【Internet Week 2003レポート】IP Meeting 2003 - Winnyユーザ逮捕事件後のトラフィック量は?

 

Internet Weekの3日目となる12月4日には、Internet Weekの前身でもある「IP Meeting」が「IP Meeting 2003」と題されて行われた。今回は、これまで同イベントを主催してきたJEPG/IP(Japan Engineering and Planning Group on IP)がこのイベントを最後に解散することが発表されたほか、今年1年のInternetインフラの動きに関する総括などが行われた。

森下泰宏氏

○IETFの参加者が減少傾向、内部プロセスを改良へ

インフラ面の総括でまずお伝えするのはIETF(Internet Engineering Task Force)の状況。今回、JPRSの森下泰宏氏によりIETFの最近の状況が伝えられたが、そこからはIETFの最近の苦しい状況がうかがえた。

森下氏によれば、年3回開催されるIETF Meetingの参加者がここのところ減少傾向にあり、先月ミネアポリスで開催されたときには参加者が1,211名と最盛期の半分以下にまで落ち込んでいるという。この原因として同氏は「米国の経済の減速による影響も大きいが、IETF自体の活動状況がここのところ低調になっていることが大きい」と述べた。特に最近ではIETF全体を統括するIESG(Internet Engineering Steering Group)メンバーへの負担が大きくなっており、そのためInternet DraftのRFC化作業に遅れが生じるなどWorking Groupの活動鈍化につながる問題も発生し、参加メンバーのモチベーション低下を招きつつあるのだという。

 最近のIETFの状況
 IETF改革に関する説明

このためIESGでは、従来IESGメンバーが持っていた権限の一部を各Working Groupのリーダー(Chair)に委譲する方向で検討作業を進めており、その他の構造改革作業と共に次々回(第60回)のIETF Meetingまでを目途に活動を進めているという。ただ、会場からは「Working Group Chairの権限を強化することはIAB(Internet Architecture Board)の関与を弱めることになると思うが、それを危惧する意見はないのか?」の質問に対し、森下氏は「実際にはWorking Group Chairが優秀でないと(この案は)機能しないと思うので、あくまでこれは案に過ぎない」と述べるなど、今回の作業がどのような結果となるかはまだまだ流動的な部分が大きいようだ。

 吉田友哉氏

○IXのトラフィックはどのくらい伸びているのか?

続いてご紹介するのは、JANOG(Japan Network Operator Group)の吉田友哉氏(NTTコミュニケーションズ)の発表。同氏は「ルーティングトポロジー」をテーマに、最近のInternetにおけるトラフィックの動向などを語った。

同氏によれば、ISP同士の相互接続点であるIX(Internet Exchange)におけるトラフィック量を見ると、2002年末にはdix-ie(旧NSPIXP2)・JPIX・JPNAPの3大IXを流れるトラフィックの合計は約43.6Gbpsだったのに対し、現在は合計で約90.6Gbpsと、トラフィックが約2倍に増えているとのこと。特にその中でも大阪側のトラフィックがこの1年で6倍に伸びており、同氏は「地方のISPのバックボーンが東京に集中する一方、大手のキャリア系ISPはトラフィックを徐々に大阪に分散させつつある」とこの状況を分析した。

IXにおけるトラフィック量の比較。2001年より伸び率は落ちている
事件発生前と発生後のOCNバックボーンにおけるトラフィック比較

アジア圏のトラフィックも、アジア太平洋圏に敷設されている海底ケーブルの大半が日本に陸揚げされているという物理トポロジの影響を受け、日本を中心とした論理トポロジを形成する傾向が強まっていると同氏は述べた(なおこれには会場から異論も出ていた)。ちなみに1日のトラフィックの動向を見ると、ピークとなる時間帯が以前の午前0時前後から午後11時半頃へと約30分早い時間にシフトしているということで、同氏は「テレホーダイの影響が縮小したことで、Internetユーザの就寝時間が早くなったのでは?」と解説していた。

トラフィックの話題と言えば、やはり先日のWinnyユーザ逮捕事件以後あちこちで伝えられているトラフィック急減の話題を外すわけには行かないだろう。同氏はこの点について、OCNのバックボーンやJPNAP・JPIXにおけるトラフィックを測定したグラフを引用し「平均してISPでは2割程度トラフィックが減少している」と全体的な傾向を述べる一方で、「データセンタ系のようなサーバによる利用が中心のところではトラフィックの変化はほとんどなく、また(Winny公式サイトの閉鎖に伴い)ミラーサイトの一部などでは逆にトラフィックが大きく増加しているところもある」と述べた。ただこれが一時的なものかどうかについては判断が難しいということで「年明けまで動向を注意深く見守りたい」と同氏は語っていた。

 村井純氏

○技術を伝える相手が変われば言葉も変わる

最後に登場したのはおなじみ慶應義塾大学の村井純氏。同氏はこれまでIP Meetingを主催してきたJEPG/IPの役割について「技術的な問題を共有するための場であり、ある課題にどのように対応するかエキスパートを集めて毎回お呼びする人を決めていた、ある種ボランティアの集まり」だと述べた。その上で村井氏は「最近では我々が持っている新しい技術や課題を伝える相手(の範囲)が広くなってきたので、そのための言葉を覚えなきゃならないが、専門家の言葉はとかくわかりにくく、よくJPNICのホームページの言葉もわかりにくいと言われる」と現在の問題を挙げた。

同氏は「人や社会によって相手のものさしが何であるかを理解しなきゃいけないが、ものさし自体がたくさん増えており、たくさんの努力が必要になっている」「その中で『技術が(課題を)解決できる』という方向に向かっていくようにしたい」と今後の抱負を語った。なおJEPG/IPの解散に伴いIP Meetingの主催・運営は次回以降JPNICに引き継がれる予定だが、同氏は「もっと広いコミュニティが持っているInternetへの要求をどう解決するか、JPNICに連絡して欲しい」「新しい社会基盤の賢い作り方を考えていきたい」と述べて講演を締めくくった。

(佐藤晃洋)

【Internet Week 2003レポート】IPv6 Technical Summit(1) - 日本のIPv6技術が中東で花開く?
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/12/04/17.html

【Internet Week 2003レポート】IPv6 Technical Summit(2) - IPv6の普及はどれだけ進んでいるのか
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/12/04/18.html

Internet Week 2003
http://internetweek.jp/



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