上り高速化したADSLサービスはさらに先送りへ--TTC会合で事業者間対立

  [2004/01/30]

通信産業の業界団体、情報通信技術委員会(TTC)は、DSL専門委員会のスペクトル管理サブワーキンググループ(SWG)の第7回会合を開催した。前回の会合では、ADSLの上り高速化技術について、長野県協同電算などから「下りの速度が低下する」ことを理由に、強い異論が提出され、審議が紛糾、SWGの会合とは別の事業者間協議での交渉に結論を委ねていたが、その協議、第7回会合のいずれも決着せず、再度、事業者間協議が実施されることになった。

前回会合は12月で、今回までの6週間の間に、3回の事業者間協議が行われた。その結果、各社の意向は、以下のような3つの見解に集約された。

  1. TTCの標準であるJJ100.01の第2版に準拠して技術的適合性を確認する。これは、NTT東日本、西日本、イー・アクセスなどが主張。
  2. JJ100.01の第2版に準拠するが、上り高速化技術が既存ユーザーの環境に影響を与えてしまう可能性があることから、10%までの速度低下を許容範囲とし、これに準拠して距離制限などを設ける。これは、ソフトバンク、アッカ・ネットワークスが主張している。
  3. 基本的にはJJ100.01の第2版に準拠するが、NTT局舎からの距離を1.5km以内に明確に限定する。これは長野県協同電算が主張している。その理由として同社は「ADSL回線を利用したテレビ放送サービスを開始しているが、それにはMPEG-2級の画像品質が必要で、下りの帯域幅は、4.5Mbps程度は求められることになり、上り高速化による影響を防ぎ、既存サービスの水準を確保するためには、上り拡大サービスは1.5kmまでの範囲に限定する」としている。

(3)の「1.5km制限」には、技術面についてNTT東日本が反論、長野県協同電算の実験値だけで1.5kmという境界を定めることに疑問符がつけられた。しかし、同社は譲歩せず、議論は白熱化、合意には至らなかった。

一方、ソフトバンク、アッカ・ネットワークスは、TTCでの基準が決まらないために、1月に開始する予定であった上り帯域3Mbpsのサービスに着手できないことから「1.5km以内に限り、暫定的にサービスを開始し、今後の対応については、さらに協議を続けたい。これ以上サービスを遅らせることはできない。経営にも影響を受ける」(ソフトバンク)との意向を示したが、NTT東日本は「技術的根拠が弱い」として反対した。

結局、各社が最終的に一致することはなく、この議論はもう一度、事業者間協議に差し戻すこととなった。上り高速化技術は、昨年10月の会合で端緒が開かれたかにみえたが、3カ月経過しても、技術仕様決定、サービス実現への道筋はまったくめどが立っていない。一部事業者からは「すでに3回の協議があったが、合意を形成できる空気はなかった」として、事業者間協議の先行きを懸念する声さえ出ており、「上り最大3Mbps」サービスが現実のものとなるにはさらに時間がかかりそうだ。

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