【PDC 2003レポート】長く険しいLonghornへの道(2) 早期プレビューβの真意は?

      [2003/11/04]

    ○ユーザーフレンドリーなUIを実現

    WinFS
    WinFSは、柔軟なデータの管理/検索/利用/共有をサポートする。現在のファイルやフォルダは、ロケーションによる整理方法である。コンセプトとしては、カテゴリ分けした棚や引き出しに整理しているのと同じである。整理する対象の数が少ないときは、この方法でも間に合うが、例えば何千冊という本を整理する場合は、一冊ずつタイトル、著者名、種別などをデータベースに入力して管理した方が便利である。

    WinFSは、リレーショナル・データベースシステム開発のノウハウを活かしたデータストレージ・システムとなっている。テキスト、オーディオ/ビデオなど、ファイルベースのデータのインデックスとストリーミング機能を提供する。さらにコンタクトやイベントカレンダー、Eメールなどのファイル以外のデータも取り扱い可能。P2Pやディレクトリサービスなどとの間で、同期、通知、データ共有、セキュリティモデルの確立などを支える技術になる。

    スキーマがコンピュータに保存されているアイテムを表し、そのスキーマの内容に従ってユーザーはアイテムを整理したり、関連づけることができる。これを"Everyday information"スキーマと呼んでいた。

    Eメール/IM、コンタクト、カレンダー、ファイル、ディレクトリーなどを一括管理するWinFS
    写真およびビデオ・フォルダ。これまでの表示方法と検索結果をスタックとしてまとめる表示方法を比較

    ユーザーがアイテムを利用する際には、これまで同様にデータが保存されている場所を表示することもできる。だが、Longhornで一般的に使われるようになるのは検索機能と結びついた表示方法である。例えば、全画像の中から、「PDCの写真」、または「Gates氏の基調講演の写真」というように検索して目的のファイルをまとめる。検索結果でグループ分けされるため、「PDCでのGates会長の写真」はどちらのグループでも表示されることになる。

    このようにWinFSでは、アイテムが保存されている場所をユーザーが意識する必要性はなくなる。展示場では、タスクベースのユーザーインタフェースの説明も行われていた。アプリケーションやドキュメントを開く代わりに、「手紙を書く」「ファックスを送る」などのタスクを起点にして作業を開始。コンタクトをどこから引き出して、ファイルをどこに保存したのか一切意識することはない。

    開発者ラウンジで配布されていたAeroのポスター
    また、開発者ラウンジでは、AvalonとWinFSの機能を、より使いやすいコンピューティング環境の構築に利用する「Aero」というコンセプトが説明されていた。「人を中心としたユーザーエクスペリエンス環境」をテーマにした開発モデル/ガイドラインである。すべてのアプリケーションにおいて画一的な方法でコンタクトの情報を収集し、そして効果的に活用する方法を提案している。さらにインスタントメッセージやEメールをWinFSメッセージとして作成することで、人によるグループ分けやメッセージの履歴の検索・利用を可能にしている。

    展示会場でWinFSの説明をしていた担当者に、「どの程度以上のハードディスク容量を想定しているのか?」と聞いたら、「500GBは近い将来に現実的な数字になるだろう。その頃にはWinFSは不可欠かもしれない」という答えが返ってきた。

    ○XML準拠のウエブサービスと相互運用を実現

    Indigo
    Indigoは、接続性に優れたアプリケーション開発をサポートするサブシステムである。既存のネットワークに加えて、P2Pやインスタントメッセージングなどのリアルタイムコラボレーションをセキュアに実現するためのライブラリが含まれる。今日の.NET RemortingやASP.NET Webサービス・アーキテクチャの柔軟性と整合性をより前進させようとしている。ただし、リモート・オブジェクティングからは離れる傾向にあり、マシン間での情報交換にはウエブサービス・モデルを勧めていた。

    Indigoの機能は、年内に登場することはないが、Don Box氏は「遅くともLonghorn。Windows XPに組み込まれる可能性もある」としていた。

    ○プレビューと言うには…

    Gates氏の基調講演後に配布されたLonghornのプレビューβ版はBuild 4051だった。展示会場のデモ機ではBuild 4050が利用されており、それと比べると4051は多くの機能が省かれているようだった。

    Internet Explorerにポップアップ・ブロック機能が付いていたり、サイドバーとタスクバーが併用できたり、AMDの64bitプロセッサをサポートしているなど、細かい部分では色々と発見があって楽しかった。だが、肝心のAvalon、WinFS、Indigoの実力は推し量れないため、これをLonghornとして評価するのは難しい。

    正直、なぜこの段階で配布したのか疑問に思える。一つ考えられるとすれば、なるべく早い段階から開発者の声を集めて、今後の開発に反映させようという意図の表れなのかもしれない。オープンソースOSが最新ビルドを公開してから開発者が手を加えるというプロセスであるのに対して、Longhornでは非常にプリミティブな状態から開発者の声を集めている。オープンソースに対するMicrosoftの回答の一つのようにも思える。

    (Yoichi Yamashita)

    【PDC 2003レポート】長く険しいLonghornへの道(1) 搭載される新API「WinFX」
    http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/11/04/08.html

    【PDC 2003レポート】Longhornのための開発者会議が開幕、Windows 95以来の革新性をアピール
    http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/10/29/11.html

    Professional Developers Conference(PDC)
    http://msdn.microsoft.com/events/pdc/

    Microsoft
    http://www.microsoft.com/

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