【レポート】OPEN-R TECHNO FORUM 2003(1) - 今年もAIBOプログラマーの集いが開催

      [2003/12/09]

    11月29日、東京・お台場の日本科学未来館で「OPEN-R TECHNO FORUM 2003 in Japan」が開催された。これはソニーが主催するイベントで、AIBOの基本アーキテクチャである「OPEN-R」用の開発キット「OPEN-R SDK」を使ってロボットプログラミングを行っている人同士の情報交換の場として企画されたもの。昨年12月に同じ会場で開催された第1回、今年8月に福岡ロボスクエアで開催された第2回に続き、今回が3回目となる。

    フォーラムは「OPEN-R SIG(Special Interest Group)」と題された研究成果の発表会・パネルディスカッションと、参加者が持参したAIBOによる競技会から構成されている。競技会の種目はPK戦とレースの2種類で、各参加者が作成したプログラムの成果が問われることとなる。

    ○発売されたばかりの新型AIBOと研究の一例を紹介

    ソニー エンタテインメントロボットカンパニーの尾山一文氏(右)と、司会の同社森田昌裕氏(左)
    OPEN-R SIGでは、まず、ソニー エンタテインメントロボットカンパニー 開発設計1部の尾山一文氏によって、11月に出荷が開始された最新のAIBO「ERS-7」の紹介が行われた。

    AIBOは、「ERS-210」「ERS-210A/220A」と新機種が出るたびにクロック周波数や内蔵メモリ容量が増加し、性能が高まっている。最新のERS-7のクロック周波数は576MHz、メモリ(SDRAM)は64MBで、ERS-210A/220Aのクロック周波数384MHz、メモリ32MBに対し、大幅な高速化とメモリの増大が図られている。また、従来から頭部に装備された「頭距離センサ」だけでなく、胸の部分にも「胸距離センサ」が搭載されているため、頭部を下げることなく足元の段差などを感知することができる。さらに、新設計の「サイレントサーボシステム」により、より滑らかでスムーズな動きが可能だ。そのため、プログラミングを行う場合も従来機種と異なる部分が出てくる。尾山氏は、今後ERS-7をベースにプログラミングを行う際のポイントなどを解説し、これから導入を考えているユーザーにアドバイスを行った。

    会津大学コンピュータ理工学部4年の藤原健氏
    次に、会津大学コンピュータ理工学部ハードウェア学科4年の藤原健氏による「OPEN-Rを用いた実践研究」と題された研究発表が行われた。その中で藤原氏は、研究材料として採用・開発している自律型ロボット「HERO」とAIBOとの融合、ロボットの音源定位、ロボットの遠隔操作などについて紹介した。

    HEROとはHearing Robotの略で、車輪とCCDカメラを装備し、その名の通り、音響環境の研究を主要テーマとしたロボットだ。「HERO」とAIBOの融合とは、HEROの上部に取り付けられたCCDカメラの部分をAIBOに置き換えてAIBOに音声認識や画像認識をさせ、同時に、歩行に関してはHEROの下部の車輪を使うことで、4足歩行の場合よりも速くAIBOを移動させようというもの。利用方法としては、例えば、パトロールロボットとしてビル内などを高速で移動しながら警備して回ることができるようにしたいという。

    また、音源定位とは、音がどの方向から聴こえてきているのかなどを判断すること。音の方向は、ロボットの場合右耳センサと左耳センサにそれぞれ入ってくる音の時間差によって求めることができる。音方向を割り出すための「頭部伝達関数」は、頭部の大きさやセンサの位置によって異なってくる。そこで、藤原氏はHEROにAIBOを融合させる際、AIBOの頭部伝達関数を求めることで、AIBOが音のする方向を判断できるようにしたという。さらに、遠隔操作に関しては、携帯電話を使ってAIBOを直接操作する方法、Webサーバーを利用する方法、E-mailを介してコマンドを発信する「AIBOアイズ」を紹介した。

    HEROの上部をAIBOに置き換えた
    AIBOの頭部伝達関数を求める

    藤原氏の専門分野はC++などによるプログラミングだが、プログラミングの実行結果が最もわかりやすいという理由から、課外プロジェクトとしてロボットプログラミングに取り組むようになった。また今回、HEROがJava、AIBOがC++とプログラミング言語が異なっていたため、言語間の翻訳ツールの開発が最も苦労した点だったという。

    ○2体参加が可能となったPK戦

    午後からは、AIBOによるPK戦とAIBOレースが行われた。

    昨年はAIBO1体で行った競技だが、今年のルールでは2体までの使用が可能になった
    PK戦のルールは、会場内に設置されたサッカーフィールド内にAIBOを置き、AIBOがピンクボールをゴールに入れるまでのタイムを競うというもの。昨年行われた第1回のフォーラムではAIBOは1体のみだったが、今回は2体の使用が許可された。1体はゴール付近、もう1体はコーナー付近に設置することで、コーナー付近のAIBOがコーナーに置かれたピンクボールを認識し、それをゴールまで運ぶか、もしくはもう1体のAIBOにパスし、パスされたAIBOがゴールにボールを入れるという連携プレーが可能になる。プログラムもより高度になり、プログラマーの腕を発揮することができるというわけだ。

    当日は21チームが参加。発売されて間もない「ERS-7」の参加が多いことに驚かされた。1位は九州大学大学院システム情報科学研究院情報理学専攻で人工知能の研究をしている「Jolly-Pochie」チームによる「H01」(ERS-220A)。8秒61でシュートを決める圧倒的な速さで他の参加者を圧倒した。同チームは、ロボットのサッカーリーグ「RoboCup」における4足歩行ロボットリーグにも2001年から参加し、優秀な成績を収めている。

    九州大学大学院システム情報科学研究院情報理学専攻の「Jolly-Pochie」チーム。優勝賞品のERS-7をゲット!

    今回、PK戦に臨むにあたり最も苦労した点は「ERS-7をベースとしたプログラム開発です。実質、1週間程度で完成させました。残念ながらERS-7での結果は出せなかったものの、ERS-220Aで優勝できたのでほっとしています。また、今回は2体による連携は難しかったので、手堅く1体で確実な線を狙いましたが、次回は是非、2体による連携プレーを成功させたいですね」(Jolly-Pochieチーム)。

    やはり2体による連携プレーの難易度は高いようで、どのチームからも2体による連携がうまく作用したプレーは見られなかった。どちらかというと2体でお互いにゴールを邪魔し合っている場面が多く見られたが、その様子がコミカルで観客の笑いを誘っていた。

    【動画】今回はまだ1体で挑戦したチームのほうが安定した成績だった(WMV8形式 6秒 200KB)
    【動画】連携プレーのはずがボールの取り合いに……(WMV8形式 13秒 412KB)

    このミニチュアAIBOは来場していた方の手作り。ERS-7の軟らかい素材でできた耳まで再現されている。AIBOファン仲間に喜ばれているという

    (山田久美 k-yamada@pc.mycom.co.jp)

    【レポート】OPEN-R TECHNO FORUM 2003(2) - OPEN-R SDKユーザーの幅も確実に広がる
    http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/12/09/18.html
    へ続きます

    【レポート】自作プログラムで動くAIBOの運動会! - OPEN-R TECHNO FORUM 2002(1)
    http://pcweb.mycom.co.jp/news/2002/12/02/11.html

    【レビュー】コミュニケーションツールというAIBOの新機軸 - AIBOアイズ(1)
    http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/07/08/11.html

    ソニー AIBO
    http://www.jp.aibo.com/

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