の国技とまでいわれた野球振興のため力を尽くしたい」と述べ、球団経営に意欲を示した。また、現時点での買収額は10-30億円の範囲であることも明らかになった。

    ライブドアの堀江貴文社長(左)と宮内亮治取締役

    会見場は報道陣でごったがえした

    同社には、証券会社を介して近鉄球団売却の打診があり、「是非話を進めたいと考えていたが、規模の小さな企業であることから、相手にされなかった。今回、選手会にも関係のある人物を通して、再度、近鉄側に接触した」(同社 宮内亮治取締役 最高財務責任者)という。

    堀江社長は「球団合併で、プロ野球が1リーグ制になるとしたら、縮小均衡となり、ますますプロ野球は衰退する。子供たちが夢をもって選手を目指すという状況を継続することが、そのスポーツの発展には不可欠だ。1リーグになれば、そうしたチャンスは少なくなる。Jリーグはチームを増やしているのに、プロ野球はなぜ減らすのか。プロスポーツはすべての国民のもの、公共財だ。それを助けようとするのは、上場企業として当然」と、球団買収を目指す理念を語り、売名行為だという声に対しては「これで名を売ろうなどとはぜんぜん考えていない。宣伝などは正攻法で行く。大規模なプロモーションなどは別途考えている」と反論した。

    また「ライブドアは小さな企業だが、球団経営を長期間できないほどではない。現預金が512億円を超えている。(近鉄球団は)年間赤字が数十億円といわれているが、5-10年で手放さなければならないほど財務体質は弱くない」と強調する。

    経営の見通しについては「もし、近鉄バファローズを保有できたとしたら、できるだけ球団が自立していけるような体制にしていきたい。いつまでも、親会社の広告宣伝費に依存しているようではいけない。米国では、弱小球団が優勝争いできるほど状況が改善された例がある。十分な経営管理と低コスト化で、良い球団をつくっている。ここに、ベンチャー企業経営の手法を適用できるのでは。さらに、うまく立て直せば、球団自体の株公開で、ファンや球団OBにも株主になってもらったり、選手へのストックオプションも考えられる」としている。

    合併の話が進展するなか、球界は1リーグ制に向かって動き出しているが、堀江氏は、2リーグ12球団体制は維持していく考えで、「球界に一石を投じたい。実は、他にも球団を買収することを希望している企業は複数ある。近鉄はもともと売却を考えていたのだが、(相手先が球団親会社として)ふさわしくないとか、さまざまな理由で流れた。これは実質的には新規参入の阻害だ。(球団を買収して)5-10年は続けていける体力のある企業はある。なぜ、拒否するのか」と述べ、球界全体の潮流に異論を唱える。

    今回の買収について、バファローズの親会社である近畿日本鉄道は拒否しているが、「オリックスよりいい条件のオファーであり、当社に売却したほうが、近鉄にとってもいいことなのではないか」と堀江氏は自信を示し「巨人の渡辺恒雄オーナーなど、キーパーソンに会ってもらえるなら、話したい」(堀江氏)として、球界中枢を説得したい、との姿勢を示した。

    プロ球団を買収するためには、リーグへの新規加盟料30億円が必要になることについて同社は「これは独占禁止法にちょっと引っかかるのではないかと思わなくもないが、球団を取得できればコミッショナーと会い、裁定に従う」(同)としており、支払う意向だ。

    これまでにも同社は企業買収に積極的だった。プロ球団は直接的にITとは関連性が薄いが「インターネットの普及で何が起きているか。ユーザーは家に閉じこもってパソコンに向かっているだけではなく、実際には、インターネットは人と人を結びつける機能があり、出会いの源になっている。日本中のインターネットユーザーが我々の潜在的な顧客であり、野球ファンが含まれている。自分の勤務先には野球部がなくても、インターネットを通じてサークルができたり、ということもありうる。レジャー、娯楽は多様化しており、野球は重要なコンテンツになる。本業のインターネットからみても、スポーツは重要だ」(堀江氏)として、本業とのシナジー効果もあると主張した。

    いま、オリックス・ブルーウェーブとの合併に反対していると言われるバファローズファンに対して堀江氏は、「もし(球団存続の)お手伝いができるようなら、できるだけのことをして、日本を代表するような球団にしたい。もっと楽しんで欲しい。好きなチームを応援して、充実した人生を過ごせるようになればよい」と語り、買収が実現すれば「フランチャイズは動かさない。いま、(ライブドアの)本社は東京にあるが、営業は東京においても、本社機能はむしろ大阪に移してもいい。大阪経済に積極的に貢献したい。バファローズの名は変えない」との方針だ。

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